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三人分のメジナを
海から釣り上げる君の。
笑顔を思い出す夜に
家族という文字が
暗やみから落ちてきて、もう
もう泣いてもいいの。と耳打ちしている
染みわたっていくあたたかさの
ふかふ ....
夏の空へと影送り
ぼくを見ていてね。
窮屈な世の中でもがきあがき生きる
孤独をさびしさと名付けたら
涙を流せる呪文になる
命を数える通学路
アリもミミズもカエルもタヌキも
ぼくと変わらず ....
むなしい
と声に出ることはなく
ことばは秋に静かに枯れていき
地面に落ちては
たくさんの足音に踏みつけられ
悲鳴にもなれず
冷たい風にたやすく飛ばされる

ここで
ここで腐りたくはな ....
とがった先に
やさしくあるわたしの、本質
何度折れても
頑なに再生する、じんせい
歩く足のふとももに
太く根ざす、わたしの信念が
いつか土に帰るときも
刻んできた言葉たちが
生きつづけ ....
寝息が
夜のカーテンを揺らす
いつくしみという
どこかに潜む母性が呼吸をはじめる
白い肌のわが子の
すーっと通る鼻すじに口づける
溶ける音がした気がした
抱きしめるものがある ....
ちちとはは
ふたり
きみがうまれたあとなぜか
はじめててを
つなぎあったひのはなしをした

ゆうこくのうみに
むかってあるきだしたあのとき
べんちにすわってふたり
こどう ....
セックスのあとで
めずらしく君が眠っている
男は眠るものだろうか
君は起きていることが多いようにおもう
日常には官能がおちている
おち窪んでいる
せいかいに近づくには
どこかまち ....
ありのままの
星空よりも
ふんわりと雲のかかった空を見上げ
満天の星空を
想像する方がきれいかもしれない
ありきたりなことだけれども
わたしたちの想像力は
ある種の創造力よりもずっとずっ ....
とても
大きな夕暮れの
前に
ただ
泣き崩れてしまった
嗚咽を
もらしながら
ことばに
出来ないことは
こんなにも
苦しく愛おしいものだと
知った
瞬間だった


 ....
原寸大のあいを
ゆりかごで揺らす
太陽のひかりを浴びて
おおきく育まれた
栄養素というむすびつき

遠くで誰それが呼んで
名があかく色づいたよう
葉脈を通って
根から吸い ....
七月七日は
晴れだったんだろうか
雨だったんだろうか
そういえば私は
一年という月日を君と過ごして
入籍を決めたのだった

色々な人々が
星のもとで生活していて
私と君が
しあ ....
ポケットから
手帳を取り出す手が冷たい
ことばを整理する
その過程で
冷えてゆくものも温まるものもある
あられが窓をしきりにノックする
冬が訪ねてくる深夜

うまれてきたことに感謝し
 ....
そういえば
姉の名前は
梨の華と書きます
はじめての孫に祖父が名づけました。

昨日の午後に
私はのこぎりを持って
全身を使って
梨の枝を切り落としていました
父と一緒に
 ....
朝焼け
だったか
夕焼け
だったか
それは
忘れてしまい

だだ
君の
描く色が
鮮明に
焼き付いている。
捧げるほど
じゃない
いくつもの縁で絡み合ったこの地で
たまたま
出会ってしまって
今日は地球の重力がいくらか強い
だから
すこし伝えてみたい

月が見える
冷えた夏の夕刻に浮 ....
ひととして
いきるためにこいをしてきた
そうして
けっきょくいきられずに
こきゅうをして
えらでこきゅうをして
すいめんかをおよぐ

めぐりあうことをただおそれ
しずみこんでゆく ....
しをかいてはいけない
おしりをかいてはいけないのと
いっしょで
かゆいからといって
かいてはいけない
そこにてが
とどいてはいけないのです。
透明な絵本を
じっと見ている子供がいて
クレヨンを持って
かがやいた笑顔をみせる
 (これは何色なの?
としきりに尋ねてくるので
答えに困って
好きな色で塗ってごらんと
うなず ....
水平線に身をゆだねて眠っている
海面は揺りかごのようにゆらゆらと子守唄をうたう
水温はいくらかぬくもりを帯びてわたしを包む
羊水、とは確かにちがう
わたしと海の関係は、母と子という繋が ....
春「許せない春」


