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うっすらとした
指紋が残る
小さな
背徳ばかりで出来た
フォンダンの中から
青銅のさかなが跳ね上がる
冷気の中で始まってしまった
運動会
知らないプログラムを
延々と放送して
....
硬いひざにきみの
頭をのせて
ひとつ、
ふたつ、
みっつ、
よっつ、
いつつ、
歳をとるように静かに
きみはまどろんでしまう
....
九月に
花咲くものもあるのだ
ぐんとのびる空と雲と
肌さわる大気
苦しみのさなかにもある
はたとした気づきの殴打
群青の宙の下
張りつめる呼気
言ってしまうと
軽々しく浮 ....
自転車で
スローダウンして
見上げた初秋の青空に
アオスジアゲハ
自然にまかせて舞おうとする
あなたのようだと思う
今朝気がついた秋は
褐色の落ち葉
乾いて道端に身を寄せ合って ....
窓をあけて
夏にばいばいっていうのは、たぶん
さよならを置きっぱなしにした
子どもの僕がいるからだろう
海の見える丘に
錆びてうごかなくなった自転車がねむる
....
きょうそとは
キンモクセイの匂いしている
それだけが湿気のように
こすれあう肌が
お花屋さんの冷蔵室の匂いだ
植物みたいな悲しみに
ふたりはじゃれあい
た ....
「おまえなんかイスになれ!!」
「おまえこそイスになれ!!」
「やめてください!! イスならぼくがなりますから、やめてください!!」
天国じゃなくても楽園じゃなくても
イスになりた ....
踏み付けてやりたい、この臆病な息遣いを
土のまないたに寝かせて
10本の指で隠しただけの双眸を
なまぬるい血を寄せあつめただけの心臓を
どうせくくりつけられた調理台から逃げることなんて ....
太陽、わたしだけの
視ずのなかで
小さくなる
その文字の行方
太陽、
ここへ来て
一緒に落ちる
雨や雪やもしくは火山灰
降り積もるものに閉ざされるとき
あおぞらに解き放たれた高層雲が眩しいとき
それら、数え切れない
ゆえに無限に近いものを見上げるとき
からだは静かな楽器になるのです
....
愛をうろつき
ともしびを踊らした
石壁にもうひとりの
ぼくが伸びて
あなたはもう帰らない
大地からの合唱のあと
ぼくのソロが
さびしくにぎやかに
夜 ....
夜
蝉が鳴く
孤独を切り裂くように
何処へも
もう
いけないことを悟っているように
性急に 性急に
夏の生ぬるい空気を震わせている
こん ....
すべてがあなたの声だった
忘れたいってもがいていた
ときどきあなたが
自身のことをよく言わないとき
ぼくはあらゆる悲しみになっていたよ
すべてがあなたの声だった
忘 ....
フェンスがどこまでも
長く続いている夏
午後、知らない所で
知っている人は逝った
乗客も乗務員も置いて
青い列車は海に向かって出発する
座席には誰かが忘れていった
大人用の眼 ....
はるか明日をながれてゆく、あいまいなけむり
大きなくろい灰につつまれてしまって 見えないけど
あたらしいめざめを待っている
無数の とじられた視界のとなりで
あたらしいものがめざめる ....
胸に抱いた
ちいさな逸脱を
きみは、
そっと足もとにこぼして
かなしげな
落ち葉のように重ね
どこか、
もっとかなしげなところへ
....
頭をわれば
中にはまだ
あの頃のものが
ある気がする
うわべ、ひょうめん
はりついてひふになったおだやかさで
しあわせをかみしめて今日も生きているけれど、
わたしの、なかでふ ....
恋人よ
ぼくはすぐ立つ
スケスケのパンティ見れば
ダークな街の
アダルトショップで
君への贈りもののパンティ
探す、探すつもりだ
いいえ
あなた
私は欲しいパンティはないのよ
....
あの灯りのなかに
いつかの僕たちがいる
迎えるでもなく
さよならでもなく
あの灯りのなかに
懐かしい日がある
見えないものに
この目を輝かせる僕は
いつかの日々の
星 ....
庭にドライアイスを吐き捨てた
僕の肺の底に溜まっていた汚物
吐き出せなかった二酸化炭素が肺に堆積して
静かに冷えて凍ったもの
空気を吸うのと同じだけ
吐き出すことが出来ればいいのに
い ....
{引用=
***
}
ムラサキツバメに失踪する
その前夜にふきあれた豪雨のことを
ながく思いわずらっている
きしり、と
窓はひらいた
ひと知れず
みるまに
カーテンはあおられて ....
どちらかと言えば
雨を思い出す
そういえば
どこだったっけな
あれは
ほら
おいしいカレーライスを食べた時
確か
雨が降っていたよね
他にも
そうだ
日光でそばを食べた時
雨が ....
切ない声も
切ないうたも
簡単に胸をしめつける
音 全部なくしたとしたら
あたし切なさなくすの?
文字は残るけど
温度 感じない
君が残してくれた永遠って文字は
何度触れても乾 ....
る の形の漏斗へと滑り落ちていくように
ぼくは明るい駅へと吸い込まれる
窓に青蛙が張り付く
濡れた松葉が張り付く
滲むいくつかの家の灯りが
黒い木立に十字を掛けて
すいと横に流れたかと見る ....
いすは
ひとがすわらなくても
それじたい
ひとのようである
だれもすわらないいす
それじたいが
まるでひとのように
みずからにちんざしている
やかれたひとも
まだ ....
過去というものは記憶の積み重ねで
時間というベールを幾重にも重ねてゆけば
どんな経験もセピア色に染まり
綺麗なオブジェの出来上がり
過去を溜め込んだ洗面器に
右手を突っ込んでみる
つめ ....
夜中になれば静寂の火が灯る
何もかもが去っていき
あるものが忘れられる
時計の規則正しい針の音が響き
時折救急車のサイレン音が割り込んで
誰かを連れ去っていくのだが
私の背中を刺すものに出 ....
今日はまあなんとか
明日もやりたくはないけど など
贅沢言って日が落ちる
日が落ちてからの仕事だっても
終わったら明日は明るいから
楽しい
ああ ああ
今日はよかったっすか
....
ちいさい秋見つけたの輪唱は
町の裏路地を通り抜け
いつしか夕日ばかりの
河原の土手へと
手をつないで駆けてゆく
そんな幼い日の幻影が
電信柱の後ろから
にっこりと顔をのぞかせ
むかし聞 ....
きょう
きみがうまれたひに
たどりつきました
ふたりでいっしょに
そのいみをすこしかみしめたい
いきかたは
ひどくつたなくて
そのすえに
きみにであったような
きがした
....
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