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葉は、
いつか散る
かならず散る
その
散る、というさまは
さびしいけれど
寒々しいけれど
散る、という務めは
葉にしか担えない
わたしには、
どんな務めが ....
海へと向かう
風になりたかった
誰にも
心地よい匂いで
なんにも傷つけずに
透き通る
そんな
自由に
なりたかった
けれど
夕暮れどきの
風はいつも冷たくて
帰 ....
春、のような水脈を
五線譜に記したく
て
少年は
夜を鏡でうめ尽くす
そして、
怯え
る
柔らかな
こころに角が
生えるとしたら、
それは
芽吹いたばか ....
ビルの
赤い点滅が
いつまでも続いていて
いくつでも、
続いて
いて
それはまるで
飽くことのない
異国の海のようだった
東京タワーから
眺める夜は
リア ....
適切な一秒を
わたしにください
わずかに
ずれることもなく
適切な一秒をこの身にください
この目に
何かを映すなら
光か影のどちらかを
耳に何かを残すな ....
鉄くずが
泣きやんだ
そんな
気がした夕暮れだから
昔ばなしはおしまい
今日はおしまい
◇
踏まれた枯れ葉が
くすっと笑って飛んでった
きっと誰しも
そうや ....
月のひかりは
黄金めいて降りそそぐ
それは
太陽なくして
成り立たないことだけれど
うそぶき加減が身に優しくて
わたしはつかのま
あしたの重みを
脱ぎ捨てる
思え ....
指のさき
雪がひとひら、消えました
わたしの熱を、あら熱を
かくまうように
消えました
うなずくべきことなど
何もないけれど、
わたしは確かに
うなずきました
す ....
言いたい放題
言われてしまった
でも、
自分は
たしかに
大した器じゃない
けれど、
大した関わりもない人が
たぶんに狭い了見で
よくもまあ
あんなに細々
あんな ....
わたしたちを彩る
おもいでの確かさは
星座のそれと
とても似ていて
必ず
遠くで
きれいに滅する
届き過ぎたら
きっとわたしたち
狂ってしまうから
ほんのわずかな
痛みも ....
寝返りを打つような
時計のリズム、
と
誤解して
透き間をのぞく
カーテンの、
向こう
けだるく
染まる週末と
けだるくなれない平日と
どちらの自分が本物だろう、
と ....
滅びの歌に怯むとき
ひとつの命を
わたしは
築く
終わるわけにはいかない
消えるわけにはいかない
と、
明日を願って
止まないで
陰鬱な影の主が
華やかな都 ....
中途半端な
自分自身のため息に
なんだかわらえた
正午まえ
背中の窓に
耳をすませば
いそがしそうな
鳥のこえ
わたしは
いっそう可笑しくなって
シャツのボタンを
....
{引用=
一、整合
ふぞろいな
ひとりひとりの
でこぼこを
いちいち罵倒するのは
たいへんな
労力だから
さ
どうせ疲れることなら
お互いのでこぼこを
い ....
演台に
原稿用紙を広げ
子どもたちは声の限りに叫ぶ
「笑顔の
あふれる町にしませんか」
「あなたの近くに
寂しがっている人や
弱っている人はいませんか」
....
直線を
少しでも
かしげたら、
斜線
と、
こわれやすいものを
扱うように
呼び名を
わたしは
たしかめる
そんな
わたしは
直線だろうか
斜線であろうか
....
ねじが切れると
メロディは
ゆっくり
終わりを
始める
それは
寂しいけれど
唐突ではないあたりが
優しくて
たぶん
わたしの一生も
こんなふうに
終わりを始めるの ....
この手が
届かずにおわった物事ほど
忘れがたいのは
なぜだろう
それゆえか
届いたつもりの物事さえも
本当は
届いてなど
いなかったのではないか、と
思えてしまう
....
さざなみは
優しい顔して
ぼくらをつかまえる
数え足りるくらいしか
ぼくらは夏を
めぐっていない
それなのに、
ぼくらは
もう
夏のなかでしか
生きられないような
生 ....
風の
含んだ栄養を
いいだけ食べたら
夢見の時刻
よいことも
よくないことも
よい、を満たしうる
定義のことも
ときが
過ぎれば
牧草になる
風に
吹かれて
....
この腕に
守れるものなど少なくて
そのくせなにかを
守ってみたくて
だから
たとえば
波打ち際で
きれいな貝殻を
探してる
きみは
きれいな貝殻を
よろこぶだろうから ....
日没を追い越したくて海岸線
灯台よ、まだ闇を告げるな
たき火して語り合う手の缶ビール
温んでいくのはだれのしわざか
まっさきに真っ赤に落ちてしまうのも
....
ここしばらくは
疲れ過ぎていたから
なんら記号と変わりなかった
わたしの名前
わたしを呼ぶひとは
わたしを必要としているけれど
その必要を満たすのが
わたしである必要は
ど ....
水に
突き刺さることができるのは
真夏のひかり
真夏、という
ひかり
湖面にそそぐ陽光は
銀のうろこの魚に変わる
気ままに歌うぼくたちは
それを統 ....
わたしは
風をおよぐのがすきだから
太陽との相性は
とてもいいのだと
思う
汗ばむ腕と首筋に
水の匂いがたむろして
わたしをいっそう
およがせる
夏にはもと ....
昼下がりの海水は
まだ少しつめたくて
その
指先につたわる感覚が
はじめてのことに
思えてしまう、
いつもいつも
腕を
すべってにげる潮風は
いつか、と同じ
....
煮物の味は
素朴であるけれど
素朴であるがゆえにこそ
むずかしくて
奥深い
ごらんなさい、
たけのこと
さといもと
しいたけと
なんの疑いもなく
一緒くた
わたし ....
逃げ道は作るものだからね
そんなことに
労力を費やしたくはないからね
逃げ道づくりはごめんだね
あたしゃ職人には
ならないよ
◇
罪も作るものだね
そりゃあ ....
三つ数えたら、
きみを守るなにかになりたい、と
ひたすらに信じていた
ぼくだった
きみのとなりにいることに
多くの疑問を持たぬまま
三つ数えたら、
きみだけのぼくになろう ....
「シアワセ」という音で
ひとの死を表す国があったとしたら
「シアワセニナリナサイ」という
祈りの言葉が怖くなる
たとえばお金を指さして
「シアワセ」と呼ぶ国があったなら
「 ....
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