しゃぼん玉と
握手を交わしながら
掌に伝う
虹色の雫
弾いてしまった
鍵盤のように
瞳を震わす
メロディが欲しい
ターンタターン
用意されたのは
大きな舞台で
人と結ばれ ....
梅雨のあけない海で
貝は静かに海水に身をまかせ 霧を弄ぶ
怪物のように伸びたコンクリートの橋脚が
海抜ゼロメートルから立ち上がり
山峡を跨いでいる
トラックの轟音と排気のにおいが雨音と混ざり ....
パラパラと振りかける
殺風景から出汁をとる
彩りなんていらない
味で決まり
正面にぶつかって 腕を直角にパキパキ振る
末広がりのヘアスタイルに
器がついていかないシルクハット
....
この古くからある
閉ざされた小さな町で
いつからこんなに人がたくさん
人生を過ごそうとするのかしら。
仲良しも、子よしも、休みの日
ここにも私に与えている気持ちを
800回の青ざめた嘘 ....
{引用=*筆者より―― 旧稿を見返してゐて、本フォーラムに掲載してゐなかつた作品があることに気付いた。以前のアカウントを消して以降、復帰するまでの間にかいたものは随時掲載していた積りだつたがどういふわ ....
春うらら
光のどけき街を行けば
子供と老婆が手繋ぎ歩み
すれ違う人々微笑んで
命の讃歌を歌い出す
季節の巡り、宇宙の鼓動と同期して
ガムをやめる
願掛けかも知れない
じぶんという磁場や意志や真摯さを
試しているだけかも知れない
だからどうだと言うのだ
おれはきみの災厄を吹き飛ばせるか
ガ ....
あの春から この春がやって来た
馨りはまだ手のひらの上
ふわっと小さな宇宙を乗せて
ここへ ここへとやって来た
呼び覚まし 瞬間にカチッとアルバムにはまる
大事な 大事な一期一会を刻んで ....
「ここでは生きられませんよ」と
言うわけでもなく、
コンクリートの護岸をながめている
よそへ行く、わけでもなく
与えられた一直線を
射抜いている
覚悟は、
両手のはさみしか知らな ....
僕がサラリーマンだった頃
自称自由人らしき若者に侮蔑されて
僕が学生だった頃
就職組から学生なんて甘いよと言われて
結構傷ついて考えたあげく
僕は鳥になって
いつか誰も知らない ....
静けさ 揺れる
春の雨、
光の空から
降り注ぎ
宇宙を回遊する言ノ葉たち
凝集しては時を刻み
思考の流れをこの界へ
屈曲しながら艶やかに
在る物、在る物、造形する
静けさ 奥 ....
つまらない朝の翌朝
何もなく 考えたくない
私の頬には きっと
アザのような憂いと きっと
果てもない希望とがあるのだね。
分からない 分かることのできない
企まれた理由が いま
私 ....
自信をなくしてしまっているのね
あなたは
何もかもなくして
捨てられた{ルビ花束=ブーケ}みたいに道路のうえで
眠ってしまっているのね
眼を開いたまま
こんな真昼なのに
あなたを恐が ....
季節はまた一巡りし
俺はぼんやり宙を眺める
不安定な気分はいつもながら
鉛の身体も相変わらずながら
まだまだイキマスヨと独り言ち
何処からともなく湧くチカラ
指先じんじん温もって
また一 ....
日本は 大昔から 無関心
外国は プロパガンダと 無教養
匿名と 2ちゃんねると プロ市民
勝ち名乗り 背乗りの人 誰が誰
蜘蛛の巣に なにがなんだか からまって
弱すぎる 身動きとれぬ 羽 ....
小さな神様は二人いて、一度現れて
そして影となり、二度と現れなくなった
とてもむかしから飼っている犬がいる
夜は犬小屋で静かにしている
死んだような影を落として
鳴 ....
悲しいような
苦しいような
いまが
幸福>絶望のいまが
永遠に?
どの道いこうがトラブルはある
永遠なんてどこにあるだろう
思い通りにならないことが
....
ああ 春の匂いがする
ああ なんて孤独なんだろう
ああ ひたすらに歩み進む
命、息吹き
命、育ち
命、枯れ果て
底無き宇宙が開くもの
ああ なんて指先の温かい
ああ 春に湧 ....
母のお墓は沖縄にある
もうしばらく行っていない
妙に血が騒いで
沖縄の足元に近い青空を思い出す
久茂地交差点 よくニュースに出てくる景色
那覇で語ったことはなかった
自分にしか関心がな ....
月あかりの降り注ぐ庭
馴染まない舞踏の催しはいつまでも続くのだろうと
諦めていたのに
私は彼女の踊りに
心を撃ち抜かれてしまった
生まれて初めて私の瞳に私の光が映った
瞬間だっ ....
私の光だった
あなたは空をみつめて泣いていた
世界はひとつだけ私に意地悪をして
彼女の記憶のいくつかを
ブラックジーンズのシミといっしょに
手洗いで消し去ってしまった
私は痛い寒さ ....
私が歩くとできた道を
君があとからついて来る
しばらく歩くと私は振り返り
大正デモクラシーみたいな
ロマンチックな夢を
ふたりのあいだになら
見ることもできるみたい
そっとやさし ....
生牡蠣の緑は
内蔵のオー
真珠の淡いピンクは
皮膚のウー
冬の夜に吹き抜ける寒風は
頭蓋のアー
アー ウー オー
オー アー ウー
遠く遠い去る去り逃れる
憧れ懐かしい戦慄の
....
逢いに、飢えているのか。
冬の間、まるで導火線の火花を撒き散らし
恋心を待ち続ける歌を歌うのか。
水平線の朝日の静かだがゴシックで
低く刻まれる音がゆらぎながら、ゴゴゴゴゴ ....
風の種を、冬に播き、夏、嵐を刈り入れる。この{ルビ平原=ひらはら}はまるで、ユトランドの牧景の様に、野を、素朴の音が渡り、農人達が、{ルビ獲入=とりいれ}の厳かな儀式を行う。晩鐘色に田の覆われる秋、 ....
見渡す限りの地平線
垂直に立ち、歩む人
何処までも何処までも
肉を携え魂を生かし
意志の命ずるそのままに
今在る不思議に打ち震え
蛇が好き
でも鰐も好き牙を剥き
言葉をかじる不気味な青さが
飛び上がる
急にお尻を抓られて
同性ですけどセクハラだからね
記念日に
安いイミテーションをして
買う気 ....
あなたは少しだけ震える声で
言葉を世界へ解き放っていく
それは遠い未来の記憶だ
空のこと、風のこと、涙のこと
夕焼けのこと、無くした恋のこと
あなたが生まれた朝のことだ
そんなことは無 ....
世界はいつだって
出来上がった何かをなぞっているだけだから
やつらの真似をするのはやめておけ
前に居た誰かと同じになってしまうから
お題目を鵜呑みにせず
ひとつひとつ自分で考えて
自分 ....
その深き夜
ぼくたちは
この世界に巣食う
この世界の地の底を這いまわる
ふたりっきりの
蛇なのだと自覚した
それからぼくたちは
かつてよりよく知っていた幸せを
....
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