朝が来なければいいのにと眠りにつく
そして明日がやってくる
その繰り返しが毎日で
苦悩と嘆きは取り除かれない
だけど生きていることは奇跡
もう立ち上がれないと思っても
天使が手を差し伸べる ....
多分 午睡の夢に
君がくれたセルロイドのホーリーカードが
舞い込んだんだ
だからほら
空は薄青いセルロイド
雲は白いセルロイド
どちらも淡く虹色を帯びて
道の両側に咲く
ピンク ....
歩くたび、古い廊下はミシミシと、僕に何かを伝えたがっている。
ミシガンだかミシシッピだか、おそらくアメリカに関する要件を。
(自由律)
蝉の鳴き声もしない、蟻は蛇行する
あぜ道で蛙の合唱を聴く
街から逃げ、暗く笑った目
一息に冷水を飲んだ、窓に月
花を踏みつけたあとで気づく ....
『山の人生』の出だしの
子殺しの炭焼きの話を聴きながら
カーブを曲がると
元セブンイレブンだった洗濯屋が
うんざりした顔を向ける
湿り気を帯びた大気を遮断して
空調は乾いた音を立てて ....
白雲が流れていき
青い青い空が広がった
異国は遠いけれど
宇宙は此処だ
僕はそう思った
互いにスパークする宇宙で起きた出来事があり
誰も入り込めない花園の君がいていつか僕は叙情になる
面倒くさい真実ばかりがまかり通って
優しい嘘はにぎりつぶされて疑問ばかりが生き残る
レノ ....
不安という重荷をおろせば
溢れてくるのは感謝
恐怖という重荷をおろせば
溢れてくるのは喜び
危機は去り
つかの間の平安の中で
天使たちの声を聞いている
新たな火種がすぐに来る
死神 ....
ポトスを東側の窓辺に置いて眠るといいよ。
ポトスのポストに、朝陽の小包が届くから。
八月中旬から十月初旬まで、延べ十二日間の登山道や古道整備に出向き、そこそこの賃金を得た。夜明け前にヘッドランプを照らし、山道に分け入る時の締め付けられるような嫌な感じを幾度か重ね、ようやく解放された ....
何年かぶりに新聞を読んだ。明治6年創刊の『信濃毎日新聞』一面の左下、敬老の日を報せる日本国国旗の隣に、お題に寄せて写真を投稿できる(こと映え)という名物 ....
小刻みに震えながら重い足取りで進む俺
どこまでも灰色に広がる地平が
奇妙な高揚感を誘う
不意に吹き抜ける強風に
踊り出す手足はてんでばらばら
関節の軋む音 辺りに響き
俺は自分が薄い膜の内 ....
真に苦しいとき
人は詩などに
救いを求めるだろうか?
戦場の兵士が
詩集をポケットに忍ばせていた
とか
一編の詩を口ずさみながら
敵に突進して行った
とか言えば
そりゃあカッコいいだ ....
私は明日、泡になる
私は彷徨い露となる
希望の欠片拾い集めて
儚い夢を探し求める
ついに審判がくだされる時
私は哀しく散っていく
私は今日、泡になる
波に揺られて消えていく
すべて ....
人が其処に居て、
此処に居て、
その空間を占めているということが
何もしなくてもただそれだけで
美しいんだ凄いんだ
明日へと影伸ばし歩む人よ、
ゆめゆめそのことを忘れるな
....
私は不安を詩にする
想いを昇華させるため
愚痴といってもいいだろう
心のバランスをとるために
私は言葉を紡ぐのだ
私は怒りを詩にする
悲しみも喜びも詩にする
心が死んでしまわぬように ....
不幸の防護服をきるのは簡単だけど
幸せなカーディガンをはおるのはむずかしい
夏でもなく冬でもなく春でさえない
秋には特に
終わりのないものなんてないんだ
終わらないんじゃないかと思うだけで
いつか必ず終わりの時は訪れる
山積みになった書類の整理も
果てしなく溜まった洗い物の山も
手を休めず進めていけば終わりが見 ....
どこか短気で
頭もバカだから
この何もかもに
たったの一言で以て始末をつけたいのだ
でも直感として分かっている
はなから
一言でつけられる始末じゃないってことは
でもなかなか
謙虚 ....
あなたはいた
いたはずなのに
見えない
いろんな音を残して
消えてしまった
いろんな音があるから
退屈しないはずなのに
何かがえぐられてるらしく
何も手につかない
どの音にも手が ....
陽は落ちて
辺りはひっそりと
静まり返り
あんまり暗い
夕暮れだ
玄関先では
見知らぬ声が
会話を交わし
部屋を
ノックして
歩き廻る
濃くなる夜闇が
ざわめき始め
....
逃げ道を探してる
俯きながら探してる
今夜はどこで眠ろうか
老婆が生きる術はない
天使たちが飛び去ってしまったから
まだまだ青い雑草の群生
ベッドにするには役不足
夜通し歩いて迷子に ....
夜、寝る前になって
やっと止まる原因不明の嘔吐感
医者はばんばん薬を処方し
私はばんばんそれを飲み
そうして実は気付いている
吐き出したいのはこの魂だ
上手く吐き出せない現状に
吐き ....
なきゃいけないものは
一つもないが
うしないたくないものは
無数にある
どうすればいいんだろう
誰かが
はなをすするたびに
昔から不安になる
自分らしく
というけれど
....
紙飛行機じゃ重そうだから、かみひこーきを飛ばそう。
ひらがなを覚えた頃の、あの、とてつもなく軽い心で。
さよならの船出を、彼女は待っていた。
美しく水がゆれるなら、心はにごって、
晴れることなく気もちは空とつながってゆく……
ただ、さよならの船出だけを。
そうね。ため息がひとつこぼれても、 ....
やすらかな、静けさと麗しさのかたよりのなかで、
彼はそっと目をしばたいたの。
そうして楽器を叩く。
若い彼は楽器をたたく。
塔のそとでは風がながれ、
落ち葉をはこんでゆく。
湖にしず ....
薄暗い
漠然と広がった
空間のなか
台形の
ノッペリとした
大人の背丈半分程の
鉛色の工作機械が
等間隔で何台も
一列に並べられている
大きな金属音があちこちから
互いに呼応す ....
今の私はネガティブで
未来のことなど描けない
ポケットにナイフを忍ばせて
自分の喉をかき切る覚悟
骨を拾って欲しいとも思わない
この世にさよならしたいだけ
命あるもの生きようとする
....
本を見ていたら、ふと夕焼けの気配が気になった。勝手口から外に身を圧し出してみる。すると、その音に驚いた鳶が畑の近くの草地から、ぶわっと飛び立つ。
気象現象については詳しくないが、台風が日本 ....
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