どこで夜ははじまるのだろう?
(リルケ『愛に生きる女』生野幸吉訳)

夜は孤独だ
(ブロッホ『夢遊の人々』第三部・七七、菊盛英夫訳)

めいめい自分の夜を堪えねばならぬのである。
(ブラ ....
つるりとしろいプレートに盛られ、
真白く連なるポテトサラダから
球形の緑に滑るグリーンピース
注意深く刺し掬い取り除ける
フォークの動き 銀に輝き
シシシと笑う彼女の両頬に
笑窪穿たれる  ....
午前三時
茹で玉子の薄皮のような眠りは破られた
ゆうべ飲んだ珈琲が効き過ぎたのだろうか
迎え珈琲に冷えたTULLY'Sのブラックを飲み
ホールで覚醒を{ルビ促=うなが}した
煙草が ....
炬燵に潜った黒い詩のかたまりを蹴とばした
かたまりは、黄色く悲しい柄の炬燵布団を這い出して
畳に埋め込まれたトランジスタの蜜を指で掬った
雪と雨の雑じった空の涙を、吊し柿はただ見ている

正 ....
かつて
グラスから溢れ落ちた
水の音と
いつかの記憶と

夢であり、そのなかの現実であり、
日常と、仮設された風景に。

壊れた右手に接続された眼が、
路地裏に放置された
光の内側 ....
冷たい雨の中

{ルビ真紅=しんく}の椿が凛と咲き

冬ざれた街かどを{ルビ細=ささ}やかに飾る

一輪挿しにしたら

殺伐とした部屋も和むだろう
[ ── ここからモノクローム ]

の た め に 立 ち 上 が っ て 青 空
か す か な と ど く ほ ど 耳 ま で
ざ っ く り と 雪 割 っ た 悔 み の
人 知  ....
松本さんは珍来のチャーハンが食べたいという
それにビールが飲みたいと
毎食ペーストと栄養飲料
牛乳だけの食事を希望したのは彼の意志で
病院からの強制ではない
ぼくはレバニラが食べたくて
昼 ....
血なまぐさい系列の時代があり
生ぬるく溺れる時生続き過ぎ去り
混沌の渦巻きにまた
血なまぐさい系列が打ち寄せつつ
壊滅の前の静けさに
浜辺の優しい潮騒のにほひ薫る

ひたすらに走り廻る
 ....
初詣が済んだのでおみくじを引く
小さな地域の小さな氏神さまが静かに祀られている小さな神社は
この日ばかりは少しの間だけ人混みで溢れている
ぼくはおみくじを引く順番の列に並ぶ
ぼくの並ぶ列はどう ....
──韻律と、それを破壊するもの/詩歌の技法と、私詩史を通して




ころげよといへば裸の子どもらは波うちぎはをころがるころがる

 相馬御風の歌である。それにしても、「この音は何だ」( ....
暗闇だった空に
朝陽が昇り
次第に青く
深く色付いて
あるものあるもの
なにもかも
ただかがやき
浮き彫りにされ
今に在り始める時 、
わたしと云う存在は
またこの世界に
一とし ....
 虹の国

ヒバリは高く飛び
庭で虹を作って
笑いあったひかりの季節は過ぎた
あの虹は
偽物だったのかもしれないし
本物だったのかもしれない
空に虹が架かるたび
そこへ行ける気がして ....
木梨憲武が、じっと見つめているという夢を、見た。いい初夢である。 りんりんりん
それは 銀の
水脈です
ぴちゃぴちゃと
舌舐めずりすらするのです
放埒不自由な魂を
喰ってやる呑んでやると
魂の大河 静かさに
瞑目すればするほどに
意識の奥の光源から ....
きみの王國と、ぼくの王國を秤に載せてみようよ。
新しい王國のために、頭の上に亀をのっけて
哲学者たちが車座になって議論している。
百の議論よりも、百の戦の方が正しいと
将軍たちは、哲学者たちに ....
大晦日の夜から元旦にかけて
年神さまが誰も知らない山から降りてきて
健やかな子どもの足裏に
ひと粒の種を植えてゆく
今年はせいちゃんの番かもしれんねえ
そう言って祖母は細い目をいっそう細くし ....
自らの生存に絶望し
絶望し恐怖し忍耐し
朗らかに笑いながら
明らかな意識を持つ
これが最期と新年迎え

漆黒の魔手 、

今宵にもまた戻り来るか
棺に収められ蹲りながらも
貴女達は ....
妻との決着は穏やかに着いた
様々な想い出が走馬灯のように通り過ぎてゆく
長いと言えば長く
短いと言えば短かった

