さーくる
たりぽん(大理 奔)

答えだけが
求められるから
今日は太陽が沈むでしょう
そのたびに
遠ざかっていくのです

   飛鳥の石舞台は夕日に
   廬山寺の桔梗は夕日に

やってくる未来を信じないにしても
あるいは
信じるにしても

   平泉の覆堂は夕日に
   丸亀の高石垣は夕日に

悲しみの残り香だけを
傷跡にふりかけて涙を流すのが
僕たちのためだというのは
ほんとうですか

   五稜郭の壕は夕日に
   舞鶴の赤煉瓦倉庫は夕日に

芝生の上でお弁当をひろげて
おなかいっぱいで
見上げる桜は
あのころと同じですか

   公園の鳩は夕日に
   なにかのシンボルも夕日に

僕は大切なことを忘れて
あなたを抱いているかもしれません
時間を止める方法は
ほかに知らないから
 
僕は、僕として反対するでしょう
誰もが、とは言い逃れはせずに

   たどり着ける未来をよくすることと
   よい未来へたどり着くことは
   同じことですか
   違うことですか

跳躍してたどり着く
彼方ではなく
手を伸ばして
たぐりよせる距離の
僕はちいさな平和に
あなたの
名前をつける

   壁に焼きつく
   僕の影
   夕日に





自由詩 さーくる Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-08-08 11:54:52
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