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五本の指に
五線譜を例え
かなでるピアノコンチェルト
指輪で装飾し
弾きづらくなる私は
リストにも
ショパンにも なれない
 
白と黒との鍵盤で
困ってしまったベートーベンは
怒り ....
新緑の歩調に
風のブーケが踊る
朝が来たのなら
花通りの空の
あたらしい風で顔を洗おう

うららかな候は
群青の筆をとり
太陽を描き始めた花の街へ
きみは、ハイカラに萌えて
モダン ....
 砂時計という名の{ルビ幽閉=ゆうへい}を描くべき色彩に迷い、
 指先ひとつで幾度も幾度も
 流れをもてあそんで
 みる

 (ここは、アトリエ・スロウ
 (時の許しに並ぶ場所

 ....
   やさしさもみんな抜け落ちて
   そいつはセーヌの流れに消えた





キリストマリアを引っかいて
破れた爪で十字を切った

 ....
 隣の部屋からヒュー ヒュー ハー と星の荒い呼吸が聞こえてくる
 丘で傷ついた星を偶然見つけて家まで運んできたのだ
 この時間だと病院は開いていないので 家で看病することにした
 手当を済ませ ....
ここが自分の居場所だと
胸を張って言える場所

安らぎと温もりと
他人にはあまりにも無力な私だけど
ここに居てもいいと言ってくれるから

心地いい空気に
肩までどっぷり浸かって ....
 トキメキを運ぶ春風
 心の桜が色めく
 幾億回も繰り返して
 今年も僕達に
 儚い気持ちを思い出させる

 着信拒否され
 深い川の底に沈む
 鍵が架けられた心の扉よ
 いつか開け ....
今日は君の誕生日だから
ワインを買って
薔薇の花束持って
会いに行くよ
      
いつもの様に君は扉を開け
僕もいつもの様に部屋に入る
      
花束に感激している君を横目 ....
初めてこの部屋に来る彼女は
僕の本棚を見て
どんな本を読むのだろうか、と
思うのだろうか

僕の机を見て
何に興味があるのか、と
思うのだろうか

壁に立て掛けているギ ....
今ではもう通い慣れたこの坂道を
少しだけそれて のぼっていく
平凡な昼下がり 

不意に現われた
ガードレールの向こうに広がる空の街

青の画用紙いっぱいに広がる白い雲
 ....
今なら素晴らしい詩が書けそうな気がしてる
空が木々が街がこんなに輝いて見える今なら

今なら優しい詩が書ける気がしてる
周りのひとがこんなにあたたかい今なら

今なら熱い詩が書ける気が ....
今日は風の強い日です

多少雨の混じった風は、今日に限って向かい風で
僕の行く手を遮るのです

僕がくるりと後ろを向くだけで
風は僕の背中を押してくれるのです

あなたが涙を流す理由が ....
数年前の夏の暑い日でした
私は確かにこの場所で
眠れない夜を過ごし
眠らない夢を貪っていました
数年前の秋に
私は{ルビ運命=さだめ}を失いました

世界の闇よりもさらに深い夜が
全て ....
花はピンクに咲いている
木々はプリズムに映えている
だがゆめはいつしかおらと浮気する

木漏れ日がまぶしい
空の変身がうらやましい
だがゆめはいつしかおらと離婚する

街の四つ角で信号 ....
東北ゆきの新幹線

平野の夜を

細く小さく進んでいる

人影のない模型に

明かりが


車って、

誰か乗ってないと、

動かねえよなあ、


東北ゆきの新幹線 ....
先週末は雨だった

今朝は誰より早起きをした

窓が光るみたいに明るい

今日は春らしい陽気になるでしょう

テレビ画面にはもう成人した最高気温

卵の焼ける匂いが

部屋のく ....
このいっしゅん、いっしゅんが、

かけがえのないものだってことは 
知っている




ぼくたちが、離ればなれに
別れていくことは 
知っている



何気なく過ぎて ....
「あの子には何を言っても心に響かないんです」
どういうこと?
そんなはずはないでしょ
同じ人間なんだから・・・

心を込めて使えばきっと通じる
分かってもらえる
例え嫌いな人 ....
 夜はこんなにも静かだ
 僕の知っている人達はみんないない
 もっと言えばこの天球の世界に人間はいない気がする
 宇宙は球体なのだ
 僕は外に出ていつもの草むらで倒れ込んで星を眺める
 プラ ....
日曜日の居酒屋は
子連れのお客さんばかり
親は酒を飲んで
子は宿題をやる
親は酔っ払い
子はゲームに夢中

わたしは居酒屋アルバイト

ビールのにおいも
煙草の煙も
芋焼酎のボト ....
午後から雨

そうだね
草丈より少しばかり高いだけだよ
寝転んで空を覗けば
透き通ってくどこまでもずっと
背中がくすぐった痛いね
午後から雨だね
蟻が不器用な列を作って
ゆっくりと夏 ....
世の中はいろんな難しいことがあるけれど
心を変えるのが
一番難しい

心は 目に見えない
心は さわれない
しかし 耳を澄ませば
きこえてこないか
命の鼓動が
冷えきった宇宙に 今
 ....
鏡がふいに斜めを向き
部屋のすみが溶けて明るい
鏡のなかには無色の柱
扉の前には銀の曇


銀はひとり歩き出し
窓を向いては立ちどまる
たたんたたん たたんたたん
素足の ....
別れの朝はなんて適当で
あっさりマグカップなんか洗ってる
もう触らないでって言ったのに
角ばった手は真っ直ぐ頬に触れてた

寝不足な顔してる
あなたの眼はそう言っていて
心配そうな顔 ....
ああ、泣かないでください
ごめんなさい
ありがとう

さようならは言わないで
涙が出てしまうよ

強さを持っていないわけじゃないから
弱いところばかり見せたくはない

泣きそう ....
深い森に一人たたずむ彼は
僕の十倍は生きてるだろう
それでもまだ僕と同じはずだ
まだなにかの途中のはずだ

成長したなんて自覚はないけど
ただ背は伸びて
歩幅は大きくなった
それだけ ....
喉が渇いたので 
駅のホームのキオスクで買った 
「苺ミルク」の蓋にストローを差し 
口に{ルビ銜=くわ}えて吸っていると 

隣に座る 
野球帽にジャージ姿のおじさんが 
じぃ〜っとこ ....
遠い記憶の片隅に
桜の花が咲き誇り
淡く染めゆくその色に
時の流れを知りつつも
時の流れの哀れさも
歳を重ねて見えてくる
はかなきものは美しく
美しきものは泡となり
消えゆくものは夢と ....
夕暮れ時の、



金色の窓




息を吹き掛けて




拭いて





うっすら汚れた




そのガーゼを






 ....
前略 手紙は届きましたでしょうか?
お読みになられたなら
そのまま捨ててくださって結構ですので


夢を見ることしか許されない街
標識も消えた交差点
重ならない夜 肩を寄せ合いながら
 ....
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