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ふと、手にした
古びた写真の中に
微笑んで立つ
私に良く似た人が
いた
 
誰とはなしに
手を振るその人の
穏やかに下がる目尻は
無償の何かで
私を包んでいく
 
 
また別 ....
答えだけが
求められるから
今日は太陽が沈むでしょう
そのたびに
遠ざかっていくのです

   飛鳥の石舞台は夕日に
   廬山寺の桔梗は夕日に

やってくる未来を信じないにしても
 ....
ひなになれない
わたしは

せめてもの抵抗として
日々を生まれ続け
翼はとうに
ぼろぼろ


飛べたためしなど無い
それなのに頑として
語り継ぐことを
断ち切らない


 ....
潮のせいでくちびるの端にこびりついた砂を噛む
違和感
そのついでに日記にも砂をかませる

八月はつめたい
指先で這った波の曲線は
私の中では体温を持たない

数 ....
この手が
いくつもいくつもあったなら
泣いて光をうしなっている
あの子の
背中を
なぜてあげたい
頬にこぼれるものを
ひろってこの川に捨てたい



この手が
いくつもいくつも ....
雷鳴が轟き
空はアルミホイル
蝶は葉の影
鳥は枝の下

荒野に佇む
独りの城
城壁は濡れて黒く
野ばらは閉じて久しい

稲妻が城門を叩く
開けたのは王女
嵐の日だからこそ
旅 ....
真夏の陽炎の向こうから
短い編成の列車はやって来る

そのいっぱいに開かれた窓から
ショートカットの後ろ姿が見える

列車の外から
車両の様子は
ありありと伺えて
制服の脇に置かれた ....
こんな夜は
星なんかいらない
いろんな自分が壊れて

 風の吹き抜ける地下通路を
 歩くのはひとりだけど
 橋の向こうをめざしていく
 笑いながら

どこで夢見たのだったか、きみ ....
眠れない朝にあなたを思う


夜を通り抜けて
窓越しに出逢うあさやけは
そこはかとなくかなしい


あなたを抱きしめるだけの日々に
空で時を知ろうとしなかったから
この ....
41

市民会館の大ホールを
ゼリーは満たしていた
屋外では雨が
土埃の匂いを立てている
観客の思い浮かべる風景は
みな違っていたが
必ずそれはいつか
海へとつながっていた


 ....
旅先で出逢ったひとと 
うまい酒を飲んだ日は 
深夜にひとり戻ったホテル部屋で 
まっ赤な顔のまま 
はだかになりたい 

ベッドの上で 
パンツいっちょう 
はだけた浴衣 
へべれ ....
ココハ月姫ガ丘。蒼白キ月光ノ溜場。
揺レル命ノ漣ト、小サキ命ノ宿命ノ囁ク。

弱虫ナ狼ハ月姫ヲ想フ。
湿ル土ノ感触ト、身ヲ包ム風ニ揺レル。

疾走ノ残影、三日月ノ傷跡、照ラシ出スハ月姫。
 ....
部屋の中で
結実することのない植物の鉢植えが
かたむいて伸びきっていて
高架下のスーパーマーケットには
南の島でもがれた果実が並んでいる
光にとばされた道路の上から
ガラス越しにくわえ煙草 ....
今日はお祭り
君はもう十六歳
サングリア片手に
夕暮れの会場を歩く

オレンジやレモン、アプリコット
色々入ってる
かわいい歌みたいなお酒
ひとくち
ふたくち
僕にもくれた

 ....
昔、
暗やみがまだ
鏡の名前を持っていた頃は
安堵という美しさが
ありました

魔性は
ていねいに拒んでいたのです
だれかの
定義の外側を
上手に棲んでいたのです


 ....
予報は雨

(真昼)
あらがえないの
この時計の刻む
奥底からきこえる声には
自性が宿っているのだから
茫洋として連なっている先へ
零時の胎動しているのは不在
の影が失わ ....






