失われつつあるものを思うことは、
まるで水のように渇望する、
真っ赤な炎に染まった夕焼けの光景だ、
その時になってそれは何と美しかったのだろうと、
その時になってようやく特別なかがやきを放って ....
橋を渡る時に目に映る
川辺の桜並木の下にベンチがある
幅広のベンチを占領して
ただ川面を眺めているらしき人
新聞を読んでいるらしき人
音楽を聴いているらし ....
強がりな若葉が芽生えたから
車を飛ばして海を見に行こう
お弁当はトマト・レタス・生ハム・チーズのサンド
カラシマヨネーズを効かせて
ほら 遠くに洋紅色の貨物船が浮かんでいるよ
きみは う ....
シャッターのおりた憂楽街
眠りに落ちた改札口
プラットフォームの底
沈んだレールから
明日が聴こえますように
甘やかな時の過ぎ去りて
何一つ慌てることなく
渦巻く界の奥に
岩の照り光り
光球の巨大
地平を限りに
のっそりと昇り
どろんと沈み又昇る
奥へいけばいくほどに
打ち降ろされる彩の斧の ....
絶望することに
早々と絶望し
ながらも、
他人へと期待する
先祖返り繰り返しつつ
もはやどうしようもなき諦念に至り
生きる基本的態度としてのこの無関心 、
生まれ故郷すら遥かとほ ....
ああ、神様、
私は煮詰まっています。
午後の週末です。
それは非常に活発な議論です。
あなたのひげに会えて良かったわ。
長い間、会議に来なかったわね。
主人は自分の携帯電話で滑って眠りに落 ....
剥落していく昨日と、壊死気味の今日のボーダーライン、何もかもがぼろぼろで鬱血した世界だから、本当に美しいものが眩しいほど輝いて見える、俺ぐらいそのことを理解している人間はそんなには居ない、確かめた ....
広げた指のひとつひとつに溢れ落ちる僕の涙
冷淡な月が見下ろす夢は幻となって僕をひき裂く
あぁ、差し出した手をいぶかしげな瞳で振り払う君
虚空を舞う傷みは僕の中で仄かな熱を帯びてくすぶる
....
洋上に光球の昇り沈みまた昇り沈み
流れ粘り付き流れる視界の澄んで
死線の彼方にまで眼を向けながら
死の手前迄イッテハ踏み留まる
、
深々と肉の呼吸を繰り返し
これが今のわた ....
戦争を知らずにいたこと誇りたい
戦争を教えてくるやつ怒りたい
中東はどうだったかのぅ婆さんや
その時も彼らは正義の士だったや?
アメリカが庇えぬほどにコケるとは
胃を失ってからどれくらい経つだろう
彼方に去ったあの頃は
タンメン・炒飯・餃子くらいは当たり前で
身長169cmで体重は96kgあった
いまは62kgで絶好調! 動きやすい
胃の無い者の食事 ....
鉄筋コンクリートの我が家はまだ冷たくて
絨毯の上に固めの羊毛布団を敷き
モフモフの毛布を敷き詰める
上掛けは薄手の羽毛布団に軽い毛布を掛ける
ゆっくりと冷えた足を暖めては
睡魔の訪れをゆっく ....
君の瞳に僕は映らない
もういない
微笑みは涙となって海へと流れてゆく
まるで半身を引き裂かれたように心に激痛が走り
亡くした愛を捜している
あぁ、涙に滲む君の顔
君の姿
愛しては ....
すべてがほとんど初めてで
背が高くって
いつも見上げて話す帰り道
それがとっても愉快で楽しかった
時折見下されると
その人に守られているようで
頼もしかった
....
ゆれている
ふるえて
にじみ
じわりしずまり
ひょいとまた
ふるえあらわれ
ゆらゆらら
ゆらゆらするの
ひびきのたゆたい
のびやかたましい
どこへどこから
のんびりのびのび
....
なな な はて
て て
は は
ん い い え
な
しぃ て タ
はぁわぁ てぇ いぃー
て て し て ....
すきとほるとほい空
すくいなきこの身でこそ
視てしまう 観えてしまう
直に来るうつつの
よろごび呼び込み
くうの高みの現の写し
ぐんぐん来れば
暮れて
もう
うすい景色
映 ....
終電まで
バス停のベンチで喋る
時代小説の話をしたような
山の薫りが
背中の方から覆ってきて
いい夜だなぁと思う
あなたの声は心をやわらかくする
けっ ....
医療費がね
かかるんだよね、これが
どこが悪いの?
頭
って、これがね
何でもない人のね
医療費がね
かかるんだよね、これが
ぶったぎりゃええな?
そうしなさい
....
私とはボクである
ボクとは私ではない
僕が生まれるずっと以前(マエ)に私が生まれた
ボクは私の涙が枯れかかる頃
苦渋の底から産声を上げた
ボクと私とは一心同体
しかしまったく性質の異な ....
誕生日に
チューリップの花束をもらった
ぜんぶ違う種類のチューリップ
〝電車だからね、ちょっと恥ずかしかった〟
広い肩幅と一八〇センチ以上ある
その人は
....
しらほねしらぬか
しとしと
しとど ぬれそぼり
問い尋ねる先の
みえないみない
むなしい
だけ だから
隠れたお月様
姿を現しませぬか
陽を求める迄を
しませぬから
....
Who’s in your heart now?
誕生日、おめでとう。ぼくはあなたに言った。
全身がおれのストレッチだ! ははははははは!
陽気な日だ、きのうみたいに、特に憂鬱なことはない。 ....
あの子が「たまごそぼろだ」と言ったから
あの角の家にはおいしそうなたまごそぼろが咲く
神様に祈ってみたり、嘘をついてみたり
大して変化のない生活を強い風が撫でていく
更地になった場所に ....
ぽつんぽつんと
白骨の砕け
戻る地から
魂魄を離し
いってらっしゃい
いつかまたと
ぽつんぽつん
と
時の刻まれ
浮き立ち在るもの
また在るもの、
白骨のうたを歌い
....
大きな呼吸の
あるところ
迷子の流れ星もどうぞ
下町の画廊
築百年
ブランデーみたいな色してる
二階が住居で一階がお店のタイプ
こまい植木鉢が外の棚にいっぱい並んでいて
植木屋さ ....
知らない国の見果てぬ路線図
ここで乗り換えると海へつながる
春を見たければ各駅停車で
こうしているうちにも
砂時計のすなはおちつづけ
耳をかたむけると
さらさらさらさら、とささやき
....
一枚ずつ数えていくように過ごした貴重な季節が途轍もなく愛おしくて僕の頬を伝うのは残り梅雨、何もかもが新鮮な野菜に囲まれている、幼虫1匹として入る余地のない空間に隙間風が通る古いコインランドリーの前で、 ....
干し無花果を食べ
思いがけず 美味しかったようで
もうひとつと
私に手を伸ばす
まだ知らないこともあるんだな
四月も後半
まだ夜は冷える
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