桜ふぶきが目に入る
淡く、幼い恋に似ていて
ほろりと涙がでた

花びらをひとつ
つかむと握りしめていた
肩をなでていく、風を感じる

許せるものを
この手 ....
薄暗い放課後の理科実験室で
やさしさの裏側を顕微鏡で覗いている
数名の男子が抱く女子への幻想があるかもしれなくて
もしくはどこか悲観的に
いくばくもない生命のおわりが映るような気もして
 ....
今日は僕の
春の挨拶ってことで
まあ
好きな言葉は
「言わぬが花」
好きな視野は
いないないばあってされた時に
うっすら指の隙間からもれる
あなたの笑顔です


モットーは
しなやかな心
っていう ....
あの子が描いたはじまりの色は
指で押さえたキャンバスの少しずれたところにぽつんとあって
じいっとそれを見つめていた

描き出された自画像の背景に色をたしてゆく
淡いブルー、またはグリ ....
家に静けさが降っているとき
五人の家族の顔は
お互いそっぽを向いている気がする
わたしはひとりで居間にいて
天気が悪いからって
掃除機をかけようかどうか迷っている

母は体調が悪 ....
天気の良い
朝方だったかしら
母が
庭の小さな一角に
ありがとうの種を
植えたのを見た

それから
気になってはこっそり
母を
見ていた
芽が出て
茎が伸びて
母の背丈を ....
どこまでも行くよ
そう言う必要のない
今はとても
穏やかに空の下で寝転んでいる

農家は汗水たらして
作物を実らす
我が家
みたいだな

家族の汗の染みこんだ洗濯物
放り込ん ....
母へと語られる
おもいは
いつもことば少なで

ずいぶんと幼い頃
学校へ行きたがらなかったわたしを
ぴしゃりとしかりつけた
あなたの手のひら
たった一度
手を上げたのはその一度
 ....
とおい秋に
実るものはなんだろう
わたしが実家の門を通るときに
ふと、かいだ
祖父が築いてきた
歴史のにおい
短いとも長いともつかない


毎朝はやく
仏壇に水をあげる、祖父
 ....
風を辿ってみれば
春はいまだ遠い
待っているのかもしれない
病室にいる母に
思いを巡らす
どんな風景を、この雪
窓から静かに
眺めているのだろう

病を患って永い
爪の先からこぼれ ....
夜は
重なり合って
ひそめく


息でくもる
ガラスを隠して
なだらかに波うつ
カーテンの裾で
夜は広がる


冷たい
アルコールが注がれた
二つのグラスが
擦れあった
 ....
小原あきさんのかんなさんおすすめリスト(35)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
寝相の君といつも君へ- かんな自由詩1022-10-14
空へ影送り_命へ祈り- かんな自由詩622-8-6
ことばは秋に枯れていく- かんな自由詩920-11-8
ほね- かんな自由詩12*19-3-20
添い寝- かんな自由詩14*16-1-3
あきら/うまれたひ- かんな自由詩9*14-9-24
スマートフォンの向こう側- かんな自由詩7*12-10-27
曖昧さをかかえて- かんな自由詩12*12-10-11
呼応- かんな自由詩6*12-10-2
逃げ水を追って- かんな自由詩5*12-7-16
七月七日- かんな自由詩4*12-7-13
冬が訪ねてくる深夜- かんな自由詩16*11-12-3
梨の花が散るとき- かんな自由詩6*11-7-29
転写- かんな携帯写真+ ...2*11-7-17
りょう- かんな自由詩8*11-7-14
あなたのてがおおきかった- かんな自由詩5*11-6-23
かく。- かんな自由詩15*11-3-29
透明な絵本- かんな自由詩33*11-3-16
そら耳- かんな自由詩5*10-11-20
四季- かんな自由詩8*10-5-25
やさしさの裏側- かんな自由詩21*10-4-23
こんにちは- かんな携帯写真+ ...2*10-3-12
捨て色- かんな自由詩5*09-12-6
静けさが降る- かんな自由詩9*09-11-11
おくる花- かんな自由詩6*09-11-1
ひなたぼっこ- かんな自由詩10*09-10-3
おもい出す- かんな自由詩15*09-4-25
実る- かんな自由詩7*09-3-24
春を待つ- かんな自由詩6*09-1-19
ひそか- かんな自由詩13*08-12-21

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