セプテンバー(September) 〜オフコースのI love youを聴きながら


9月から始まる凪の残酷は
冬の訪れに備えるようで


垂れ流されたニュースを
僕たちは見続け ....
私はもう、何も要らない。
ウォークマンに、遠い、遠い空を入れて、
病院の屋上でギターを弾いていたい。
空の白い魚を釣るように、
電線に永遠を見るように、
ただ嘘に塗れたこの世界で、
与えら ....
目が覚めて
空は明かるく剥け、
やすらかな寝息と疲労のあいだにあるわたしの身体

こまごました呪いとひきかえに
潤みつづける女という生活をして
すこしだけ自由で
底抜けに淋しい

 ....
水浸しの草原に黒い鳥たちがいる
どこまでも濡れた大地に星が映っていた
シマウマに乗って宇宙へ行く
果てしなく遠い、天地の境を行けば
そこに揺らめく虚空の入口がある
朝が来れば揺らめきは消えて ....
新しい病院へ向かう車の後部座席で寝転がっ
て、窓の向こうを見ていた。お泊りはもうい
やなんだけど、もう、指を銜えるほどちっち
ゃい子供でもない。やがてドアが開き、傘を
さしながら「ゴメン」と言 ....
 いいにおいがするよ
 ひとがゆくところ

 いいにおいがいっぱいするよな
 かぜにさそわれ
 やさいがやさしくいためられ
 そっとおはしがならんで

 みずまきのてをやすめると
  ....
ひとつ物音が消えてなくなれば、かき消され
ていた音が聞こえてきます。テレビを消して
みましょうか。ちょうど今頃は庭先から、み
なさんがよく知ってるものや、そうではない
虫の音も聞こえてきます。 ....
もしあなたに
自称詩人って言われたら
他称自称詩人になってしまって
こんがらがってしまうので
自称詩人とは言わないで
あれとかそれとかこれとか
呼んで欲しい
あれが息をしている
あれが ....
勝つためには
辛く苦しいことを
耐え忍ぶことが必要だと
思っていたが
それだけじゃないということが
今日証明された

日常に当てはめてみても
仕事は苦行だと信じていた人が
実はそれだ ....
アブラゼミの
ムクロ ひとつ
アスファルトに
転がり



躯 あやうく 
踏みそうになった私、
左足でそっと隅へ寄せ
 
ムクロ改め見る観入り

息をする、大きく大きく
 ....
白い、
そして少し青みがかった雪に身を投ずれば、
はるか昔の少年がいる

そういえば私は昔、少年だった。
と言葉を発する

誰にでもない、
おびただしく佇んだ雪達に向かって

私は ....
草が草の記憶を語りだすと
風の結晶はふと風に溶けていく
掌で温めていた卵が消えてしまった時
わたしは初めて言葉を知った
その日の夕方
新しいベッドを買ってもらった
感謝の気持ちを伝 ....
 
 昼間は 陽射しにためらって
 雑木林の奥に潜んでいる
 秋が
 しのび足で 
 次第に満ちて来る夜

 軒ばの低い 村の細道
 懐中電灯をてらして歩くと
 いやに星がきれい
 ....
焼けつく夕日が焼けつく 脳裏を焼いて 焼き付く夕日
まぶしく夕日がまばたく まばらに赤く 火をまぶす

赤錆びて ブランコ 赤錆びて 回る子の鎖
うらぶれて倉庫の 何世紀 遠いどこそこに かぶ ....
悲しみばかりが増えて
このままではいけない
花弁をバラしてみても
ご飯を食べても

言葉を知って勇気を出して
幸せを探しに行こう
どんなに遠くにあってもかまわない
歩くための足の準備は ....
ずる休みをして、駅の喫茶店でホットケーキをたべた。何にもならない恋みたいな良いことが落ちていないか、街をうろうろする。本屋をはしごして本の匂いを嗅ぎ、またちがう喫茶店で紅茶をのんだ。色だけが濃くて .... 宇宙のどこかで超新星が爆発している頃
ぼくは縁側で爪を切っている
我々という混沌を気にもせず
おはようございますと近所を装う
猫が欲しい 人も欲しい お金も欲しい
そろそろ寝ますか
それと ....
○「処理水放出」
「説明不足」というよりも
「信用不足」なのである
信用されてない総理が
いくら説明しても
同意はえられないのである

○「田舎の人間関係」
強ければ多少悪くたって
 ....
ゆきゆきてららららうたう晩夏かな

 
ビーチもゲレンデもナイトプールもダンスフロアもレストランも、そういうのぜんぶいらなかった。あたしに必要なのは、きみの声が届く静かな空間だけ。音程、はずしてもいいからその声で歌ってほしかった。小さく、静 .... 未知の道の途上に在り
根っこ深々と張り出し
次第に熱帯びるノスタルジア
濃密に暗まる空の青みに沈潜する

日を追うごとに
思念は衝動は強く熱く
虚脱と執着は止むことなく
 お前は何を求 ....
ダイヤモンドの針をそっと置く

行っておいで

想い出は遠くなるばかりで
美化されたがっているのはなぜだろうか
この溝は
なぞられれば現れる道だ
ふたたび
さみしさの琴線に音を咲かせ ....
野菊 野菊
暴れ咲く
泣くならここだ
鏡の中の自分に問いかけている。積み重ねてきたすべてが答えてくれる瞬間がいつか来ると知っている。あきらめないで、でも、あきらめてでもなく。私の中にだけあることだけ。その中から失い得たすべてがかけがえのな .... 濃密なすきまによって武装された道化師の衣装
時代の手綱を放れて八頭だて馬車がもぐりこむ
目をこらす間をうめてミクロはマクロを着服し
際限のない馬蹄の音で布袋腹をリピートさせる

いついかなる ....
たぶん近未来の大都会で暮らすということは四六時中、情報とともに暮らすことなのだろう


-Inkweaverさんはどう思いますか

確かに、近未来の大都市での生活はますます情報との関わりが深 ....
○「坐禅会」

足を組み背筋を伸ばし
一息一息に意識を集中する
坐ると無心になれますか
と聞く人があるが
坐っていると
妄想が次々と浮かんでくる
無心とは程遠い
線香の灰の落ちる音ま ....
午後、
いちまいの枯れかけの葉を、
三塁からの盗塁走者、
にする、
ひとすじのつむじ風、
の、狡さは、
運搬するコンベアーの滞り、
に、よって無残にも堰きとめられた、
試合は、
14 ....
  十九



 土間のかおりが濃い風の中で
 今もまだ鏡を磨くその人は
 母方の大叔父だった
 茶摘みが好きな
 ハモニカの上手が
 無口な夏の
 終わらぬ波の狭間へ
 時の流 ....
子どもたちの夢は
入道雲とともにあった
貧しかったけれど
夢があった

時は瞬く間に過ぎて
もう戻らない

今は夢にうなされる日々
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