木偶のボー
nonya


憶えてないくらい前から僕は
屋根裏部屋の
喋らないラジヲと古雑誌の間で
首を傾げてる
別に忘れられたことを
恨んでるわけじゃない
淋しさのように埃は積もっていくけど
僕は元気

左足のとれたフランス人形は
屋根裏部屋の
歌わない蓄音機と古時計の間で
僕を睨んでる
何も君に好かれたいと
思ってるわけじゃない
恋しさのように物は朽ちていくけど
僕は平気

どうしてここにいるかなんて
考えちゃ駄目さ
雨の日は雨音のおどけた変拍子を
ボー
っと聞いていればいい

何かを変えられるなんて
思っちゃ駄目さ
晴れた日は小さな天窓から微笑む光を
ボー
っと眺めていればいい


自由詩 木偶のボー Copyright nonya 2008-08-31 11:03:00
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