光に照らされ 透けて見える川底
流線型の魚影が うつくしい
フォーメーション
薄雲が川に陰りを与えると
失われた魚の影
代わりに現れたのは 鱗の煌めく魚たち
わたしは、だれとも 会 ....
まだ6時前だが
ぼくはカウンターのいちばん手前の椅子を引く
マスターが早かったね と言いながら
ぼくのアーリー・タイムスのボトルを出してくれ
磨かれたオン・ザ・ロック用のグラスがひとつカウ ....
そのお嬢様は、人を信じることができなくて
そのお嬢様は、『いい人』のことが大嫌いだった。
いい人が、いいおこないをするのには
なにか理由があるんだと知っていたので
いい人を尊敬したりし ....
くちのなかで飴玉転がし
立ち消えた、
甘酸っぱい感情を
想い返す
作られた梅の酸味は
さらに人工的な丸い味がする
冬は、寒いから、嫌いだ
死んだ人のことも
....
語られ尽くした愛
あなたの見せるもの
わたしの生み出したもの
比べて見せて
本当を見せて
人間とは
投射機なので
原画を変えれば
世界の色が変わります
私は家族という
絵本の物語を書き換えました
猿芝居は
もういらないから
七色をしたイルカが、
妥協を許さないスピードで海の中を進んでいく。
ああ、わたしたちは誰の子供たち?
皆、神の子供ではないのだと、
そのことを知っている。
皆、神の子供ではないの ....
二人で珈琲を飲んでいると苺のショートケーキを思い出した。
ひとつしかないので二つにわけることにしよう。
飾りの苺はいらないからと彼は言う。
境界線を測るのは面倒だ。
仕方な ....
以前、知り合いで
心臓の調子が悪い人がいた
ボクもそうだったから
話がよく合ったよ
ボクは金なしだったが
彼は小金持ちだったみたい
心臓バイパスとかいう手術を受けて
調子が良くなった ....
雲、流れ
流れ、雲が空をいく
ぽっかぽっかり青を裂き
気流の鳴る音、響かせて
澄み切る初冬の夕暮れに
荒れる呼吸を収めては
私の宇宙を横切って
流れ、雲が空をいく
....
(うしろの正面ダアレ)
、いきなりですが
羽根を持ちあげては殺しあう
郭公が鳴いた
鏡に映るのは化粧の白い羽根
声音を十二階変化させ
モノマネをする
知らない
....
僕はいつも一度だけ改行をする。
その小さな段差に一人で座っている。
ゆっくりと歩く蝸牛
それで
どんどんと黄昏の国が過ぎて
宵闇せまる暮らしの中で
わたしも
立ち止まったままの
蝸牛
さまよえる
迷子
冷たい風が
「シッ!」
っと ....
記憶ってなんだろう
僕の記憶って
記録は嫌いなんだ
風にまかせて書き留めたほうが
たぶん素敵だから
独りでいる
冷たい部屋の板の間で
ニャ、と小さく鳴く
猫も寒いのだろう
ぼくたちの
朝はいつまでも
明るくはならないままで
口の中は
鉄の味がするままで
ふと ....
回転台の壊れたヒーター
この部屋を暗室にしているカーテン
うまい嘘をつく季節風
渡すのか
渡すべきか
この使いきれない肉体を
その本質さえ死なぬ我が魂を
一つの手がわたしたちに所属する。
ありふれた闇のなかで。
わたしたちはレベリオンを目指して、
レボリューションを目指さない。
哲学者や詩人のようには、
決して語り得ないわたしたちの抵 ....
虐待ビジネスというものがあるらしい
自己啓発セミナーにやって来た
頭のイカれた人に
それはあなたが子供の頃に
親から受けた性的虐待のせいだと吹き込んで
親を訴えさせて金をふんだくろうというこ ....
朝が待ち遠しいですか
朝が待ち遠しいですか
コーヒーを飲みすぎましたか
それとも昼寝をしすぎましたか
枕を裏返しましたか
どんな枕がお好みですか
どんな悲鳴がお好みですか
夜には夜の鳥が ....
最近は買い物をして店のカードを出したとき~のカードはありますか?ってよく訊かれる。
あ、忘れた。いいです。同じ携帯会社だから持ってはいるのだが、持ち歩かないので差し出したことがないのだ。
なの ....
ドアスコープから外を覗くと、そこには未来。
だとすれば部屋を振り向くと、そこには過去。
自由夫奈伊流自由夫奈伊流
如何尓毛斯久尓毛儂尓毛汝尓毛
如何程尓大人成流刀毛腮出弖尓而
山椒魚尓成良禮奴
自由夫奈伊流奈路於刀流
路於刀流路於刀流己尓言布刀流内波
尚自由夫奈伊 ....
御存命でしょうか
なんて言われたらあなたはどうします
餌が鳩を縛るまま
衰退は止められなかった、と
御存命でしょうねたぶん
ただ、絵筆に描く人が見あたらない
それが哀しいのです
....
その墓はアフリカ大陸が視える小高い丘にある
だけど墓地ではない あるのはその墓だけ
その墓には埋葬された彼の名前も
1894.5.27に生まれたことも
1961.7.1に亡くなったことも彫 ....
君の小さな手は僕にとっては偉大なのです。
その手は僕に対して偉業を成し遂げているのです。
透明に見える水が本当は青色だって知ってた?
真実を見抜くその瞳も
本当は透明なんかじゃないんだよね
わたしがその事に気付いた時
君は動揺を必死に隠そうとしていた
その瞳に色を宿して
....
年の瀬も終わりがちかづくと考えてしまう
ことしは雪が降りつもるのだろうか、と
~重い冬用タイヤが心配になるのだ
交換すればお金はいくらかかるのだろう
古着から薄着を折りたたんで収 ....
そのひとは
そんなことばかり云ってないで の
そんなことばかりに
ちゃんとちゃんと
耳を傾けてくれるひとでした
そのひとは
呆れるくらい泣きじゃくる私に
何も云わず
私がしゃべ ....
花が枯れると
心に寂しい歌がながれる
空が曇ると
心に儚げな虹が架かる
夜が息苦しいのは
心に痛い未来が怖いから
おぼろ月
ほんのりと
ほお染めて
酔っているの ....
馬鹿を晒すようで実にこころ苦しい話しなのだが、先日アウトレットモールのスポーツショップで四千数百円のジャケットを買ってきた。二割引き白地と胸のワッペンが気に入ったからである。で、さっそく家に帰って ....
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