なにやら窓の外がやかましくなった
「今こそ」とか
「ともに」とか誰もが叫んでいるような

ここにしゃがみ込んで久しいし
一見自由そうで実は窮屈な姿勢にも慣れっこ

目を瞑っていれば何が起 ....
煮物の味は
素朴であるけれど
素朴であるがゆえにこそ
むずかしくて
奥深い

ごらんなさい、
たけのこと
さといもと
しいたけと
なんの疑いもなく
一緒くた


わたし ....
朝が来るたびに
まあるいお日さまから
白紙のノートを渡されて
今日を埋めなさいと
笑われる

今日は何も無かった
と書いたものなら
明日なんていらないね
て言われたりして
きらめきよ(この期に及んで)-
--And you've loved me like I was your brother--



きらめきよ きみのなかぼくのなか
呼応するきらめきよ
 ....
とんでもない。
みんな統べてひとつの原子
元を正せばただの粒子

あたしたちなんて、ほんの世界の塵に同じで
まるで生きているのが奇跡みたいだと思い込んでいるけれど

生きているのか
生 ....
淫らに、露出した仮想の小窓には
時と場所の不明な青空と、
見えざる航空機による白い猛毒の軌跡――
ながく留まる筋雲状の航跡が表示されていた

≫いわゆる、薬物や病原菌等の散布。

僕たち ....
雲から降下してみたけどパラシュートが開かないよ

だいすきだった人形を捨て 騒がしい街にさよなら
必死の両手も振りほどき
過去の夢には 泣いてすがって

霧の兆しに合図する手を排ガスに感染 ....
    

 草叢に横たわっていると、朝の草露がわたしの頬に滴り落ち、がらんどうの身体は血も通ってないのにどくんどくんと脈を打っている。
「そんなところにいては寒いだろう」
と父さんがわたしを ....
くるくる回る青い眼の操り人形
甘い甘い甘過ぎるお菓子をどうぞ  
子供を見つけては風船を渡している背の高い紳士
誰よりも腕の筋肉が太い男
春の鳥によく似た声で歌う女
音楽だけが聴こえてきて
 ....
一体どんな違いがあるのだろう? 
夏日の照りつけるアスファルトの上 
ゆらゆらと 
{ルビ陽炎=かげろう}になって今日の食物を探す 
あの家のない人と 

駅の構内に日がな坐り 
10円 ....
「見て、B-29よ。」

一九四五年のある夏の日、
私の頭上にあるのは夢でも希望でもなく
死神の翼でした。

終戦間近、戦火を免れ長閑さの残る片田舎の少女だった私に
戦闘機の名前など区別 ....
風はどこからくるのか

行方もわからなければ
くる場所さえわからない

それはわたしが
生まれた理由と同じ

自分には風がないと
あなたは云う

わたしにはみえる
あなたの風
 ....
わたしが生まれるよりうんと昔に
他界してしまった母方の祖父は
実直で陽気なひとだったと言う


わたしが高校の制服に袖を通して間もなく
他界してしまった母方の祖母は
大変に気の強いひとだ ....
 
 
母さんの中を
金魚がぷかぷか泳ぐ
雲の柔らかさ
産地とはおしなべて
そんなところなのだと思う

母さんの背中
バズーカ砲つけたら
悪いロボットみたいだ
だから僕たちは
 ....
それは樹齢数千年の老木のように
ごつごつと皺くちゃな
堅い表皮を持っている

アルミニウムの廃物で作られた
それは機械でもなく樹木でもなく
しかし天を目指してすっと立っている

その足 ....
地面に落ちたタバコから 
煙がひとすじ昇っていた 

誰にも気づかれないよう
踵で踏んで、消しておく 

いたずらな風が吹いて 
火の種が、人の間に 
燃え移ることのないように 

 ....
真っ白な空白を
何かしらで埋めていくのは
それはそれで楽しいが
少し勿体ない気もする

雪の日の最初の一歩のようなものだよね

と微笑む君のキャンバスに
僕が描いていいものか
少し悩 ....
カミナリが鳴ると

暗いお外は夕立のおと

リビングのテレビは

昭和四十年代の時代劇

はんぶんに切ったメロンを薄い皮にして

セブンスターの吸い殻をそのなかに捨てた

暗い ....
やわらかな慈雨が

この岩に穴をあけたのです

どこからか種がやってき

うまい具合な風や雨や光だったのでしょう

穴から松が生えようとしています

教訓を見出だしたい訳ではありま ....
夕暮れになるといつも 
彼は施設の外に出て 
離れた更衣室の入口に 
ランプをつける 

施設の外の暗がりに
一日の仕事を終えて 
疲れて戻って来る人を 
(おつかれさま)と 
迎え ....
匂い/におい/おもいだす
におい/乾いた/照りつける
風のない/ひりひりとした/蒸発してゆく
粒子/記憶/おもいだす
海馬/カラスアゲハ/舞う
ひざし/におう/生/性
生まれた/おもいだす ....
病気だからしょうがないよ…

周りはみんな言うけれど

実際はそうでもない

君の気持ちがわからない病気なら

病気なんて言葉で片付けないで

私はここにいる

ただ湧き出る感 ....
あんドーナッツを
ためて、ためて、投げあげて
放物線の落下する地点まで
走って、セバスチャン
つぎつぎと走って
受け止めて
全部くちで
そういう無意味な訓練を
たくさんして

*
 ....
             090722



皆既食が終わると
なにもすることが無くなった(笑
散髪してから
魚屋で
鰺を2匹買う
豆腐屋でお豆腐を買い
帰宅して
鰺のフライと
 ....
俺はあんたの事をよく知らないし
あんたも俺の事なんて知らないだろうけど

一つだけわかってる事があるんだ
それを言葉にするのはすごく難しいけど

だから細かいことは言わない事にするよ
お ....
夕暮れの窓辺から 
あの煙突の上に昇り 
空へ吸いこまれる 
煙を見ていると 

昨日 
頭に来た誰かの一言や 
恥ずかしかった自分の姿が 

いずれ何処かへ消えゆくよ ....
雲海に月昇る

月はまるで僕等のようだ

月光が僕等に平等に降って

くまなくを満たしていた

僕等はキスを試みたけれど

太陽の下でも出来たこと

雲海に月昇る

月光が ....
 
 
タンポポを一輪だけ摘む
何も知らない貨物列車とすれ違う
水のように冷たいものを売っている所はありませんか
と、男の人に聞かれ
あっち、と指差す
あっち、に何があるのか行ったことは ....
きみは東京という街にやってきて 
やがてセンスを身につけるだろう 

流行りの服を身に纏い 
流行りの帽子をかぶり 
そして 
流行りの店で可愛娘ちゃんと食事する 

しかしだな 
 ....
iPodから流れる
リロンのさわやか会社員を聴きながら
雨雲の去った青空を見上げてると
心も伸びやかに 
どこまでも泳いでいける気がする

いつか親友と走った道
うぶだけど どこかませて ....
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