橋、ただの橋だけど
たりぽん(大理 奔)

夏の真昼、それでも橋は
向こう岸へと道を渡していた
橋は境界を渡っていくという
意志の名前だ

それはいつも不器用な放物線で
あなたと わたしや
世界と そうでない世界と
あっちと こっちとかを
つないでいるようにみえる

  傷や哀しみがとけて
  流れていくのが川ならば
  橋はそれすら見届けて
  涙のむこうとこちらを
  ひとつにしながら分断している

僕はあなたの橋でいい
世界を変える、とか
悲しませない、とか
そんな嘘はつきたくない
ただ、彼方まで
あなたの道が
届いていきますようにと

ひとつひとつの傷を
不器用な放物線で



自由詩 橋、ただの橋だけど Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-07-28 23:24:00
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