氷の季節には回虫も動きを止めていた
突然太陽が暴れだしたのでリンコ/僕は逆らうことを諦めた
ゆるせないのは涼しい顔をして腹の虫を肥らせていること
弱虫と見せかけて強い者には抵抗し、さらに ....
私たちは畔にいる
この川に隔てられ
あなたとわたし
大空の下 太陽の下
絶え間なく絶え間なく
落ち続けて昇り続けて
洋上で過ごすように
日がな一日、
畔で待ち続けて
絶えず思い出 ....
ふしあわせ というものが
とくに こころ美しく
あたまのするどい ひとに
みいる のでしょうか
はんぶん いろづいた林檎の
つめたい甘酸っぱさを
あなたは こころ ....
砂を、食べている
無限に広がる
砂漠で
時々蜘蛛を、見つける
その、内臓も食べる。
そうして今日も
照りつける太陽に焼かれて
流れ出る汗と熱に
揺れる視界に
方向感覚 ....
○「帰省」
今は
親が
子や孫に
気を使う時代である
子や孫が帰ると
ほっとするという
○「さまざまな会話型AI」
「会話型AIボケ老人対応仕様」
「会話型AIかかりつけ医仕様」 ....
いちちゃが
いちまでぃうんな
あんしぇーまたやーさい
(なぁ、けえてぃくんな)
——
何時来ゃが
何時迄居んな
あんしぇーまたやーさい
(なぁ、帰てぃ来んな)
....
○「災害中継」
テレビの現地中継で
テレビ局の人が言っている「言葉」と
映している「様子」が
一致してない場合が時々ある
これは改善していただきたい
人間は
言葉よりも見た方を信じやすい ....
汗が目をつたい
塩辛さが痛い
草は水を失い
根無し草を被っている
ミンミンゼミは狂い鳴き
一日のはじまりから終わりまで
命の終末まで生を主張する
夏は終わろうとしていた
....
私の名前はルナ
精神科医の父と母と暮らしている
ずっと引きこもりだったから
私を見かけたことはあまりないかも
もしも夜中に変な音が聞こえてきたら
それは猟奇殺人の証拠になるんだけれど
....
○「想定外の時代」
今は
心配していることよりも
心配してないことの方が
起きる時代である
心配症の人も
心配してないことまでは
考えられない
○「しあわせ」
まだ歩ける
しあ ....
濃い青の空に
白い雲の城砦がいくつも立ち
なかぞらを埋めつくす蝉時雨
他のどの季節にもない濃密さで
夏は君臨する
けれどその夏の中に
巨きな空洞がある
夏のあらゆる濃密さが
そこで ....
九十年も連れ添ったなら
死ぬ日も一緒 どうせなら
あんたは言った 猛暑日に
「こんな暑さはどこふく風よ
エアコンなんてやめてくれ」
あたしは火照ってしかたない
あんたの強気に惚れたのね
....
小さな手花火
火をつけられたら
そこからはじまる
儀式
一瞬燃えたあと
丸く赤い心臓が生まれ
酸素を吸って
チカチカと
この世ではじける
火の花
いっときの命
えいえんには続か ....
京都三条大橋から
どう歩いたのか 黄昏時
そこは照明も暗めな地下の酒場
会社で 見かけたことのある
顔が目につく
チケットが一枚余ったんだ、と言う
上司から強引に誘 ....
いつから、
あそこにゐるんだらう。
日溜まりの向かふに、
声がする。
日溜まりの向かふに、
声がする。
わたしの声だ。
それは、
....
昔は僕も若かった
どんぶり飯にラーメン大盛
コーラはオームサイズ
昔は僕も若かった
100メートルを全力で走っていた
マラソンを完走していた
昔は僕も若かった
朝立ち昼立ち夕立ち
いつ ....
過夏、アキ、コメット伝言 わらべから
*大矛盾。社内で行う第三者委員会。
**超現実。分裂することでの刹那の安心。
***近未来。言葉と文字と情報で構築されたネット詩人たち。
....
窓の外からプラハの音がする
かつて愛していた人や物も
眠たい砂鉄のように
廃屋に降り積もっている
少し押し込むと
そこで手触りは行き止まり
肉体は肉体たちのメニューとなり
旧市街 ....
ぼくはどこへゆくのかなぁ
ポケットにビー玉がじゃらじゃら
麦わら帽子に少し汚れたランニング
ビーチサンダルの鼻緒はブルーだった
あの頃のぼくはもういない
灼熱の街を黒い革靴でさまよう
....
君の声が僕に届く
受話器を少し曇らさせて
その空気を庇った
時間がないような気がして
一度に沢山のことを
話したくなる
僕らはまだ
何も知らないはずなのに
どうして同じ方向を
....
柔らかく白く歪な形に輝き響かせ
ふっくらふんわりふらりふゆうし
あるもの在るものと頷かせ白雲よ、
わたしのたましい大きな巨きな歌
火球燃える天空に開放されながら
こんなに色づき薫り漂 ....
○「生きる」
鳥たちも
虫たちも
草木たちも
それぞれの生を
迷いなく
生きている
○「今ある幸せ」
今ある幸せに
感謝しよう
今ある幸せに感謝できる人は
幸せだ
○「 ....
iqが20違うと
会話が成立しないそうな
高い方が病気扱いですな
おまえには難解でわからないだろ
誰もわからなければ
病気扱いですな
なんかいー感じ
を大事にしてもらいたい
作 ....
くもひとつない、
困り果てた青空のした、
それでも、毟ろうとする、
土ようびの、
しごと、
土鳩のように、首をかたむけて、
いやでも土と向きあう、
ことになるから、
それは、
ホント ....
洗いざらしの衣類のなかで、リーバイ・パタの詩画集をひらく
女のいない男がしてやれるのはたったそれだけのこと
コインランドリーが不法占拠されてしまう夢を
ついさっきまで見ていたんだよ
....
息を吐くように嘘をつき
息を吐くように詩を語り
息を吐くように哲学とか
そばで僕は
息を吐くように見過ごす
息を吸うように語る人に
息を吸うように耳傾ける
卒業の記念を持たない人が
ポケットに
石を忍ばせているらしいと
風の噂が耳を掠めた
石ころの仕込みは人それぞれらしい
代々受け継がれるモノもあれば
下駄箱に投げこまれてい ....
いまからおれは
ナスのことを話す
乳白色のレジ袋の中
群れをなすナス
おれはナスに仇なす者
包丁の鈍い光
ナスのヘタ切り離す
輪切り
乱切り
半月切り
水にさらす
もはや ....
子どもが さけぶ 肺をからにして
名前を奪われた 動物を確かめ
さけぶ こめかみをふるわせ
おなじ靴、おなじ服
好きになれない 名前 みなひとまとめに
ぬぎ捨て駆ける
さ ....
熱砂 と
真空
ごう音と
死の静寂
閃光 と
奈落
重々しい
数十万の足音が
はてもなく続いて行く
銃をかつぎ
一すじの乱 ....
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