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吉岡君
電車の中で思わず声をかけそうになった
よく考えてみれば
こんな時間、こんな場所に
吉岡君がいるはずもないというのに
あの日と同じ顔
学生服のままで
そんな僕はまだ
....
つゆやみの夜
降りしきる蛙の鳴き声
このたくさんの鳴き声の中にも
さみしい蛙はいるのです
呼ばれているような気がして
サンダルを履いて庭に出てみると
蛙の鳴き声が辺りを包みます
白い ....
雨の日に
長靴履いて
出掛けると
街は水没していた
どこへ行っても
ざぶざぶと
音がついてくるので
大好きな傘を叩く雨音が
いつまでも聞こえてこない
大通り
だった場所 ....
家の真ん中に ドードーの巣があるのです
絶滅させた張本人として歴史書に残りたくないので
バスルームには大きく迂回しなければなりません
慣れないうちは何度も卵を踏み潰しそうになりました
彼ら ....
あいかわらず颯爽と世界は血をはく
めくるめく憂鬱にようこそとぼくは言いたい
今日も殺される夢を見たよ
教室によくいるちょっと苛立つ奴の真似とか
無駄に上手くなったりしたよ
削除されたホームペ ....
食卓レモンのかなしみは
食卓ってなんだ?と
となりのワサビに聞かれたり
きいろの表面に こまかい凹凸
みどりのふたが 大きすぎても
レモンになろうと
もがいているようで
かなし ....
昨日 いつも市場で会う少年と水遊びをしたとき
「お兄ちゃん、腕まくりが似合うね」って言われて
戸惑って
戸惑ってしまったまま 朝が来て起き上がる
いつもと同じように寝床に向かい
膝を曲げ 腕 ....
ふんじゃった
でも
みれない
かたい ような
ちいさいような
うごいてるような
どうして
うごけないの
ねえ
にげないの
俺は見たことないけれど
時忘れの香がある
1本で1年分の記憶をなくす
俺は子供の頃
怒られて泣いているか
1人で遊んでいるか
どちらかの記憶しかない
もう
....
考えるのを止めたとき
空は色をすいこんだ
ポカンと見上げて僕は
この地面の名前を忘れてしまう
しばらくは誰も
気付かないかもしれない
僕の一部もすいこまれたこと ....
しおが
まあるく
みちてくるのは
ぼくらのからだに
きざまれたひつぜんだ。
しおが
まっくらに
ひいてゆくのは
かぜがおしえる
このほしのぱずるだ。
このほしとつきとのなぞ ....
行き止まりの洞穴の中へ
君が入って行ったので
僕は後を追う
じめじめと湿気じみた洞穴の中で
わ わ わ わ わ わ わ わ わ
君が戻って来る気配はない
僕 ....
その路線の終着駅は海沿いで
寂しい駅舎には
潮風が染み付いていた
流れている景色が
ゆっくりと落ち着いて
溶けていた車窓の奥で
海が空にゆれている
向かい側の席から
ゆっくりと ....
柳を絵筆に
小夏
波紋をひとつふたつ
漸近線と戯れる
闇から
透明な海老
羨ましくなって
小指
波紋を作ったのに
塗り潰してしまう
枝垂れ
鼻先を掠めてゆく
小指
引 ....
1
真っ青に透き徹る海が恋しい
真っ白に焼けた砂浜が恋しい。
湿気の多いべたべたする嫌な日
何でも有り余る肥大した無慈悲。
何故か連続して襲い来る不幸
大地は割れ火を吹く山 ....
おいかけてゆきたいのです。
包丁でざくりと切ると、すぐ後ろでネギがぱらぱらと広がるように
ざくりの跡をぱらぱらと追いかけてゆきたいのです。
続けたいのです。
にんじんをする ....
太陽から
熟したとこだけ溶け出して
夜に残った
ぽったりとカスタードクリーム色の
満月が
今日はでていた
あんまり見事だから
僕はぼーっと見上げて立ち止まっ ....
ごはんを食べた後
階段を上って部屋へ戻ると
ごはんを食べるために部屋を出て
階段を下る
ごはんは誰かが食べていたので
階段を上って
部屋に戻ると
明かりがつけっぱなしだった
だれかが消 ....
楽しそうに
わたしの机に落書きする君をみて
はははっ て
乾いた笑いを漏らしたけれど
嫌いじゃないよ
君が描いたうさぎも
君のことも ね
月はね
遠くから見るから
綺麗なんだ
そばに寄ったら
でこぼこで
何もないだろうね
君も
遠くから僕を見るんだね
僕が愛しく思っているのは
君だか ....
白紙のノートに
「もう死にたい」と百回書いた
それから今度は
「まだ生きたい」と百回書いた
誰かに必要にされてると
苦しい程に強く感じたい
誰かが誰かを必要としていて
誰かは誰か ....
庭につながれて退屈そうなので
犬をふくらましてみた
ふわふわと
ゆらゆらと
風船のように退屈していた
その日から
大きな穴や小さな穴が
空からぽたぽた降ってくる
気をつけていた
時々空を眺めては
ふと気を抜いた瞬間
まんまと私ははまってしまった
受話器を置いた直後のことだった
....
富士の樹海にこもって
ひょっとこの面に
草刈ガマをもって
自殺しにきた女共に
のっかりたい
一枚岩のうえで受精したい
生命を宿す
ハッピー。
木のうえに住んで
悪魔をみせよう
....
コーヒーを飲み過ぎたせいか
僕はコーヒーになってしまった
夜、眠れないとか
胃が痛いとか
そんな問題じゃなくなった
あ、こぼれてしまう
とゆうよりすでにこぼれてるねみんな
....
僕は思いきり夜を投げた
つもりなのに
君が受け取ったのは朝だった
仕方ないので
ぼくらは昼間から
昼寝ばかりしている
朝、とても慌てていて
とにかく、慌てていて
うっかり捨てそびれていた
穴のあいたパンツをはいてきてしまった。
気がついた時には
私の体は宙に舞っていて
遠くで
誰かの叫ぶ声がして ....
おれは海を釣ろうとする
海からおれを釣ろうとする
あなたは海を産もうとする
ひとの不思議を産もうとする
ぐるり
この星が太陽をひとまわりして
海辺の町に
また
桜が咲いた
....
目の前の全てから逃げるのは不可能
そしてそれは 不本意
やりたくない事をやらなくて済むには
やりたい事を精一杯やるしかない
徐々にだけれど
それはもう 確信に近い
夏は他の季節より ....
浜辺には
夕陽に淡く染められた
煙草が2本寝そべり
1本はまっすぐ横たわり
笑って空を仰いでいた
もう1本は砂にねじこめられた傾きで
しょげていた
あの日君が
「棄て ....
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