産まれて間もない頃
抱いていたのは後悔だったことを覚えている
私は三人目 二番目の雄
目の開かない音だけの世界で 母は泣いていた
こうなることを予期しているように
目の開かな ....
おとしぶみと言う虫に託す詩集ひとつ恋愛論のなれの果て
ストリートミュージシャンにあすを尋ねるどのコード進行で生きるかと
炎天下脳みそは妄想やめて夕涼みプラタナスの鈴の葉陰に
初音ミク ....
恋には形があるからさ
だから、つくれるしさ
だから、こわれるしさ
かたつむりがね
いないとさみしいよね
木の葉の影の雨宿り
でもね
木のてっぺんにもいるんだよ
きっとね
だって だって
ひなたぼっこしたいから
アリさんがね
いないとさみしい ....
ぼくはわらう
きみもわらう
ふたつのわらいは似ていない
けれどもきみとぼくはいま仲間だ
きみとぼくの痕跡はまったく違うが
たまにおなじ涙をながす
ふたりとも最近猿よりもいささか利口 ....
「ぼくがろくがつをよんであげるよ」
協議離婚し幼い娘を引き取った母は
幸福追求やまない女であって或る日
男と出会い同居を始める
こうして連れ子という不利は
夜な夜なまぐわう男女の力関係で決まる
小突き回され足蹴にされ
飯 ....
今日も何もできませんでした
昨夜の天気予報
朝から雨の予報は大きく外れ
嫌味なほどの上天気
やらなきゃならないことは沢山
かごいっぱいの洗濯物
燃えないゴミの日
昨夜食べた焼きそ ....
「詩人はキスをする時
目をつぶるの?」
という質問が子供から来ました
詩人はキスをする時
目を開けています
何故なら詩人は
見えない物を見るのが仕事
だからせめてキスの時だけは
相手の ....
太陽が照らしてる
偶然も
雲を
空を
病を
君を
僕を
不器用も
太陽が照らしてる
考えなければ
うまく生きてゆけない
のびのびなんて出来やしない
そんな僕なのに
君をギュ ....
あの時から何も変わらない
こぼれる物は、いつも私のお気に入り
きっと報われると
きっと振り向いてくれると
大きな期待を胸に
つい 意地悪く
突き放したり、我が儘言ったり
....
いつからだろう
嫌いって言えなくなった
いやだって言うことが
なにかを壊す気がした
すきって言うことがよくて
清浄機みたいに思われて
嫌いって言葉だけが嫌われて
私の心にたまって ....
あなたを好きになって
十四年が経ちました
ずっと好きだったわけじゃない
ちゃんと 恋もしたよ この十四年
いろんなひとが通り過ぎた
優しいひと 意地悪なひと
かっこいいひと 大柄な ....
テーブルの下に
豆腐が落ちていた
原形がわからないくらいに
ぐちゃぐちゃに崩れていた
世を儚んで
飛び降りたのだ
窓を開ける
初夏の風が吹いて
部屋の中を涼しくする
....
なあシロ
おまえ
失恋って
知ってるかあ
あのなあ
食い物じゃないんだ
そんな
嬉しそうに
....
のみかけのコーヒーにまた水足して待つ午後の日差し
16分音符じゃ足りないと時間まで切り刻むピアノ白い指
白鍵と黒鍵は隣り合わせの不幸だねって笑うきみ
ドアをあけてから遠い時間をあ ....
空が裏返り
わたしたちは輪の中に身をしずめる
心がぜんぶの水を
吸いとってしまって
体は吹き飛んでいった
肥大して
びしょびしょのわたしたちは
輪を抱き
輪に抱かれながら
....
チャック チャック
お口に チャック
チャッカマンが
あんまん くわえて やって来る
あんまり おみあし おそいので
すたこらサッサ
にげた トモダチ つかまえた
もう はなさ ....
空に向かって高く
超合金製の蟻の巣が
渦巻き状に伸びている
無機質でのっぺらぼうの蟻の巣も
夜になれば
綺麗に画一化された部屋には
優しい灯りが点り
街を照ら ....
死にたい日に
いちばんすきな靴したを履いて
興味のないパーティーへでかける
足首に
ほそいロザリオをつけた男に抱かれたら
こころとからだがはぐれた
音が鳴っていて
とても静か ....
今日という日ほど
あなたのいのちを
祈ったことはない
いままでの気持ち
浅くて浮かれてた
今日なんど泣いた
今日なんど祈った
今日なんど愛した
....
生温いラブソング
みたいな雨が
無骨な傘を叩く
手頃なセンチメンタル
みたいな歌が
鳥肌にまといつく
南風に押されるままに
よろよろ歩き出す
曖昧な記憶
傷つけたこと ....
学生服で横浜野音のロックフェスティバルにはじめて友達と行ったのは
田舎からでてきたばかりの冴えない俺
両想いだったかもしれない恋も風に紛れてどこへやら
彼女は僕とは別のさわやかな青春のむれの ....
{画像=120523013143.jpg}
いつも何かが足りない気がする
いつも何か一言いい足りない
いつも何かを忘れている
いつも何か遅れている気がする
忘れてしまったもの ....
迷うたら負けやと、きつい一言
今でもうちのお守り
そんなあんたは迷わずどっか行ってもうたけど
わっと咲いた桜の枝の花束が
額縁のなかに吊されています
青い敷布の上に座るあなたが
花降る午後に微笑んでいます
ぼくらは宇宙で会いましょう
祈ります
科学じゃな ....
喉が渇いたので
醤油を飲んでいたら
目が痛くなった
目薬と間違えて
醤油を差していた
まるで
お寿司のように
空っぽになった
醤油を探して
東京を歩く
薬屋はたくさんあるのに
....
日食グラス
買わなきゃなあって思いながら
あっという間に金環日食前日
急いで探してもどこも売り切れで
日食グラス以外で
観察する方法はないかと
色々試した結果
大根おろしならぬ日食おろしが
出 ....
120522
7月22日はポエケット
忘れないように認めた
ポケットのメモ帳は
今日もがら空きで
予約定員を満たさない
6月も22日が来たから
今日 ....
明方の台所で
豆腐がひとり
脱皮をしていた
家の者を起こさなように
静かに皮を脱いでいた
すべてを終えると
皮を丁寧に畳み
生ごみのところに捨て
冷蔵庫に入った
....
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