もしも鳥だったら?
あたしゃ、きっとペンギンさ
灰色の空を見上げるだけのペンギンさ
ルノアールで珈琲を飲む
革張りの椅子に座り
香りを楽しむ
入っては出て
出ては入ってくる
人を眺めながら来し方行く末を思う
大学生のころ
通っていた喫茶店はルノアール
だったか ....
薄っすらと
生えた口ひげ
汗たまり
魅力的だね
真夏おばさん
35過ぎて
ようやく
何かしら
陰りが見えて
エロが生まれる
僕の冷蔵庫ではつぎつぎとものが腐ってゆく
賞味期限は半月前は当たり前野菜は黴としなびで
使い切れないぞ独身奇族
そこで整理もかねて古い野菜をかたっぱしから検閲し
余命少ないあるいはアンチエ ....
銃
たとえば
装填されていない銃ほど
うつくしいものがあるか
街、
羽を抜かれた鳩が飛ぶ
仰向けで泳ぐ魚
黒鍵のないピアノ
銃
引き金を引くときは
かわくほど目 ....
ペンギンの嘴曲がる大暑かな
河童忌や笑顔の写真焼き尽くす
潮浴びや近づいてくるオスプレイ
誰にでも『パパ』と言う吾子天瓜粉
白猫にウクレレ聴かす夕端居
雲海を見下ろし食べ ....
おしっこの夢や単位が足らなくて卒業できないというような夢ならよく見る
でもフロイトの考え方は苦手だ
夢をあたかも神からの啓示のように尊重するような考え方が苦手だ
夢をすぐ不安や性的な ....
ポエケットではなくエアポケット
チケットのない旅を君と
母が亡くなって最期は点滴でも間に合わない
栄養失調のまま昏睡状態で逝った
体格のいい人で骨壷に入りきらずに
納骨の係りの方に
....
あなたへ直線をひけないので
円をかく
今日も円をかく
ちりとりのゴミを玄関の外に捨てると
蝉が羽化に失敗して 転がっている
またか
この時期 たまに見る
壁によじ登っては 落ちる 蝉 とんぼ
ぐちゃぐちゃに柔らかくて 体に触れない
死 ....
たとえば 光
たとえば 風
たとえば 涙
たとえられないものたちを
うたいつづけるものたちが
たとえる 光
それが 歌
画用紙いっぱいに水を塗り
そしてその水の乾かぬうちに
空を描き
雲を描き
僕を描く
風を描き
花を描き
君を描く
すべてのものの輪郭が
水に滲んで溶けあって
....
鞍馬を登る
石段を上がる
夏が暑い
木の根っこを歩く
くだりはがたがたの石段
視界は緑
服はびちゃびちゃ
下りきれば川床
川のうえの座敷でひんやり
自然のなかを
からだで移動する ....
ぼくも夏毛になりましたって そんなアホな
暑中お見舞い申し上げます たま
雨の日はほら
また寝ぐせがついてる犬のひげにアイロン だめかしら
どしゃぶりの雨の中しつこく猫をさがす犬 ....
緑はひかりを柔らかくする
あなたは僕を柔らかくする
僕はあなたを柔らかくする
緑はひかりを柔らかくする
生姜湯を飲めば風邪が抜ける
足を温めれば血が巡りだす
抱き締め合えば入りたくなる
....
路地裏の子供たちに混じって
じぶんをせいいっぱい主張するそら君
機関車トーマスが仲間らしい
いつもよだれや涙がいっぱいのそらには
お菓子やいちごやそんないれものもあるんだろうね
そう ....
牛丼屋でウシが食事をしていた
まさか共食いか、
と思ってよく見ると
豚丼だった
食べ終えたウシは
お父さんごめんね、と言って
手を合わせ
泣き始めた
他のお客さんは皆
見て見ぬふ ....
蜂をしゃぶったのどに光が当たる
竹ひごで編んだ身体に風が吹く
シャーベットカラーの臨終に手足が跳ねる
沖あいでこいびとが放ったブイが海中へ消える
香水と星とが同時に蒸発する
水のようにド ....
叫んだ声も消えてしまう
そんな深い夜の日は
グラス片手に夜明けをじっと待つ
外灯に照らされて
葉のみどり
影
光
救急車の音
風もない夜だった
あなたの声を聞きたかった
からだもたましいも
ただそれだけになっていた
....
うちの孤高の戦士はいまベランダでひなたぼっこ
あえて妄想中とは言いますまい
ときどきかれの誇り高きぶた猫の本能が
のねずみやのうさぎの後姿をおもいだすのかもしれない
それとも昔の彼女の寝姿か
....
花火は夜空にとどまれない
星のようにはとどまれない
長い時間を見つめれば
星も夜空にとどまれない
地球も宇宙にとどまれない
生まれて消える
それだけなのに
....
うつが季節に負けそう
刺激を感じないのがカルチャーショック
昨日使わなれなかったモノに
何度トライしてもできなかったから
きれいに捨てるのってつれない
思うからできないのなら
「ロスト ....
夏なのに雪を恋しがる
あなたの顔がちらつく
思いっきり好きだと言い残したのは
ずいぶん昔の話だ
ぷよぴよした二の腕はもう恋愛など縁遠い
夏だとゆうのに海がにあわない女だな ....
ゆるやかな稜線は日々の通奏低音と
重なって光や風の渡る今日を彩ってゆく
痛くなかったかい
首もげちゃったけど
どこまで転がってゆくんだろう
僕の通底器は結びつけることに疲れてしまって ....
みんなおやすみ
きょういちにち
散歩していたひとも
友達とすごしたひとも
じぶんの心とすごしたひとも
みんなおやすみ
ぼんやりとした不安や
ちいさな怒りで ....
洗濯機が壊れそうです
ガタガタ大きな音をだします
横揺れがはげしいのです
つめこみすぎかもしれません
綺麗に洗いたいのです
今日の汚れなど
あなたの匂いなんて
影ほども残さないで
....
広島と山口を旅した春
26年まえの薄曇りの駅
初めて泊まったビジネスホテル
飲み慣れないスーパードライ
吸い慣れたマイルドセブンライト
深夜番組見つめながら
予定などないあしたをぼんやりと ....
小磯良平描くところの令嬢である
タイトルは「冬の夜」
昭和29年週間朝日
新春増刊号の表紙であるが
ちなみに当時の値段で一冊70円
先日古本屋で50円だった
花森安治や長谷川町 ....
愛は金で買えないが
快楽なら金で買える
優しさは喜びをもたらすが
優しさに傷付くこともある
何が正しくて何が間違っているのか
誰かを愛した時はそんな線引きなど ....
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