風のにおいがする、花の音がする。逃げてゆく春の背だ。
 だれかをこころの底から愛したことがあったかどうか、ふと、八重桜のうすひとひらに触れそうにして胸苦しくなるんです。あなたもです、私もです、お互 ....
二〇一五年十三月一日 「芸術は自己表現はない」


 自己の表現と、自己表現は違う。2015年9月29日のメモ「いまだに芸術を自己表現だと思っている連中がいる。きょう、職場で哲学の先生たちがお話 ....
ある日のディナーは
皿に憎しみが盛られていた
ナイフとフォークを器用に使って
切り分けてみる
憎しみは固く怖気がするような酷い臭い
一切れ口に運ぶと毒の味がした
私は一切れ分の怨念となり
 ....
どうやら
うつ状態らしい
見かねて
モスバーガーを奢ってあげた
これが
今のぼくにできる
精一杯だ
オニオンリングは
案の定
バラバラになり
だけど
食べてる間
ずっと
ポロ ....
二〇一五年十二月一日 「毛布」


 きのうのうちに終えるべき仕事をいま終えて、これからイーオンに毛布を買いに行く。クローゼットに毛布が1枚もないのだ。捨ててしまったらしい。これまた記憶にないの ....
夕暮れは、いつも隣に座ってた

河川敷の土手に、いつも僕と座ってた

何を話すでもなかった

ただ何となく、二人で座ってた

夕暮れは、いつも時間になると帰ってった

泥だらけ ....
もうすっかり春になりましたね
今日は風が強いです
咲いたばかりの桜の花が
ゆらゆら大きく揺らいでいます

 ■□

私は街を周回していた
人波物凄い雑踏だった
(流れに乗り遅れたら、 ....
詩集を出したばかりの頃
卒業後初めての同窓会があった

みんなそれぞれの世界で活躍していて
「詩集を上梓しました」と宣伝すべき立場と
疎ましく思われる現実とに混乱した

高1で同じクラス ....
地球とは叡智を究め滅ぶ星
今日も最期の夢を見ている
雨粒がポタリポタリと落ちるのを
ショッピングモールの四階の暗い駐車場で
一緒に見ていた
やわらかい君の太ももはあたたかかった
じっと雨粒を見つめているその長めの睫毛は
ぼくにとてもよく似てい ....
 雨が降り続きます。それは決して晴れない雨です。なぜなら、雨は心のなかに降っているのだから。昨日はバス停でバスを待つ傍ら、ああ、この人はきっと割り込んでくる。と、いう人がいました。案の定、彼はわたしの ....  彼女が問うそのやわらかな言葉にわたしはと惑う。

 その刹那、その物腰、その唇の動き。私の目からは隠されている、それらの上に──彼女は、とても重い。母よ、すべての者の母よ、すべてを失くしたあなた ....
10月だったか11月だったかの暖かい日に広い収納と駅前らしからぬ静けさにここにしようとあなたは言って笑ったんだっけね
でもその後で気温は壊れたリモコンみたいにバカになって静かさに強風の音ばかりが響い ....
二〇一五年十一月一日 「海に戻る。」


 ぼくはまだ体験したことがないのだけれど、おそろしい体験だと思うことがある。自分がどの時間にも存在せず、どの場所にも存在せず、どの出来事とも関わりがない ....
あなたが嫌いだから
あなたとは距離を取りたい
あなたといると
私が私じゃなくなる
あなたと一緒にいたら
耳が聴こえなくなった

あなたは私を支配する
あなたのために微笑むことはもうない ....
示唆でないものはない
つかれた
しばらく真っ白な部屋にいる

よろしく
回春。
ほどけゆくリボンの落ち往く先にある、希望という名の広い花園。

ローズティー、浮かぶ花びらふるわせて。貴方は横向き、遠い目をする。

道端のキバナコスモスは無言で、ためらう様があなたに似ていた ....
 
