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秋に
葉と葉が
まだ生き合っている
その音が、して
その影と影が、あって
その匂いまでが、生じていて
生じては離れてしまうそれらが
見つめ合っていると ....
夜の更ける頃
君の身体から
今までに聞いたことの無いような
音が聞こえてきた
安らかに君は君の中で
溺れているのかもしれなかった
+
縄跳びの回数を
数え間違えて
少女はずっ ....
画用紙にピンクのクレヨンで描いていた。
好きな音がたくさん詰まっていた。
周りが全てキラキラして見えるから、
墨で塗りつぶした。
眩しすぎて、目が痛いんだもん。
もう、わたし一人でだって ....
のろのろ時間は僕の前に
のっしり座り込んで
僕のことを見ているのです
壁の向こうには未知の世界が
こじんまりとあるはずで
そこには僕は行けないのであります
頭が ....
化石を拾う
改札口は静かで
足跡ばかりが通り過ぎていく
ぼくはそこで案山子になっている
へのへのもへじ
通り過ぎてく人に
顔は何気にそう書かれてしまったけれど
何か無限のようなかなし ....
一日はそのように始まって
一日はそのように終わっていく
きっと
部屋の隅、テレビの上
ほんの少しの暖かさ、の裏側で
空が重心を失って色を零していく
十時十分
並んでいる時計の ....
よるはあるところでとどまっているのだけれど
よいにまかせてとどめをゆるめ
ふかくなっていくばかりの(まどごしの)
つきあかりのうすぼんやりの(どのすぎた)
ねむれないといううその( ....
わたしの空より
青い青いその先に
あなたの見ている空がある
夏から二ヵ月毎のカレンダーを剥がして
こころの奥まで秋が染みた日
それぞれの手に触れる温もりは
少し哀しい距離感 ....
口を突き出すように大きく開けて固定する
目はぎゅうっっと閉じ
手はもちろんグーだ
それももちろん固定して
たぶん地平線の向こう
まだ水母のような月と
プカプカ浮いている阿呆っぽい雲 ....
今夜―、銀河は沸騰している
星雲は膨らみつづける
銀箔の輝きがゆれている
何光年も離れた向こう
完璧な真空の空間のうち
宇宙は決まって沈黙している
時には激しい爆発音もあるらしいが
....
金木犀の小花が
打ち明ける秘密を
直ちに忘れてしまってこそ空は
どこまでもひとつの
どこまでも青く澄み切った隙間です
衣服を自らほどいたわたしたち ....
生足は季節のアンテナで
感じる微かな蠢きを捕らえては
白い小箱に忍ばせる
真夜中のブランコ
揺れる君のくるぶしは
季節はずれのアンクレット
楽しかったはずの映画も
楽しみだったはずの ....
あなたが愛と呼ぶものの
正体がわからない
愛がなくても
たぶん
抱きあったりできる
でも
抱きあったりできない
場合もある
だからといって
愛していたり
することだってある
....
御忠告通り、ついさっきカーテンを
付け替えてみました。いざそうしてみると
不思議なもので、あれほど嫌だったバナナの刺繍も
気になりません。ただ、近い将来
チンパンジーを飼ってみようかと思ってい ....
太った男の人が
日向で陽の光を浴びて
まだ少しずつ
太っている
やがて坂道経由の犬がやって来て
すべてを食べてしまった
+
お座り、が得意な子でした
お手、もしたし
....
さよなら
を言いそびれたから
本当は帰りたくなんてなかった
日比谷線が
たくさんのさよならを詰めて
こうこうと光っていく
あの向こうへ行きたいな
苦しくなんてないけれど
....
空は赤い
歩いていても
泣いてなんかいない
恥ずかしいからではない
憂鬱だからでもない
たぶん幸せ者で
その幸せを一歩一歩
ふみにじっていっている
そうして家に帰り
笑いなが ....
葉擦れの赤錆は
はじめは
軽い混入だった
冷たい赤い陰影を増してゆくのは
葉擦れの色として微かに現れた感情の
冷たいことを、赤いことを
葉が何度も抱擁するからだ
それでも ....
おはよう
息が吸える
布団の中は温かい
私は生きている
深呼吸をする
窓を開けて 今日の太陽
私は
まだ生きています
父の写真に
新しい水
お父 ....
夕方近く、観覧車はゆっくりと周る。
空は水色、明かりを点けている。
もっと失速してもいいはず。男と女はそう思う。
その愛が叶うといい。いとも簡単に。
ゲートの外でこだましている―、恋は水色。
....
午前零時、手を繋いで光る橋を渡る
窓ガラス全部割ってステンドグラスに再構築
地球に派手に落書き
消えない様に
雲の
静かな暴走
高い青へ青へ
ゆけない、わたしの上に
上空があって
午後、
稲穂というよりも、風だった
肌が痛いほどの
午後だった、秋だった
その風 ....
その向こうになにがある?
気になるから 行こうよ
一ミリ先の
世界を 見よう
北風も 雨も あるけれど
涙は
流れることを許されず
瞳にとどまっていた
雨が
かわりに泣いてくれたので
辛うじてプライドを保っている
物語は
最終章を目の前にして
頁を閉じられた
栞を
....
手のひらで
右目をふさいでみる
知らないだれか
が笑っている
手のひらを
左目に移してみる
知らないだれか
が笑っている
手を下ろすと
二人が重なり合って
あなた
ができあが ....
海上を突っ走るマリーノ超特急は
どこまでも青い廃虚やら波濤やらが
混じりあったりのたうちまわったりで
車輌の隙間から
夜が入りこんでくる頃には
俺もアンちゃんもいい加減しょっぱくなる。
....
カメラは、設置されていない
高架下に紛れてしまい印象に残らぬ翳りを
僅かに掲げ示するように頭を前後する
ぐず、ぐず、ぐず、と音を立てる老婆の喉は
翳りそ ....
一時間が五十分だったり
雲の翳りを見上げるきみとの数瞬が永遠だったり
暗闇に咲く白い花は風に散り {ルビ蝶=ちょう}の羽となり
ゆるやかに宙を舞い
残された葉の一枚も一本の細い茎を離れ
ひらひらと
豪雨の過ぎた激しい川の流れに飲み込まれて ....
ストックした一限は賞味期限切れで
難しい顔でぼくは懐柔された
いつだって子供じみたきっかけに
チープなカバーをかけてるだけ
ふやけた愛とかくれんぼするたび
数えるのをやめようとおもうのに
シチューに ....
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