二人は別々の路を選び
晩秋を待って別れることになった
互いに別々の白い路 ....
ホっぺたがほころんでいる、
御餅、
焼き餅を焼いている、
御餅持ち、
涙はあふれ続けた 故人の眼から
森林はすっかり裸木の群れ、
冬空の青 木立の隙間から透かし彫りに
人間性から堕落し仲間を蹴落とし
自分自身の自由意志すら断念しても生き抜き
詫びても詫び切れず ....
僕は孤独だ
なぜ普通の人みたいに喋れないのか
周りが楽しそうに話してるのに自分は喋れないと悲しみと怒りがわく

僕は男だ
なぜ僕はいつまでも彼女ができないのか
ほんとはエッチしたいよ
も ....
地図も時計も捨てた時
人間が現れた

日が暮れる
人がどうなろうが
宇宙には関係ない

葉っぱは叫んだ 葉っぱの言葉で
枯れ葉が、自分のいた場所を見上げていた。
木馬は、ぼくか、ぼくは、頭でないところで考えた。
切なくって、さびしくって、
わたしたちは、傷つくことでしか
深くなれないのかもしれない。
あれは、 ....
父はギャンブルと女に金を使い果たし

家に給料を入れることは殆どなかった

幾度となく踏切りの前で躊躇したことか

カンカン カンカン ゴォーッ ゴォー

母は嗚咽を押さえてぼくの手を ....
濁音のような夕暮れを見ながら思考の中に潜り込んだ、目を覆いたくなるようなおぞましい景色に眉をしかめながら最奥を目指す、そこにはまだ辿り着いたことが無い、人間の集中などでは到底辿り着けないところなの .... 真っ赤な毒で満たされた盃を
一息に飲み干した

人生の不遇も悲しみも
すべて人のせいにして
生きてきた贖いとして

置き去りにしてきた不義理の数々
あなたは思い出すだろう

人の優 ....
豊かさにすがる人々が挙って生贄を捧げる
まぶしい海の街に聳え立つ女神の像が淫らに、
そして聖母のように微笑んでいる
見よ、彼女が踏み荒らした諸国の苦しみを

アフリカの中央部、西部、そして ....
雪明かりの中、ひさしぶりに散歩に出る
獣たちの足跡が点在し、ときどき走っては敵に怯えるように急ぎ足になったり、少ないながらもその痕跡が塗されていた
時折、小声で独り言で事を説明する私は酷く滑稽であ ....
きみの手は、
しっとりとした雪が、
もうすでに降り積もっている、
ひんやりとした夜の雪原である、
海さんのおすすめリスト(2151)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
IN_THE_DEAD_OF_NIGHT。──闇の詩学/余白 ...- 田中宏輔自由詩10*25-1-8
残光、死して- ひだかた ...自由詩325-1-7
中途覚醒- レタス自由詩5*25-1-7
青い涙- atsuchan69自由詩15*25-1-7
放課後- ryinx自由詩425-1-6
五行歌_花一輪- レタス自由詩5*25-1-6
2階のドトールから見つめる、冷めた残酷の、風景の。- 大町綾音自由詩6*25-1-6
【病棟日誌】_明日- レタス自由詩8*25-1-5
自由に挑戦する自由のうた- ひだかた ...自由詩325-1-5
おみくじの話- ちぇりこ ...自由詩925-1-4
ATOM_HEART_MOTHER。- 田中宏輔自由詩13*25-1-4
朝の倫理- ひだかた ...自由詩425-1-4
めざめるすこしまえの本当- そらの珊 ...自由詩15*25-1-4
初夢- おまる自由詩4*25-1-4
魂の大河- ひだかた ...自由詩525-1-3
王國の秤。- 田中宏輔自由詩14*25-1-3
年神さまのこと/花の営み- ちぇりこ ...自由詩13*25-1-3
名無し人、透空はるかに- ひだかた ...自由詩525-1-2
和解- レタス自由詩8*25-1-2
御餅やき- 本田憲嵩自由詩725-1-1
新年、同じ裸木の森林から(改訂)- ひだかた ...自由詩525-1-1
我の本能- 陽向(2 ...自由詩4*25-1-1
冬眠- 空丸自由詩1425-1-1
むちゃくちゃ抒情的でごじゃりますがな。- 田中宏輔自由詩17*25-1-1
母が教えてくれた歌- レタス自由詩6*24-12-31
渦を巻き、堤防を越えて、濁流となって- ホロウ・ ...自由詩1*24-12-31
思い残しつつ- ヒロセマ ...自由詩8*24-12-31
アフリカの涙- atsuchan69自由詩20*24-12-31
冬のにおい- 山人自由詩19*24-12-31
雪手- 本田憲嵩自由詩1824-12-30

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