わたしは
待っているのです
朝がたに
たんぽぽが咲いているでしょう
わたしは
聞いていたいのです
橋の向こうから
....
01
図書館にパンが落ちていたので男は拾って食べたのだが、それはパンではなくムカデの足だった。
02
図書館の大砂漠で遭難した司書は一週間後に救助され、その翌年には大統領になった ....
「シアワセ」という音で
ひとの死を表す国があったとしたら
「シアワセニナリナサイ」という
祈りの言葉が怖くなる
たとえばお金を指さして
「シアワセ」と呼ぶ国があったなら
「 ....
今日も雨だったな
バイクだから風邪を引いちまうよ
花粉症だから少しは嬉しいけども
たまに暖かい日があるね
俺は寝坊助だからほっとするよ
起きても寒かったら勇気が出ないんだ ....
鉢植えは
水をやり過ぎて
いつもだめにしてしまう
気持ちが強すぎるのだろう
あなたのようにはいかない
虹のような光沢を紡いだ糸車が
カラカラと終わりを告げても
流れる水のなかで
目 ....
世界で一番
大切なものは何?
妻です。
二番目は?
音楽です。
世界で一番美しいものは何?
「お疲れ様」と言う労りの言葉
世界で一番醜いものは何?
暴言を吐く人
世界で一番美 ....
あなたの真剣な表情
こぼれる あきらめの言葉
ぼそぼそ 口にする
わたしも 今日はふざけないで
まじめ に 言葉を拾って
提案してみる ひとつ ふたつ・・みっつ
あなたと、つながりたい ....
なぁ、オカア
子どもの頃から口癖みたいに
女の子はこれくらいできなあかん言うて
台所に立たせてたやろ
うちはあれがすごい嫌いで
何だかんだと理由をつけては逃げ出して
そういえばお弁当一 ....
高一のときいまで言うパニック障害になった
実力よりうえの学校に入ってすこし疎外感を感じていたから
そのことが原因かな、と思った
電車を自転車に変え
剣道部をバスケに変えた
エレベーターには半 ....
古き良き時代
いじめのない
僕は平気
モンブランのように甘い
ミナシゴハッチ
お兄ちゃんは
証券マン
妻子持ち
愛に餓えている
人に好かれる
人と話すのは疲れる
気を使っ ....
*
昼に停まった季節の便りは
いつぞやの名残を含んだセピア色の背景に、日向に生まれ落ちたパステルの淡い配色と、幼子の視線のラフなスケッチとなって
単色に描かれていた風景画を小さな額縁の中から取 ....
忘れ去られることは
滅び去ることと同義ではなく
ときに月夜の雨のなか
朱色の花の
面影が咲く
雲を織りなす風たちは
水の巨像を築き上げ
やわらかな片目の
や ....
ふいに思いついたタイトルを
そのまま即興書き下ろし
綺麗に飾りつけたおばさんよりも
ノーメイクのおねーさん
化粧の濃い香水香るおばさんよりも
ノーメイクのおねーさん
もしくは縁 ....
*
抽象をなぞる指先が、無色透明な肌に存在だけを記して
昨日の空に溶けて行く、輪廻を正しく辿って行けば
全ての人の記憶は一つになると
ついさっき、知りました。
だから、君の香りはどこか懐かしいのだ ....
会合を終えて神戸から倉敷に移動するともう11時だった
ホテルにチェックインしても脳みそはまだ高速をぶっ飛ばしている感じだ
2時間ぶりの煙草を喫煙コーナーで吸う
11時40分からマッサージを予約し ....
君が手を握り返してくる
ほどけかかった髪を
気にもとめずに
夢中で遊んだ帰り道
陽が傾きかけた
商店街で
君は目をキラキラさせて
さっきまで握っていた手を離して
駄菓子 ....
090624
行人偏と禾編がケンカして
別れた
離婚したのではなくて
別居しただけだと
読者を
隣人を
父を
母を
弟を
叔父を
....
いつの日か届くと疑わなかった僕らの文明が崩壊していくのだとしたら、
今密かに繋いでいた手を解こう。
肌を寄せ合うだけで満足なら受理されない契約書を破ろう。
叡智を極めてもあの{ルビ巨= ....
最も欲しいもの
愛
最もいらないもの
死
毎日へとへとに
疲れて
寝る
苦しい
腰をやられ
膝をやられ
心を痛め
多くの人の愛を感じる。
泣いた。小さなサリナは口足らず
言葉足りないと
ねぇ、何も伝わらないね
そう言って流す涙
君の全てを物語っている様に感じた
僕は君の全部を知ってるよ
意地っ ....
5歳の僕は風の中にいた。
底の町から吹く風は暖かかったが、
上の町から吹く風は冷たかった。
底の町から吹く風を顔面に受け止めて
膨らんでゆくと
僕は虫になって舞い上がった。
谷の反 ....
久しぶりの天気に気がいってて
あたし首筋に塗るのを忘れた
プラタナスの木陰をえらんで歩いた
もうあきらめながら一日を過ごした
一日にできることなんか知れている
十年かけて ....
となりのおっさんが着信音に出て
イソギンチャク死んだんか、
と第一声を発した
さみしいやろ、海にほったらなあかんな、
おっさんたちにとってイソギンチャクは
犬や猫のような ....
傘はどうしたの?
由紀さんに言われはじめて気づいた
昨日買ったばかりの雨傘
ガーリーとは思いつつも華やかなレースに一目惚れしたんだよね
教室に置き忘れたのじゃ無いだけは確かなんだけど
....
超密集型合同庁舎兼大時計台の八百万本に及ぶ銀色支柱がタテ・ナナメ・ヨコに生えてならんで、
金ダワシみたいな鳥の巣が もさもさ そこここにくっついてて、
ゼンマイひよこは顔を出し、やっぱ隠れて、もぞ ....
この胸で休みなさい
疲れた体を横たえ
毛づくろいをして
次の旅に出よう
泣いて笑って
怒って悲しんで
皆必死に
生きている
すべては正しい
良心からしているから
心配はいら ....
たなごころに
すとんと収まるその笛は
尊い土の重さと
ほのかな内空の軽さを
同時に伝える
私は
澄んだ森の気配に
肺胞を湿らせ
惹きつけられるように
ほっこりとしたぬくもりに
....
090622
銀ヤンマを食べる
鬼ヤンマを睨む
怖い顔をした男が
車に跳ねられて
怪我をして
病院に運ばれた
怖いから
跳ねられ ....
ふいに手にした{ルビ銀匙=スプーン}を
見下ろすと
逆さの僕が
こちらを見上げてゐる
銀匙に映る小さい僕と
銀匙を持つ大きい僕の
瞳と瞳の間を
結ぶ
透きとほった時 ....
曇り空のしたを歩いている
電車に乗っている
お客様に挨拶している
仲間にメールしている
六月の闇は深くなる
雨に濡れた髪はひじきになる
宇宙のからくりをふたつ考える ....
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