食べるものを作る人の手が触れる時
その土は地球だ
人を殺すものを作る人の手が触れる
愛する者たちの息も
貴方のものと同じ空気に違いない
星を眺めるものを磨き
星を渡るものを組み立て ....
群雄割拠の時代が終わろうとしていた。久慈の豪族、佐川義久は隣国の領主たちを自分の城へ招いた。月丸扇の紋章が描かれた屏風絵を背に、広間の上段に義久が座り、宴の席は中段に設けてあった。下段には着飾った遊 ....
{引用=音}
拾ったノート
裂かれた紙片
路地裏で思案する
この筆跡は、
群青に滲むヤドカリの砂
いまに消える声
ゼンマイの破片
砂利に、ちいさな仔犬
....
私は光ではない。私は捨てない。
私は地獄だ。私は無造作だ。
ここにたくさんのものがある。これもまたアホの習性である。
喚く、叩く、すぐ怒る、ネットはストレス発散、親を悪く言う。自分は姑息に成り上 ....
雨の日はなかった。
この心というものは、なぜこんなにも痛み続けるのだろう。
周りや世界への怒りは膨張し、身体中の穴から、煙がでそうだ。
頭の悪い思考回路のような気はしている。だが、それにもまして ....
釣り人の竿には{ルビ鉤=はり}は付いていない
{ルビ水面=みなも}に糸を垂らし
静かに佇んでいる
一幅の絵のように
渓に溶け込んでいた
外面より
内面を見る
何でも
上手くいく
方法
灼熱の
陽射しに晒す
我が肌は
焦げ茶に染まり
ひとり旅ゆく
ひとりゆく
そらの青さに
溶けてゆく
昨夜は午前2時に起き
奥深い渓へと向かった
午前5時頃に渓の入口に着き
身支度を整えて路の無い藪を掻き分け遡り
25cmのニジマスと20cmのヤマメを釣り上げ
今夜の夕餉はこれで良いと渓 ....
夏が押し寄せてきた
ブルーのイメージ
ブルーだけど薄いブルー
暑さだけで考えればレッド
全体的に考えればブルー
夏は海というイメージ
青空というイメージ
ブルーで包まれている
....
{ルビ画布=カンヴァス}の中に
(夏目漱石『三四郎』三)
海がある。
(詩篇一〇四・二五)
海辺のきわまで
(エリノア・ファージョン『町かどのジム』ありあまり島、松岡享子訳)
....
(君のくちびるは、まるで明るいフルーツパフェのてっぺんに添えられた、砂糖漬けチェリーのような紅さだね)。のような視線。照れながらすこし俯く、見事に染め上げたホワイトブロンドの頭髪をあかるい指さきで搔き ....
夜のスーパーは人影少なく
ゆったりと買い物ができる
入口を入ると野菜コーナーでアスパラとエリンギが眼に飛び込んだ
明日の朝はベーコンと一緒にバターソテーにしよう
このスーパーでは半額シール ....
涙の夜に
生と死を思います
涙の夜に 涙の夜に
生と死を思います
ふるえる心は
生と死を
深く思ううちに
心の奥の魂が耳を澄ます
銀河の岸の星の死と
(とても悲しい時は何も手に付 ....
生きるために
お歌を歌う
蜩の
いのちの
歌声
※ 蜩=ひぐらし。別名、かなかな。
・
私にとって詩とは
死を含んでいる生(せい)です。
詩とは例えば、
草むしりの草 ....
涼しい崖の下のような廊下。私はプラスチックの四角いキーをゆっくりと叩いている。白
い四角い画面に、真っ黒な電子の文字が連なっていく。ここから遠い街の光は、まるで琥
珀の中の物語のように見える。
....
日照りつけて
前方に霞む百日紅には
二匹のクマンバチ
ふと足もとを
蜻蛉のちぎれた一枚羽が
微風に 晒される
古道の低い石積みの傍、
生い茂る樹木の根元で
....
その未来は
見かけによらぬ人たち の他人同士でも、
同じ地球に住んで違う夢をみていても、
使役するデコイ同士が連絡をとりあい?
過去を補正してくれているのだろうか?
出涸らし ....
真夏の日中に上空を塞いでいた、ひとつの低い層がなくなって、青春の夏はより遠くまで反射して、よりいっそう真夏の夜の夢に届きやすくなる。より受信しやすいように部屋のなかの灯りをすべて消す。多分に雨の吹き荒 ....
甘いささやきが
ゆったりとこの身を襲う
抗っても
酒を飲んでも
憑りついて離さない
わたし 雨
私あめ 時々 あられ
心ゆられ
たこ糸のさきに むすんだ釘を
しずかに 夜に沈める
口の端に くわえた糸に
声をつたえる きみに聞かせる
わたし 雨
夜から ....
好きなもの好きなものだけ食べる君体をずっと鍛え上げてる
栗拾い自宅の庭は栗ばかり人にあげたり食べきれなかったり
遊ぶ場所無くなり家で過ごしがち公園の土地持ち主に戻る
自宅から一キロ先 ....
言葉なんていくらでも捨ててやる
そういうとあなたはノートの中に隠れたのよ
皮を剥ぎ取る山が熱波に燃える
吸盤の取れた水蛸はエイの群れにすがる
アンチエイジングだと彼女は言い ....
僕は泣いていた
世界が僕に厳しくて
その時、君に出会った
嬉しかった
でも君が急に
僕に冷たくなった
なんで?と聞きたかった
他に好きな人できたの?
君の気持ちが分からない ....
渓流竿は刀のように美しい
日本独自のもので
種類は今まで数百はある
明日は碧羅という強竿を携え
大物を狙いに行ってみる
少年の邪な戯れを叱る大人の浅はかな接し方に、明白な根拠のない論理性付け加える静かな大人、だが少年にとっては、邪でも嘘でもなかった。
小さな頃の、歪な思考回路の、知性のないところから、まるで、客観 ....
地平線の彼方まで丸焼けだった
瓦礫と錆びたトタンで作った
家族でさえ疑って暮らすバラックで
卓袱台に載った、芋粥と悲しみ
ヤンキーに{ルビ集=たか}ってチョコをせしめた
空地で捕まえた飛 ....
夏にだけあらわれる
小径の奥に
ひっそりとした場所
そこにやわらかな墓標がひとつ
あたりを囲む緑のざわめきの中に
なぜかいつも感じる
揺籃の気配
その中には多分 壊れた玩具の ....
喉滑る夜半の冷茶
温くなった保冷枕を取り替えて
寝間へ戻れば 扇風機の寂風が、
モザイクかかる途切れた夢の
あなたを白い紙屑にした
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