十六歳
ふるる

今日はお祭り
君はもう十六歳
サングリア片手に
夕暮れの会場を歩く

オレンジやレモン、アプリコット
色々入ってる
かわいい歌みたいなお酒
ひとくち
ふたくち
僕にもくれた

君はどんどん歩いていく
白い肩から何かが脱げる
君、
脱皮が始まったんだね

君はにっこりしながら片腕を脱いで
ぽとんと落とす
続いてもう片方
脱皮したばかりの肌は
真珠色で半透明

サングリアまだ残ってる
飲めば肌はぱっと紅色

そんなの僕はもう
まぶしくって見ていられないよ
それに
君は観覧車に優雅に腰掛け
ストッキング脱ぐみたいに
足を脱ぐから
僕はあっち向いていようかな

すっかりことを終えた君は
フィラメント真新しい
薄いガラスの電球
触れたらやけどしそうだ

まあそれで僕は
丈夫な手袋とサングラス買いにいかなくちゃならないって
チケットの残りを数え始めたんだ

お祭りのかわいい電球みたいになった君に
きれいだよ
以外の言葉が
もっとあればいいのにね

君の抜け殻には
たくさんの蟻が群がっていたけど
気づいてた?

まあそれで僕は
ぶあつい辞書と蟻退治の方法を探しにいかなくちゃならないって
母さんへの遅くなる言い訳を考え始めたんだ



自由詩 十六歳 Copyright ふるる 2007-08-03 16:02:35
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