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森はうすい木漏れ陽
誰知らず湧き水が澄みわたる
泉の
閉塞した世界に生まれる
山女魚は けして他の暮らしを知らず
夢さえもみず
泉に生きる
存在は、認識の果て
山女魚には街 ....
白い本をひらく
そこは、永遠てしのない階段が続く
教えられたままに ゆっくりと登っていく
いつか空に近づくころ 段差は代わりに五線譜になった
そこからは、音符の上をのぼりはじめ ....
うす紅のキンギョソウ一輪 その
散る音に目を覚まし、沈黙は山の見つめるとき
神宿る七月の森は、こな雪
里の稲穂は葉の鋭さを増し、生きる 道しるべ
石の鳥居をくぐれば 我をわ ....
文月の時雨 打ち水に街はひどくうたれ
ぼろぼろの学帽に 麻の手ぬぐい 高下駄で
土砂振りの雨に走り濡れる僕は、そんな僕を憧れてそうする
軒の触れ合う細い路地を 白い花水木のステイン ....
アカゲラについばまれた
桑の木 ハチワレの
地球のような球体の眼は 風の色をうつし、
木陰はさらさらと葉を揺らす
不安や恐怖が 世界を委縮させていく
怒りは人を疲弊させ
....
綿毛のしっぽ
小鹿は 天の一点を見つめ
遠雷は、雨か
我知らぬ予兆の
布告
与えられた
つばめの空を行く航跡の曲線文字を
なぞっては、
その意味を解いていく
ー路をうしな ....
悲しみを孕む
十三夜の月の満欠け
喧噪に街猫が 見る
自らの影の先に
山里を住みかの やせたクロネコは、子猫の蒼い目をうしなわず
それでいて寂しさをたたえ
まなざしは 紛うことなく ....
猫の半纏に ねじり鉢巻き、ふんどし姿
クロネコの屈強な男たちは威勢が良い
大きな俵をなんなく積み上げていく
月給が現物支給となってひさしい
円の代わりにコメが貨幣価値となっ ....
葵 奏楽の舌
かぎりない飴がふる
子どもたちは、慶びにそらのむこうの店(てん)をあおぐ
大人たちは、亜麻色それを 輝石とよんだ
化体それをひとつほおばり
まちがい ....
祝いの誕生日
庭に切り殺した 美しい植物をあげる
3歳児の顔で 姉は
うさぎの顔のついたスリッパの方がよいと 駄々をこねる
それは、植物よりも利便性が高いから
それは ....
「 新月の夜 」
存在さえも不確かにする 霧が降る
新月とつめたい星の光、みすぼらしいデッキの長椅子のしたに
小さな命が産み落とされる
白黒タキシードのハチワレと 闇色のクロ ....
「 砂塵の水 」
砂
砂塵
//////////・/・/風
刺す 陽は陰 空は、銀の航跡
時間さえ 破壊された瓦礫の街に
休息を微塵に許さぬ 爆音の響き
怒号 号 号 号
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