ひと振れ

蝉の声かな
とおい町外れの
森林から
あたかも
きみとは
まったく
かかわりあいが
ないっていう
そんなふうに鳴いて

そのまま ....
低くなる光
黒に見え隠れする温度
埋み火のいろ
仄かに消えていく
ぬくもりだから

  だきしめて
  あと十分間
  ぬくもりを

大切なものは
ときどき儚くて
握り ....
                                   あたしは、
                         綿のスカートを翻して逃げる。
誰もいない、
  ....
四ツ谷にもコンビニはあった
赤坂にもあった
渋谷にも日暮里にもあった
たぶん静岡にもあるし
屋久島にもあるだろう
たぶん

中央線を降りてしまうと
唐突にプリンが食べたくなって
私は ....
夏の真昼、それでも橋は
向こう岸へと道を渡していた
橋は境界を渡っていくという
意志の名前だ

それはいつも不器用な放物線で
あなたと わたしや
世界と そうでない世界と
あっちと こ ....
梅雨明けを待てずに
空は青に切り開かれて
ホウセンカの種が飛び散る

新しいサンダルが
小指を破って
滲んだ痛みは懐かしい夏

種の行方を見つめ
きみがいない、
そんなことをふと思 ....
気づいたら
自分の後ろに
千の詩がこぼれていた
足跡とともに
時には運命に悲しみ
時には人に喜び
生きてきたことを
生きていることを
感謝する
まだ前に道は続いている
そう
まだ ....
 
 
31

世界が坂道と衝突する
アゲハチョウの羽が
誰かの空砲になって響く

内海に
大量のデッキブラシが
投棄された夏

遠近法のすべてを燃やして
子等は走る

 ....
雨とよばれる
雨とはちがうそれを
よける隙間も
したう境界線も
本能のなす
川かも知れない



浴びていることを
浴びせてしまうような
無知なる無知の
さらなる先 ....
重たいスカートのひだも
ほっとして忘れていく夕方
会社前のバス停で くみちゃんと会う
寮に帰るため一緒に並んだ

秋田へ帰るんだ
熊本出身のくみちゃんに言った
そうだってね これ ....
 西へ向けて 私は海を渡った
 揺れる気持ちを波のせいにして 逃げていた

 生まれつきの どうしようもないこと
 恨んだところで変わることもないし
 なら 愛そうと 愛そうと思って
 そ ....
何年ぶりだったろう
母のうでの中で眠っていた
幼いころに 暑がっては
アトピーの背中で いら立つわたしを
そうっと うちわで仰いで寝かせつける
記憶が 優しかった
起きたときに
とても
 ....
アスファルトも

道沿いの木々の深緑も

白く

光る

午後二時

時間の底に響き続ける

セミの

鳴き声

汗をかきながら

自転車をこぐ私の隣を
 ....
この草のにおいを意識し始めたのは、
いつからだろうか。
翳る当為が、こおりのように漂い、
透きとおる幻視画のような混濁のなかで、
きみどりいろに塗された、切りたつ海岸線が浮ぶ。

冬の呼吸 ....
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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この手- 唐草フウ自由詩13*07-8-7
捨てて- ふるる自由詩3*07-8-6
夏列車- 銀猫自由詩23*07-8-6
アルクトゥルスの頃- たりぽん ...自由詩7+*07-8-6
眠れない朝に_- Rin K自由詩39*07-8-5
「その海から」(41〜50)- たもつ自由詩1407-8-4
はだかになりたい_- 服部 剛自由詩807-8-4
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十六歳- ふるる自由詩607-8-3
鏡という王国- 千波 一 ...自由詩10*07-8-3
おとずれる- こしごえ自由詩11*07-8-1
夏についてのスクラップ- 水町綜助自由詩9*07-8-1
Proxima_Centauri- たりぽん ...自由詩6*07-7-31
FREE_FORM- はらだま ...自由詩21*07-7-31
あなたの心はコンビニじゃ買えない- umineko自由詩9*07-7-30
橋、ただの橋だけど- たりぽん ...自由詩11*07-7-28
ホウセンカ- 銀猫自由詩26*07-7-28
千の詩- ぽえむ君自由詩20*07-7-27
「その海から」(31〜40)- たもつ自由詩1107-7-27
はじまり- 千波 一 ...自由詩13*07-7-27
気をつけて- 砂木自由詩7*07-7-26
吐息- 北大路京 ...自由詩20*07-7-26
夏、もろうで- 唐草フウ自由詩11*07-7-26
夏〜ヤンマ〜- さち自由詩9*07-7-26
感傷的な夏より—連弾する午後の夢- 前田ふむ ...自由詩33*07-7-26

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