すべてのおすすめ
春が着いた
質感でそのことを知った
白いシーツ
草のようなところで
息を吐いて吸う
自分の内も
入れ替わり始める
良く整備された風速計の
真似をしようとして
笑ってしまった
 ....
川面、ほら
よく見て
流されていく
洗濯物が乾いてから
数年が経った
好きな卵の種類と
根菜類も
よく咀嚼して食べた
皮膚は
裸足のままで

対岸のヒナゲシ
が綺麗ね
 ....
線を引いていたら
昔の友だちがきて
一緒に手伝ってくれた
昔の友だちは
昔と同じように
慣れた手つきで
丁寧に線を引いていった
相変わらず上手いね
と言うと
はにかんで笑う
 ....
朝、着陸があった
生き物のような
小さな音
おだやかな
さざなみと
草の下敷き
わたしは子供だった

片言の陽射しにも
なれなかった
一粒の海
古いゴム管の
隣に腰掛け ....
水沫の上に
都市が建ち始めた
人が溢れ出すと
歴程のいくつかは消えていった
句読点が住んでいる一画には
本日もそぼろない風が吹いていて
生きることは疲れるね
生きることは美しいね ....
交番の蓋を開けると
砂漠が広がっていた
砂漠には机が置いてあった
引き出しはすべて
取り外されていて
古い思い出は無く
新しい思い出も
もうしまえなかった
雨上がりの
虹がか ....
信号機に話しかけた
けれどその装置は
何も答えてはくれなかった

人が作ったから
人に作られてしまったから
今日もすべてのものに
平等に
色を伝えている

家の者に食べ慣れ ....
鶏肉を食べた
美味しくいただいた 
鳥、なのに空を飛べずに 
生涯を終えた
鶏の悲しさも一緒に
余ったお肉を 
冷蔵しようとしたけれど
開け放った窓から 
飛んでいったのは
 ....
ただ、青くて
細く収束する顎の形
幼い紙質の上に
設計図面を描くといつも
自動扉のところで
ふと途絶えてしまう

お昼の休憩中
遷都のようなものがあった
街のいたるところから ....
草の根と息吹と
あなた、忘れていったね
飛行船の落とし物みたいに

剝がしたり叩いたり
転んだりしながら過ごした毎日を
何と呼べば良かったのだろう
丁寧だったり雑だったり
胡麻 ....
風、そして風の鼓動
空の欠片を集めると
それはいつも爪に似ていた
窓だけが知っているわたしの形
初雪が観測された朝
静かに紙で指を切って
独り言のように
痛いと思った


 ....
 
 
塩水を買って帰る
安かったから、と妻に渡すと
またこんなもの買ってきて
そう言いながらも大事そうに抱えて
海に帰っていく
今日のおすすめはこれです
テレビの人が言った
(午前 ....
耳鳴りが気になって眠れない
そう言う君の耳に自分の耳を当てて
同じ耳鳴りを聞き続けた

あれしたい、これしたい
語り合う夢はまだまだある
この年になればいっそのこと
実現しない無 ....
雨季、冷たいだけの
椅子に腰
かけて
朝方の蝉が穏やかに
絶滅していく様子を
眺めていました

手を伸ばす
伸ばす手が
その手が
範囲
何も守れない

窓があってよか ....
僕に関係の無い人が笑っている
僕に関係の無い人が泣いている
僕に関係の無い人が風に揺れている
僕も少し風に揺れながら口を開けて
あの日のことを思い出そうとしている
あの日、が何のことなの ....
 
動物の名前を書いていると
人がやってきて
他人事みたいにほめてくれる

交差点のあちらこちらでは
初夏が観測され始め
立入禁止の札もまた
ゆっくりと音をたてている

このまま一 ....
 
 
カモメが空を飛ぶ
カモメの目の中で
僕は溺れる
溺れる僕は
工事現場をつくる

工事現場で犬は遊ぶ
どうして産まれたのか
なんて、犬のことなど
人は気にしない

大 ....
 
 
戦場で扇風機が回る
生活が確かにあった
セミは鳴く
脊椎動物たちが
忙しく生きた夏に
 
 
 
 
 
平泳ぎが得意で
早退した
陽の光はまだ幼く
犬の背中も
温かく照らした
国鉄の線路は
歪んだ円を描き
わたしは
父の利き手を
思い出すのだった
その作業と
役割につい ....
 
