お日様
てかてか
お月様
三日月
心を澄ませて
自然を感じよう
ほうら気が見えるから
回る回る体は回る。
考えてはいけない
感じるんだ
見てはいけない
聞くんだ!
イエス様のお母様であることを天に捧げ
マリア様もまた
イエス様とおなじ聖なる存在になられた
だから
マリア様のイエス様への肉の愛は
宗教画のなかにしか存在しない
いったい肉の愛とはなんであ ....
神田の内外分ける橋
昌平橋の欄干から
覗く水面は神田川
ゆらゆら揺れる神田川
二人並んで水面を見つめ
僕は君につぶやいた
僕らはどこに行くのだろうか
君は何も答えずに
そのまま水面 ....
激烈なるイタミに震え
絶え切れず破裂した 君の音
無夢の現実に這いつくばり
イチミリも浮遊できない 僕の叫び
白呆ける街
結びあう音と叫びが
油絵具のグレーの空
雲を破っ ....
桃色の花園を下って
季節をオルゴールへと 移す作業が得意なの
通り過ぎる人の白い髪に朱林檎
気丈に振る舞うお姫様に 見せてあげたいものだわ
手を取って 踊るよりも
隣で鼻歌 歌い ....
ホテルで本を読みながらたまにAVを見つめている
財務関連の本を蛍光ペンかたてに読んでいる
このての本は猥雑ななかで読むのにかぎる
ファミレスやこんな環境が最適なのである
若い女 ....
{引用=
ぼくは、父親の名前に格別思い入れなどなかったが、ぼくが名付けたミドリガメの名前には少しだけ特別な感情が残った。
(一条「ミドリガメと父親」)
}
+++
公園にはいつ ....
カテドラルより鐘の音がこぼれてくるので
僕は屋根裏のようなその図書室で顔を上げる
埃っぽい書物たちの潜む書架が
ひとたび足を踏み入れては還れぬ森のようだ
森の中には誰もおらず
時折ド ....
若いうちに頑張らなければと
四十も後半になった夫が言う
うむうむと うやむやに
どことなく頷く
言いたいことも言わなければ
いけない事も
お互いあるはずだけど
なぜか若い事に ....
大晦日に体調が急変して
救急車の中で息絶えた友の
告別式が行われた一月九日
遺影の中から
微笑む顔も
棺の中に
花を置いても
まるでフィクションのようで
制服姿 ....
空からおはじきが降った日
小さなうさぎが
震えていました
太陽の光を反射して
おはじきはキラキラと
七色に輝き
まるで
世界中の命のようです
皆は我先にと
おはじきを一つ受け ....
100110
あら! ほんと
見ない振りして
拾い上げては
背中の屑籠に投げ込んだ
モク拾いの場面を演じて見せる
一本3.5円の増税 ....
宇宙を模写する
思考を模写する
気持ちを模写する
他者を模写する
意識を模写する
無意識を模写する
刹那を模写する
呪文を模写する
それを貼り合わせて
....
名もないような
草花があるのだろうか
たとえ雑草にしても
知らなかっただけなのに
心にとまったなら必ず
名を呼ばねばならない
気にとまった草花の名を
知らなければそれ ....
その日は午後一時三十分に出頭しなさいというファクシミリが届いていたので、僕は飼猫の黒猫の代わりに裁判所に出頭することになっていました。僕は電車を五回も乗り継いで裁判所のある駅に到着しました。そして、 ....
主の居ない実家の風通しに行って
帰京する日の昼食は
親父が通いつめていたラーメン屋
生前
親父は帰省していた僕が帰京する日には
決まってこのラーメン屋で一緒に昼食を食べた
それだけ ....
これはあれに似ているな。バスに揺られながら、そう思う。
小学校や中学校の頃、校内放送で職員室へ呼び出される感じ。名前を二度呼ばれて、「至急職員室へ来なさい」というあれに似ている。校内放送のスピー ....
口語自由詩と散文との違いは正直よく分かりません。
それでよく詩を書いていると言えるなっと詰問されたら「ごめんなさい道楽でやっているものですから」 とでも謝るしかありません。
そんなことどっちでも ....
8mmフィルムに映し出された青い空を
精液で汚して
町の中をまわる電車に
逃げ込みました
逃げ込んだ先は年老いた少年の
末期でした
野良犬は小便を垂らして
猫たちは決して譲らず
許 ....
ずっと待ち焦がれていたの
その手を
あなたのその手を
あなたに愛撫されるように
夜のシーツに包まってわたしを宥めた
あなたをずっと待っていたのに
あなたの指がわたしに触れ ....
昔よく聴いたCDをかけてみた
当時つき合っていた女を思い出していた
精確にいうと
つき合うまえの胸騒ぎを思い出していた
その女にわるかったよなと謝ってみた
今でもいちばん ....
(どうして目を伏せるの
私のリリィ
どうして泣いていたの
私のリリィ
ガラスが曇ってキラキラ綺麗だよ)
(どうして立ち止まるの
私のリリィ
なぜ描かないの
可愛いリリ ....
他の誰かが言ったなら
あまりのクサさに
気絶してしまうことや
....
強く
ゆびで押すと柔らかく凹むほどに
紅く、
林檎
食べ頃をうっかり
逃してしまったものだから
どうしたものかと
思案している
その薫りやわらかく
そのかたち未だ林檎 ....
もう壊れてしまったから
捨ててしまうのですか?
ぼくの紡いだ時間の縦糸が
ぷっつりと切れてしまいました
重たい
川に入ると
そのままでは浮かんでこれない
瀬
壊れ物だけが集まる遊園 ....
さよならの野生
ナイフのエッジできりきりと裂いていく
さよならの野生
悲しみを等価性のある液体に移して
さよならの野生
夜の星の硬いまたたきをかぞえて
さよならの野生
今カイエ・ソヴァー ....
あしたの気まぐれ雪人形
雪がふっても
雪がとけても
あしたの気まぐれ雪人形
いっしゅんだけの男と女
無償の愛には
心中の制裁を
いっしゅんだけの男と女
命のリミッター外します
....
こぼれたミルクは飾りボタンの溝を泳いで
くるくると光を跳ね返していた
いつまでたっても混ざり合うことはなく
胸を埋めるような匂いが辺りに漂い
大気ばかりが乳白色に濁っていた
窓の向こ ....
哀しい知らせを聞くたびに
世を去る友は、また一つ
残された地上から僕の見上げた
夜空に灯る
大事な、大事な、星になる
そうして僕は
風の姿で吹き渡る
彼等のうたと重なっ ....
指のさき
雪がひとひら、消えました
わたしの熱を、あら熱を
かくまうように
消えました
うなずくべきことなど
何もないけれど、
わたしは確かに
うなずきました
す ....
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