 
塩水を買って帰る
安かったから、と妻に渡すと
またこんなもの買ってきて
そう言いながらも大事そうに抱えて
海に帰っていく
今日のおすすめはこれです
テレビの人が言った
(午前 ....
二〇一五年十月一日 「℃℃℃。」


℃■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■
■■■■■■■■■■
■■■■■■ ....
海底99メーターの孤独
エヴェレスト単独登攀の孤独

子供が離れた孤独と
爺ちゃん婆ちゃんのいない孤独

不安に怯えても孤独と融和しようぜ
もう子供じゃないんだから
もし好きなことがあ ....
口元から読経がながれる
もの言わず燃えたぎる焼き場にて
圧倒的なあの世が降りてくる

惜別をぶち抜く感情のほとばしり
わなわなと肩が共鳴する後ろ姿
人目を払いのけ崩れ落ちる黒影

命に ....
大好きな女と離島で暮らす
大嫌いな奴と仕事をする

愛情たっぷりの野菜を食べる
つまらないことでも悩むのだけれどもね

まあ確かにいいかなって
とても酷薄な人生のやり口だ

計画経済 ....
「大地」

大地がぼくを落とさないでおくのは
それはやはり
大地がやさしいからだ
そうかんがえないと
「今」にいられない


「ゆきがふる」

あの子
ゆきにさわりたいから
 ....
二〇一五年九月一日 「明日」


 ドボンッて音がして、つづけて、ドボンッドボンッって音がしたので振り返ったら、さっきまでたくさんいた明日たちが、プールの水のなかにつぎつぎと滑り落ちていくのが見 ....
手綱に導かれながらよろめく
いつの間にか鉛の靴を履いた

老いに削られ痩せ衰えた体
荒々しい息が吐き出される

ひとつひとつ生まれる幻影
熟さず霧散する己を舌で追う

間もなく土に帰 ....
薄暗い穴ぐらの奥まった 最も深い底の底
そこにわたしは置いてきた
窮迫したこわもての告訴状
かれらと千切れた
たったひとつの千言を
どうしてもかれらに届けなければならない
いちばん尊い言伝 ....
珍しい生きものの話をした
緩くたわむ線を、結ぶように


どのように祈ってもいい
僕らの
広い部屋で
綺麗にこわれた模型と
名前のない戦争のこと


古い音楽は好きですか
遠ざ ....
緩やかに
空気が流れる
弥生の宵、
懐かしい匂い
鼻腔を巡り
大気圏から降って来る
息吹く命の源を
ゆっくり静かに呼吸する

 ああ、魂はうっとりと
 息吹く命の香に包まれ
 何 ....
あるいはがらんどうの街に棲む
たまさかさびれた繁華街で遊ぶ

恋の歌は春の猫のように
かなしいやさしい歌だろう

愛は重すぎていつも栄養学的に
分析できないものなのでしょうね

失わ ....
家を出て 当てもなしに歩いた
道を渡り 林を抜けただ独りで

ふるさとを 遠く離れて来てしまった
戻ろうにも 路半ばを過ぎてしまった

柔らかな陽光は悴んだ掌を宥めた
のどかな南風は凍っ ....
こたきひろしさんのおすすめリスト(2119)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春提灯と咳緋鯉- 田中修子自由詩11*21-4-4
詩の日めくり_二〇一五年十三月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩15*21-4-3
憎しみという怪物- 無限上昇 ...自由詩721-3-31
窓越しの桜- 道草次郎自由詩13*21-3-29
詩の日めくり_二〇一五年十二月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩13+*21-3-27
夕暮れは、いつも- クーヘン自由詩13*21-3-23
春夢- ひだかた ...自由詩821-3-22
同窓- 鵜飼千代 ...自由詩15*21-3-21
地球- TwoRivers短歌4*21-3-21
笑顔- 道草次郎自由詩10*21-3-21
夢の迷い路- 朧月夜自由詩3*21-3-20
忘却の河- 朧月夜自由詩2*21-3-20
something【New!】- ブルーベ ...自由詩221-3-19
詩の日めくり_二〇一五年十一月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩15+*21-3-19
私の嫌いなあなたへ- 無限上昇 ...自由詩521-3-12
哀愁- 道草次郎自由詩3*21-3-12
短歌雑詠- 朧月夜短歌2*21-3-12
つぶやかない(二)- たもつ自由詩1121-3-12
詩の日めくり_二〇一五年十月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*21-3-12
海底99メーターの孤独- 梅昆布茶自由詩1121-3-11
焼き場にて(改訂版)- 宣井龍人自由詩10*21-3-9
天文少女のうた- 梅昆布茶自由詩1321-3-8
ついーと小詩集2- 道草次郎自由詩11*21-3-7
詩の日めくり_二〇一五年九月一日─三十一日- 田中宏輔自由詩14*21-3-6
老犬- 宣井龍人自由詩16*21-3-4
穴ぐらと重力- 天寧自由詩221-3-3
people- ねことら自由詩321-3-3
来る春- ひだかた ...自由詩821-3-3
春のうた- 梅昆布茶自由詩1221-3-1
春に賦す- Giovanni自由詩821-2-28

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71