すべてのおすすめ
わたくし 妖怪 おもてなし と申します
わたくしの体のほとんどの部分は 水なのでございます
人間の水分量は六割だそうですね 人って よくそれで生きておれますわね
たわいのないことを地獄 ....
9月
真夏日
ロックミシンと
直線ミシンに
電気を通わせる
いくつもの
ささくれだった傷を接ぐように
激しくも繊細に
針を打ち込む
壁に拳を壊す
いくつもの
波を立てる
....
わたしたちは知らない
夜の闇のいちばんふかいところで
じっと目をとじ 夜をつむぐ
夜の織り人がいることを
あらゆる夜の恩恵をもたらす
ものを語らぬ夜の織り人がいることを
夜のしずけ ....
わがままなあなたのReは愛しても
まだ足りないと盗みいるひと
雨の夜は朝がこないとテレビのなかの猫たち
雨でも散歩はできるよね、と
傍らのちいさな犬はぽつり
おやすみが言えなくな ....
きらきらひかる
ほしをさがした
ありがとう
わすれてないよ
こうして
あたたかいてを
うばわなかった
おほしさまは
ふりそそぐ
なかないで、
追加の勘定を弾ませて帰る還り道。
黒ずんだ木の隙間から
偽者のような、嘘のような小動物。
伺い知れないでいるのは
どことどこの
どちら様だろうか。
挨拶を証明するような時期は
と ....
夏が去ったあとのがらんどうに
いつしか白く大きな九月階段が出現していて
そして僕らはその段々の上に
蒔かれたように腰かけていた
ただそこで空を見あげていたり
何かを読んでいたり
歌をうたっ ....
秋になったのに
秋を受け入れられなくて
半袖の腕を
抱きしめて立っている
もうそこに
真っ白な季節をみてしまい
ゆれる木々の
変化すらみていない
まだこない季節でばかり
過ご ....
暗くなる前から隠れる所を捜した
冷たい風を避けて 二人は草の茂みに潜んだ
ざああ ざああ 荒れ気味の風が林檎畑を走る
強い風に羽があおられて もっと草の奥へと
二人は入り込んだ
夜空 ....
どうにも悲しみで凹んでいるので
エポキシで盛ってみたが
今一つ盛り上がらない
平坦に戻すために
400番をかけてみたが
今度は荒れてしまった
目を細かくして
ゆっくりと順番に
....
バッタがぴょん
土手道よこぎる
バッタばったり
ぴょんぴょんと
とんぼがスイ
稲刈る田んぼに
とんぼとんで
スイスイと
小石がぽちゃ
静かな川面
小石濃い清水に
ぽっ ....
誰もいない
そこに何もなくなったのかもしれないと思う
何故だろう
言葉は無力だ
詩はどこにある
詩は どこに
だけどこうしていることに意味は何もない
そして 詩は書かれる
....
湿度にとらわれた熱量が
肌にまとわりついている
エアコンは嫌いだ
あの冷やりとした
微かにカビ臭い風は
地下の駐車場を思い出す
軟らかにしなだれる
段ボールを思い出す
寝苦しさ ....
忘れないで
と言うには
遠すぎるし
忘れて
と言うには
近すぎる
出会わなければ
と思うには
おだやかすぎたし
会いたい
と口に出すほど
捨て身にも
なれなかっ ....
海のように
とおくに流れる風をさらってきたりはしないけど
湖のように
ずっとおなじそらを映しつづけるわけでもない
川のように
あふれたものが自由になるぐらいがちょうどいいね
....
あなたとさようならをした日
最初はとても晴れた日で
いなくなる日は
ほんとうにたくさんの雨が降った
{引用=
ばいばい
ばいばい
}
あなたはたぶん
そんな言葉知らなかっ ....
よくみられたい
よくおもわれたい
少なくとも嫌われたくない
そんな鎧は
いったん着てしまったら
脱げないよ
いらなかったのに
そんな鎧をいつから
着てたんだろう
重いのに
脱げ ....
熱がある時に観る
テレビのような現実が
頭の端っこで丸くなって
きれいに瘡蓋になる前に
剥がして/痛がって/泣いている
・
彼女は晴れの日でも傘を差している
雨を異様に怖がっているのだ
酸性雨を浴びると体が跡形もなく溶けてしまう
という話を子供のころに聞いて以来
ずっと信じているらしい
雨が降り出してから差 ....
からだがなかなか
かわかないので
手当たりしだいに
夜をあつめ
からからのからだを
あたためている
あたためている
そのうちに
いままで使った
うそや悲しみが
いっ ....
陽も暮れきった午後六時
買い物メモを持って靴を履く
切れているのは醤油
それから時計に入れる乾電池
八時には夫が帰宅するので
急がないといけない
台所にはやりかけのパズルが広げてある
電 ....
きこえる
ひかりがきこえる
波打ち際に
わたしは耳を置いてきてしまった
遠い日の
あなたが歯をみせて笑ってる
くりかえし
....
女の子は涙でできているとしたら
それは逃げだというのでしょうか
うみがめの女の子は
涙を流しながら
出産します。
確かなことは
何もつかめなくて
....
ふと なぞる記憶
あの日みた 風景が
最後になるなどと
誰が考えよう…
眩い その笑顔の先に
変わらない
夏の陽
またね
が、こだましてゆく
まるいあかりって
ぼくの檻を揺り起こすぐらいのやさしさしかない
だってほら 一枚ガラスの向こう側はもう寝静まっている
やわらかなひかりに背を向ける
それは 朝も 昼だっておなじこと
....
空いた
椅子の上には
ゆうぐれが降っていて
絵描きになれない風たちは
せめてもの代わりに
言葉を混ぜて
去っていく
取り残された場所に
おそらく施錠は
必要ない
....
今日の夕方 あなたに 逢いに行くよ
傘をさして 秋雨に肩を貸して
くたびれた花 疲れた川のほとりに
あなたを休ませる 大きな木があるから
愛すること それはとても簡単
難しい ....
ロージー
なあ
いらないよな
しあわせなんて
いらないよな
ロージー
金なんて
いらないよな
ロージー
なあ
季節なんて
いらないよな
いらないよな
ロー ....
扇風機は空を飛ぶ
ちょっと角度を変えてあげれば
扇風機は空を飛ぶ
ちょっと力を強くすれば
扇風機は空を飛ぶ
ちょっと羽を大きくすれば
扇風機は空を飛ぶ
....
真っ白く巨大な雲に
薄くて淡いグレーの雲が
今にも食い千切られようとしていた。
止まっていることと
動いていることが
まるでわからなくなる。
ぼやけた真実が
確かな真実になったり ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64