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今朝
植物たちに水遣り中
衝撃が走る
私のサボテンが
土の上に倒れていた
唖然としていたら
「サボテンがコテン」
チラと見た夫が言う
西宮から一緒に越してき ....
夜のベランダ
洗濯物を干していたら
一匹のコオロギが鳴き出した
リリリ リリリ
耳澄まし聞き惚れる
まるで私を誘うよう
少し移動するたびに鳴く
─暗闇で見間違えね
─私は若 ....
遠くで
洗濯機が動く音を聞きながら
二度寝を楽しむ
夜明け前
目のよくない夫は
迎えにきてくれた友達と釣りへ
ほんのすこし
ホッとする
この気持ち ....
秋風が記憶を連れてくる
夢の中の貴方を手離し難く
朝の寝床から起きあがれなくなる
福島駅で別れてから
毎秋そう
別れを告げたのは私だけれど
きっと神様が私を
貴方から遠ざけた ....
小学生の頃、土曜日、たまたまついていたテレビから、心を鷲掴みにされる歌が流れてきた。
それはエンディング曲で、その時は何の番組かは分からなかった。
放送局はNHKだった。
翌週の同じ時間 ....
ああ いい気持ち
日の高いうちから
スーパーで買った鰹を炙り
新潟の純米吟醸を冷で飲む
今日はよくやった
早朝から頑張った
夫の用事で
行ったことのない羽曳野市へ
....
道路工事で
職場前の道は渋滞
ブラインド越し見える作業員の人たち
若い人が一人もいない
砂塵と高湿度の靄の中
上下するヘルメット
ドア一枚隔てたこちら側は
....
妹の娘は
私に似ている
彼女が産んだ赤ん坊
男前ではないけれど
愛嬌のある顔
知り合いの可愛いおっちゃんに
似ている
彼は私を一生懸命見つめてくる
私が何者か分析している
....
なんだろうなぁ
この感情は
分析すると
遠慮
気後れ
申し訳ない
いたたまれない
もっと役に立ちたい
もっと会いたい
帰り道はいつも
なぜか
幸せな気持ち ....
妹とふたり
霧雨のシンフォニーホール
舞台の上はふたり
セピア色の照明に浮かび上がる
息を吸うたび
音が全身に満たされる
長く透き通る高音の波が
眉間を通過し
思わず目 ....
新米を炊いた
土鍋で炊いた
二人暮らしなので
小さな二合炊き
二十分蒸らして
蓋を開ければ
しあわせの香り溢るる
神棚に供えて
日々の糧に感謝
「こんな美味しい米 ....
交番の横
公衆電話ボックスの中で涙まみれ
お巡りさんは私を見て見ないふり
勝手な言い分と怒りを
優しく宥めてくれた人
救いあげて走らせる白い車
夜中の阪神高速はオレ ....
京都にいた頃、
付き合っていた京男Nが、大の釣り好きで、バイクの後ろに乗っけられ、よく琵琶湖へバス釣りに行った。
Nと私の共通の友達、徳島出身のSも釣り好きで、三人でよく琵琶湖に行った。
S ....
きっと もう来てるけれど
秋の気配を
まだ感じさせないで
職場へ向かう道すがら
広い空地は雑草の森
鈴虫合唱が右側から覆ってくる
自転車のスピードを上げてすり抜け ....
ぎっくり腰は正式には
急性腰痛症という
背中に杭を打ち込まれたか
どうやって立つのか分からなくなった
東司へ行く恐怖
行かねばならぬのに
近くて果てしなく遠い ....
新横浜駅を降りてから
どうやって そこに辿り着いたやら
彼が教えてくれた家の間取りは
手紙に描かれた図の通り
他愛も無い話は ビールを飲みながら
お互い 何を考えているか ....
盆前の最終勤務日の今朝、ぎっくり腰になった。
時折、酷い腰痛に悩まされるが、ここまで酷く、まともに起き上がれないのは久しぶり。結局、仕事は休ませてもらった。
腰がここまで悪くなったのは、あの仕 ....
夏休みがくる
あの子がいますように
いや、いませんように
毎年 祖父母の家で暮らす夏休み
解放される天国の季節
いつからか
夏休みに必ず出会う少年
透き通 ....
お坊様の話を聴く日
もっと大変かと思っていた坐禅
雑念だらけでいいらしい
─蝉が鳴いているなぁ
─ミルク金時が食べたいな
と、私は今、思っている。
それでいいら ....
運転中
不意に現れ 目の端で捉える
蔦の絡まる建物
もう、その時期か
あの夏から
幾度 高校野球が開催されたか
懲りずに毎年
十七歳の夏に引き戻され ....
あの日
まだ遊園地があった頃
待ち合わせて出掛ける夕まずめ
武庫川に架かる橋には溢れる人
背の高いその人が
欄干横の塀に私を乗っけてくれた
スカートが風にめくれ ....
本が来る
熱烈な片想いが成就するかのようで
子宮がゾワゾワする
浅い昨夜の眠り
今日あたり
恋しい本が来る
半眼で想う
(行ったことのない)スコットランドの風 ....
三角関係の中にいる
同性の職場で
嫌い合っている二人の真ん中にいる
なかなか難しい居心地である
古い医院での受付仕事
日々 様々な方たちが来られる
待合室 患者 ....
あなたが好きな
あなたが教えてくれた曲たちは
夏の太陽みたいな陽気さで
とぼけたような気軽さで
悩みなんて欠片も感じさせない
まるで あなたのような
悩む前に放射し ....
今日は七夕
夕食後のお茶請けに
水饅頭を買ってかえる
点てたお茶を飲み
水饅頭をのせた皿を持ち上げる
「カエルの卵の大きいやつみたいだね」
食べ終えた隣の人が言 ....
十代の頃
ドラマで見たもどり橋と
一条戻橋は全く違うものだった
私が見てみたいと言ったから
連れてきてくれたけれど
逢魔ヶ刻
短い夕立ちの後
蒸し暑さ ....
怒りへの心掛けを知りたい
ほんの些細なことに
火が付いたように激怒する人がいる
何をもってしても許さない人がいる
そんなに怒って
何か佳いことが待っているのかしら?
....
ほんのり朝日が差す狭い部屋
人が縦横無尽に眠る中で目覚め
I氏と目が合った
時折蘇る甘苦い記憶
I氏は誰もが認める男前
気さくな好男子
でも
踏み出す勇気 ....
親友に逢う夜
朝からつま先が浮足立つ
去年の秋 中津駅で飲んで以来
大学を出て
四百年以上続く造酒屋に勤め
今や重鎮の彼女
彼女が選んだ店で待ち合わせ
少し遅 ....
職場での問題やら
他色々と
出口が見つからず
地団駄を踏む心持ち
状況がすぐ見えず厄介である
自分を少し見失っているよう
これはいかぬと思い
久方ぶりにお茶を ....
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