アルクトゥルスの頃
たりぽん(大理 奔)


こんな夜は
星なんかいらない
いろんな自分が壊れて

 風の吹き抜ける地下通路を
 歩くのはひとりだけど
 橋の向こうをめざしていく
 笑いながら

どこで夢見たのだったか、きみを
月だけが欠けたり、満ちたりして
どんな名だったろう
泣いていた、港で別れた
ひとは

 自分の影を追うように
 踏みつけながらおりる
 背中に汽笛の音
 とどけ

また嵐が来て
どうしても雨に濡れなければ
ならない時
もっとも透明なものを
ながせ

明け方まで瞬く様をみていた
オレンジ色の

 ( 生きるということ どこまでも
   何度でも 
   生きるということ )

あの人が笑うと
そんな夢まで、嘘になる

 ( ああ、明日思い出す! )




自由詩 アルクトゥルスの頃 Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-08-06 00:39:15
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