擦れてゆく雲に託す
塩崎みあき

うっすらとした
指紋が残る
小さな
背徳ばかりで出来た
フォンダンの中から
青銅のさかなが跳ね上がる

冷気の中で始まってしまった
運動会
知らないプログラムを
延々と放送して
花飾りの入場ゲートの
紫のタスキをした
ランナーがいまにも走り出せる

そんな日
雲は擦れている

地平線辺りで
彼らの躍動の砂埃が
低くとどまっている


自由詩 擦れてゆく雲に託す Copyright 塩崎みあき 2011-09-07 18:24:08
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