一
観葉樹が、かぜに揺れて、嬉しそうに笑いかける。
笑いは葉脈のなかに溶けて、
世界は無言劇に浸る。
映像のように流れる無言の織物。
かぜが、喜劇に飽きるまで、永遠を飽きる ....
手のひらに虫の息
丸い黒曜石の瞳は虚ろ
彼の本分は
飛ぶ事ではなく
鳴ききる事だからか
若草色の翅脈を透かした羽は
すり切れる事もなく
黒い前胸に刻まれた金糸も鮮やかに
腹の手風琴も今 ....
頭の上に
鳥が卵を落としていった
やがて卵は孵り
駅が産まれた
列車が到着しても
人のざわめきもない
さびしい駅だった
かすかに潮の香りのする
海沿いの駅だった
その重さで首 ....
我が輩はみゃうなり
生まれてから都会で暮らしているみゃう
しかしなんだみゃう
天気予報は晴れだというのに
なんだかちがうみゃう
だけどどうでもいいみゃう
ひとめぼれというものの残酷さを知る人が読めば
若き王バルタザアルの旅立ちに救われるのだろうか。
心変わりについて かかれてあるように思う。
魅惑の女王にとって 一時 恋の相手となった王も
瀕死 ....
日曜の午後
立川のカレー屋で行われる結婚式で
新郎新婦に贈る小さい花束を傍らに
大船駅から乗った東海道線に揺られている
向かいの席に座った空色の服の女は
携帯電話を鞄の上に持っ ....
ぼぼ
ぼぼってなんだか
可愛らしい
でも
ちょっと恥ずかしいことば
りんご
秋は実りの季節だね
りんご
とか
いい感じ
りんご
って禁断の果実
アダ ....
異国の風が海原を越えて
俺に吸い込まれ膨張する
暁の光が屈強な雨雲にさえぎられ
細やかな雨が、露とざす街へ静かにささやいて
永遠を
嵐のような
俺の歌は空に拡がる
届かぬ ....
君が
君が好き。
ただそれだけ。
さりげない優しさとか。
なにげない笑顔とか。
たまに言う
笑える言葉とか。
君の全てが
好きで
好きで
大 ....
斑に染まる山もみじ、
濃くたちこめた秋の匂いに騒ぐ、
枯れ落ちた葉のざわめき
そして悪戯な、
木蔭を這う{ルビ下=しも}風 )))
そうだ哀しみは、
雲ひとつない秋空へと昇ってゆく
....
棍棒を
作った
オークの
頭四キロの
素振りを
ずっとしてた
だってお前が
怖がるから
引っ越した家は
夜少し静か過ぎて
お前が怖がるから
まあ実は俺 ....
ただ大海原に船を浮かべるだけでよいのさ、
しかしおまえ達が乗り込んで来る日にゃ
女どもをカッサラッテ来た日にゃ
そして海のうえで暮らすためにゃ、
覚悟がいるゾ、おまえ達よ。
「ザワークラ ....
駅前で兄を探していたら
母と会った
隣に父がいた
移動の最中だった
兄の居場所を尋ねると
二人ともよく笑った
私もいっしょになって
昔のように笑った
父が小さな扉を指差したので ....
自己満足の
偽善に過ぎず
自分の喜びの為に
人を利用する
夜を泣き明かし
誰もいないことを
自覚する。
満足を知らない。
誰も助けてくれない
ただ音楽が僕の体を
伝って流れ ....
カメオ細工の月
地平に凍てつく時
追って
捜して
ススキの陰に
今宵月光を見る
心と身体を射し貫く
秋の夜に
照らし出される白く長い道
命の儚 ....
波動 生命をふりまいたのさ
閃光 闇崩し輝いたのさ
泥棒 罪と罰を与えたのさ
瞬間 永遠を持っていたのさ
世界 手の中に入ってるのさ
彼方 果てまで創っているのさ
忘我 己な ....
とめどなく流れる涙
痛む手首
私は混乱していた
何も分からない
いや何処かに冷静な私がいた
こんなことしてなんになるの?
そう想っている自分が
....
やわらかな枝を手折る途中で
雨雲をみた
止まり木をなくしてしまえば
よけいなうたを
聴かずに済むから
こころは
しずまる筈だったのに
しのびよる冷たさのなかで
雨雲のたくら ....
温度 もう冷たくはならないよ
情熱 ずっと愛していたんだよ
水色 あの日の海を思ったよ
恋人 ファーストキスは融けたよ
青空 晴れたならどこか行こうよ
午後 風が吹いて笑うんだよ ....
僕は
あの木のてっぺんに上りたい、と
あこがれてみただけだよ
幹にふれて
枝をみあげて
ただそれだけで
服を破いたわけでもなく
すり傷を負ったわけでもなく
あこがれてみただ ....
心の中で呟いてみる
それは音にならない
透明な言葉
だのに君は振り向いて
どうしたのと聞いた
僕は嬉しくってさ
何でもないって言いながら
笑っちゃったんだよ
どうしたの
何でもない
たったそれ ....
職場の先輩が
強気な部下のOLに牙を向かれ
いじけてた
この日、日誌の僕は
書類をコピーしたら
紙が詰まった
事務所に行って
先輩呼んで
「 頼りにしてます、助 ....
貴方が愛されて
泣いてしまう夜を
時々知っている
涙を落とす
貴方たちよ
私は
祈っている
温かい腕に抱かれて
眠れ と
私は
想っている
私たちが繋 ....
あの頃あたしは
モンパルナスの小さなアパートで
クローディアと一緒に暮らしていた。
暮らしていた、と言っても、三ヶ月くらいの間だったけど。
その小さなアパートには、
クローデ ....
今宵十五夜の月を
楽しみにしておりましたのに
朝から硝子窓を濡らす雨は
一向に止む気配を見せません
花器に
手折った数本の芒と一枝の萩を
無造作に入れ
恨めしげに外を眺めており ....
空の上からぽっかりと
僕達を見下ろす月がある
夜の宴か満月か
地上に湧き立つ生命の神秘
それを見下ろすお月様
言葉で伝えず明かりで語る
雑音だらけのネオンを眺め
....
恐れは詩、死、しかも刺、思。
屍骸
エシュロン
乖離
黙示録
a: 肉体的な関係
b: 過去の発言と行動におけるすべての統計(DB)
a+b=いやぁんジョイトイきらい、でも止めな ....
深いねずみ色の雲の上に
薄ネズの雲は所々に白く
さらに遠い高層雲は青く浮かぶ
月の虹は丸く
流れる雲が生き物で無いと示す
止まった呼吸がすっと吐き出され
僕はこの世に帰ってくる
....
哀愁の風が白いキャンバスを揺らす
冷たいルビーと無邪気なスカーレットをパレットに置く
イーゼルは回転する地軸にあわせて移動し、
重力波”ξ”に押される歪んだ時空を支える
ペインティングナイ ....
波が立ち
風が吹く
寒い
雨音
何も無い一日
柿にヒヨドリ
時は流れ
陽は沈む
水は命を育み
木々は生茂り
魚は泳ぎ回る
人は癒される
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