 
下着の縦と横が 
垂直に交わる 
そのようなところが 
指定の喫煙所
煙にまみれ 
自転車はすべて 
曲がっている 
下着は優しい 
縦と横があるから 
指は縦をなぞり  ....
 
 
砂漠にさくらが咲いた
砂漠中の魚が集まってきて
あたり一面、銀色に輝いている

わたしが目を閉じると
さくらは散り
砂は空へと帰っていく

そして魚たちはみな
記憶の届か ....
 
 
ゆっくりとした花の先端から 
二人で汽船に乗る 
生き物の物真似をして過ごす 
生きていて良かった、と時々思い 
絵葉書の側で時々笑う
 
 
夏にあいたひし形の穴から
海が溢れだす
きみは定規で水平線を引き直す
クジラが大きな口を開けて
ぼくの腹話術で、あー、と言う
 
 
ひまわりの振りをして 
きみが咲いている 
太陽の方を向いて 
きれいに咲いている 
ぼくは影の振りをして 
地面に横たわる 
こうしていると何だかとっても 
時間の無駄だね ....
 
 
犬が僕の名前を呼ぶ
僕が返事をする

また犬が僕の名前を呼ぶ
また僕が返事をする

そんなやり取りが愉快で
何度も繰り返す
そうしているうちに
犬も僕もすっかり年を取った ....
 
 
黄ばんだ紙 
表と裏 
その間に 
地方都市 
雑居ビルの一室から 
産声
産まれることの
懐かしい痛み 
短い言葉は 
短い影をつくり
壁は語られる
曖昧な
理屈 ....
 
 
窓ふきをしていたはずなのに 
気がつくと父の背中を流している 
こうしてもらうなんて何年ぶりだろう 
父が嬉しそうに言う 
十五年ぶりくらいじゃないかな
僕が答える
父の狭い背 ....
 
 
フェンスがどこまでも
長く続いている夏
午後、知らない所で
知っている人は逝った
乗客も乗務員も置いて
青い列車は海に向かって出発する
座席には誰かが忘れていった
大人用の眼 ....
 
 
午後八時五十分発の
てんとう虫に乗る
潰さないように気を付けていると
言葉に疲れた兄が一人やってきて
優しい飲み水を差し入れしてくれた
ありがとうございました
そうお礼言う前に ....
 
 
ガラスに触れるクラゲの触手
骨のない夜、月に発光する

僕らの大切な約束は
フライパンの中
焦げた形の文字列になる

(自転車はさっき片付けておいたから)

どうしてだろ ....
あまねさんのたもつさんおすすめリスト(68)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
風速計- たもつ自由詩425-3-7
食卓の風景- たもつ自由詩525-3-1
昔の友だち- たもつ自由詩9*25-2-24
クリームパン- たもつ自由詩425-2-20
都市語り- たもつ自由詩425-2-16
水底- たもつ自由詩10*25-2-13
小箱- たもつ自由詩325-2-10
空を飛びたかった- たもつ自由詩6*25-2-6
残り香- たもつ自由詩625-2-3
知らんぷり- たもつ自由詩14*24-12-1
独り言- たもつ自由詩724-1-14
つぶやかない(二)- たもつ自由詩1121-3-12
片思い- たもつ自由詩1219-11-17
範囲- たもつ自由詩619-11-15
さよなら- たもつ自由詩2418-6-8
はげ- たもつ自由詩415-5-20
海岸を歩く- たもつ自由詩613-6-15
生活- たもつ自由詩512-4-26
利き手- たもつ自由詩612-4-20
対角線に進むと- たもつ自由詩312-4-17
砂漠のさくら- たもつ自由詩812-4-14
age7- たもつ自由詩712-2-29
age4- たもつ自由詩912-2-26
増えていく- たもつ自由詩1311-11-30
埠頭- たもつ自由詩211-11-12
逃げ水- たもつ自由詩211-11-2
窓ふき- たもつ自由詩10*11-10-19
青い列車- たもつ自由詩611-9-5
月夜にカーテンを買って- たもつ自由詩511-8-17
骨のない夜- たもつ自由詩211-6-30

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