勝手に流れる涙は止められない
産まれた頃から他の兄弟より
小さかったこいつは
産まれた時から皆より
命の灯も小さかった
懸命に生きて
....
誰かが芥川を評して『まるで人生をピンセットの先でもてあそんでいるやうだ』と言っていたが当たり前だろう人生みたいに薄汚ぇもんピンセット以外の何でつまめって ....
愚かでいたい
弱虫でいたい
次に進むために
愛していたい
繋がっていたい
前に転ぶために
素直でいたい
意地悪でいたい
また会う君のために
「好き」という言葉が好きだ
その好きな言葉を
好きな君に云う
他にも云いたいことあるけど
君に好きという
君も「好き」と云ってくれた
好きな人に好きと云って貰えるのが
好 ....
二俣川の運転免許試験場に行ったら、人間達が列になり、渋滞していた。列に割り込む若者に「あなたは何処に並んでいるの!」と青い制服のひとが叱り、視力検査の小部屋では、レンズを覗く初老のおじさんが健気にも「 ....
下弦の月を軽やかに弾き
地球にメロディーを届けよう
月の響きは軽やかに
ぱんぽろりん
ぱんぽろりん
全ての人に平等に
全ての動物に平等に
全ての草木に平等に
病んだ雨の代わ ....
居間に
恭しく飾られている
モノトーンの写真
声も仕草も知らない
かろうじて
自分と父親を繋ぎとめていた
血脈以上の何か
十代の頃
鏡に映る自分が
架空の登場人物めい ....
あたりまえのように
ふたりで
広い河をゆくように
空をわたってゆく
波にだれかをさがすように
おなじものを一緒に食べるということ
目で歯で
舌で喉で臓器で
からだで
あたらしい発見 ....
わたしをみないで
うつさないで
おもわないで
わたしをみないで
みないまま
愛して
きらきらと留まるものを見ているのなら
手を伸ばさず 歩いていくのなら
近道ではないかもしれない
それは 近くにあるんだろうと 知る
川の畔に 綺麗な鳥が飛んでいくのを抱き合って 見ていた
....
叫びたい 夜の街
緊張と不安とを
逃げ帰った後悔を
終らせてやる
終らせてやる
緊張と不安とを
逃げ帰った後悔を
おかしなもので、
呼ぶ前から、この女はきっと、
がっかりするような女だろうな、と頭のどこかでわかるのに、
何かのひっかかりがあって、
呼んでみたら、
やっぱり今日のように、ハズレの女なのであ ....
そらは
だまっている
なにかつたえたくて
だまっている
にくしみもかなしみもない
そらのことばを
うつくしい
あおにひめて
+
しょうがが
きい ....
どうして夕闇は
せかすように美しいの?
置いてゆかれる不安はもうないのに
雑踏に踏み入れる勇気が
ないのにたどり着いた
いつもの という駅
帰ろうとつぶやくと
さみしくなるのは ....
人の奥底に棲む狂気
解放したのは邪悪な利己心
不条理な嫉妬
陰惨な敵愾心
不可避な憎悪
縦横無尽に疾駆するナイフ
赤い血が狂気の ....
酒の呑みたい宵は
白木のカウンターの前に座り
白いぐい飲みに熱燗を注ぎ
肴のへしこを小皿からつまんで
口に入れて噛み締めて
ゆっくり熱燗を口に含んで
昨日のことなど思い出しながら
グビリ ....
僕は
ギリシアの神
エロスの
敬虔なる信者である
という信仰告白から
物々しく始まるこの詩
エロスって
エロ本の神だよね?
と言う疑問はさておいて
ゆうこりんと
ほしのあき ....
気付かないで
気付かないで
ただ 貴方の横顔に
恋をしているだけ だから
気付かないで
気付かないで
ただ 貴方の横顔に
夢を見ているだけ だから
気付いてしまえば ....
(檸檬)
哀しみを知りすぎた瞳の奥には波のない水平線がひろがるばかりで
宛てもなく旅をさすらう絵葉書のように
文字は薄れ消え失せてゆきました
わたしはレモンをひとつ皿にのせ
....
始めましてサイクロプス。
これを送るころには返信になっているのだろう。
夜にしか生きられない我々には意味のないことだが。
我々は我々のグロテスクを呪うだけ賢くなった。
頑なさが麻痺を越え、 ....
おしゃべりのあいだ
だまってる
おしゃべりがおわるまで
だまってる
ふたりだけになると
はなしたそうにしてる
きみはぼくに
とてもよくにている
なんで、ひざ上にしちゃいけないの?
なんで、茶髪にしちゃいけないの?
なんで、化粧しちゃいけないの?
なんで、くつ下だらしなくしちゃいけないの?
あんたたちのリクツってわかんな ....
背のちっちゃな女の子
男好きのする笑顔が印象的で
逢う度に違う男の子と一緒だった
背のちっちゃな女の子
いつも彼氏の背中に隠れてた
風が吹けば彼氏の体を風避けに
雨が降れば彼氏の差した ....
ひとりでふたりぼっちになるよりも
ふたりでふたりぼっちでいるほうが
あったかくてやさしくてなつかしい
今という時間に
ふたりでいれば
集中できたんだ
ひとり ....
(小舟)
季節の風がわたしを追い越してゆく
夏のてまえで緩んだロープを解いてしまいました
桟橋に浮かぶ小舟はぷかり〜ぷかりとながされ
もう後戻りはできません
あなたから両 ....
北風が冷たい
夏にセミがいたなんて
すっかり忘れてしまう
すっかり気弱な太陽
それでもマンションの窓に反射して
自分の分身を生み出している
カラカラと枯れ葉が舞っている
吹き溜ま ....
必死に現実逃避
君の噛んだ指が
赤黒い蜜を垂らして
愛を染めてゆく
一途な創造など
望んだのが間違いでもいいや
必死に現実逃避
君の噛んだ指が
....
きみがいなくなったら
わたしは
おかしくなるとおもう
けど
わたしがいなくなっても
きみは
だいじょうぶだと
おもうんだ
つまらない女だから
わたし
ヘイタンマ
軽やかに告げ右見舞う
足を払って
顔面ボレー
こんど病院にいったとき
ぼくは余命をつげられるだろう
下腹部にこんだけ違和感があれば
死んだことなんてなくてもわかる
現実としてそれを聞いてしまったら
ぼくはいったい
なにをやめなにをつ ....
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