吐息
北大路京介

 西へ向けて 私は海を渡った
 揺れる気持ちを波のせいにして 逃げていた

 生まれつきの どうしようもないこと
 恨んだところで変わることもないし
 なら 愛そうと 愛そうと思って
 そう 努めたけど

  いくら唄えども 私の声 か細くて
  あなたの胸まで届かない
  叫べども叫べども 此の声 届かない 聞こえない


    +++


 東へ向けて 私は空を渡った
 震える躯 風のせいにして 追いかけた
 
 過ぎ去った 戻しようのないこと
 悔やんだところで 直ることもないし
 なら 帰ろうと 帰ろうと思って
 そう 努めたけど
 
  いくら磨けども 私の声 か弱くて
  あなたの胸を貫けない
  願えども願えども 此の想い 届かない 叶わない


自由詩 吐息 Copyright 北大路京介 2007-07-26 23:45:46
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