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合唱の空
ひびきあう秋の空
こだまする秋の空
人間という楽器が
羊と鋼と調和する
合唱の空
高らかな優しさと
ぼくとつな犠牲心
人間という楽器が
....
いちごジャムのびんに
あおい草を生ける
涙がこぼれそう でも
こぼれないで そうやって
過去に慣れていく
宵の切りくち、触れて、きっとベルベット。本当の黒なんてどこにもなかった。なでた場所から裂けていく夜をかがり縫う。濃紺であり、薄墨の、暗いからよく見えない、黒ではない黒色。ひと刺しごとに指先へと重くのし ....
ねむたい灯りのすべてにいちいち
湿度や数や記号がついている
おもえば ずうっとまえ
まぶたがまだ無かったころから
ふえることが課題だった
ふえ、進むこと
まだいくらでも捨てるものが ....
羽
とんぼが旗竿の先にとまつてゐる。
セルロイドのやうな羽の一枚が、半分切れてゐる。
緑の縞の入つた黒い胴を一定のリズムで上下させ、三枚半の羽を震はせながら、とんぼは ....
パジャマ姿で病室に眠る
その腕を繋ぐ点滴のリズム
どこかで落とした涙のように
揺れるカーテンを眺めて思う
向こうの世界へ飛び出す身体に
大きな羽根を与えてくれないか
お弁当箱にしま ....
ふわっと骨が溶けた 蒸発する
瞬間みたいな音がした
弦だ
何を語り何で存在するのか愛さないと獲れない
司り
小僧の奏でられるキザな姿
美少年の枠の先端に陰りを静けさ満ちて ....
本棚に何冊かの聖書がある
俺は幸せになったのか
キリスト教はご利益宗教ではない
ならば洗礼を受けて
生きてきたことも良かったのだろう
ただ茨の道であったことは確かである
ひんがしのくにのね 群らない夜は
だれもか大勢の中で たったひとり
回遊魚のように 周回する深夜バス
満員なのに みんな たったひとりきり
だれもが どろりととけた目をして
混雑した車内 ....
水を
飲み干す
と
きれいに
戻れるの
過去は
穢されて
きれいは
きえはてて
水を
飲み干す
と
涙も
流れるの
過去の
ゆるせない
じぶんも ....
透明で早い朝
秋
けむりの匂い
肌につるんと
光
老いも若きも
夜だけでなくて
朝まで寒くなる
ひと恋しいなど
くだらん洗脳だ
透明 ....
ふねのかたちをした
古い水族館で
ため息が水槽を
曇らせるのを
みたわ
長い魚、丸い魚、群れる魚、ぼっちの魚、
人が知ってる
ありとあらゆる
地球の魚が
目を丸くして
泳い ....
もうあざやかさにそめあげられた青空が
海に落とされ
凍りつく落下速度の門を
美しく破る波の牙
切り立つ崖の上に立って私の
半生を眼下の海に沈めたい
秋も終わり
歌う虫もいず
....
にいにいよんよん
にいよんよん
猫がにいと鳴いてよんと応えるのはハンモックあるいは立て付けの悪い扉にいにいと錆びたノコギリよんよん
時間にばかり目がゆくのはニィ書けないからだと知っている ....
切りとる
世界を
見せて
おくれよ
写真じゃ
ダメさ
詩じゃなきゃ
見えない
心という
見えないもの
おもいという
不自由なもの
楽しげな
笑いなら
楽しげに
見 ....
久々の実家に泊まり
ふと手をみれば
爪はのび
父と母はよたよた、歩く
青白む空に星が燃やされていく
ささやかな虫の声と
なめらかな雲の影が葬列を成して
焚きつける東の空は間違いなく翠の色をしているのに
遥かの路上を引き裂くタイヤが全てを置き去っていく
心で ....
死ぬ時は死ぬ時の
風が吹くのではないですか
内側の草むらが騒ぎ
いくつかの虫が飛び上がるのでしょうか
あれは何? 毛布?
黒い毛布を吊るしてカーテンにしてください
瞼の上から光が眩しすぎる ....
なのに
たゆたうように月は光りつづけ
あきもせず夜空を見上げる
あなたの横顔が冷たい
聴こえるはずのない
化鳥の鳴きごえがした
なにかを奪い去る甲高い意志
その悲しみを ....
西で三角形がもえつきると
靴ひもはぐすぐずほつれ
朝は 鳥たちの夢になる
はばたく
さいしょの一羽が泣いていて
さびしさは空をあかくした
群れは ゆっくり
ゆっくりこま切 ....
雲の切れ間から
青が光って覗いている
俺はくたびれ脱力して
道端に腰掛けている
わけの分からない宣伝カーが
ゆっくりと通り過ぎて行く
ひんやりと動かない空気
傾きかけた太陽
何も変わら ....
遠い声を聞いた 海の底のようなはるかな声だ
耳に残る 今はおぼろげな記憶のようだと
貝殻の奥にある秘密の旋律のようだと
遠い道を歩いて抱いてしまった憧れに逢いに行く
人々が集って来る ....
灰色のまちが
悲しくも懐かしくも
なさそうに佇んでいる
言葉でそれをとらえたとて
電車からじぶんの職場を
見てゆき過ぎるようなものだ
世のため人のために君は生き ....
左目の時間は遅くなり
右目は知らぬふりをする
雪になれない雨の日々
径に生える短いまぼろし
冷たい水のかたちたち
好きと同時に嫌いながら
指の数を限りなく
限 ....
あなたがいると、
世界は
星くずみたいになるから、
右や 左や
上や 下はなくなって
きらきらざくざく溢れゆく波になって
みんな 傷まみれで
ひかって、
転ぶみたいに流れて ....
だれも傷つけたくない
傷つきたくない
底にあるものをつきつめない
ふんわりでいい
うおーっていうのは、なくていい
ひとりのいいねで満たされる
新鋭的な、斬新な
研ぎ澄まされた感覚 ....
空の手が降りて
僕を
私たちを包み
舞いあがる
遥か昔から変わらない
かすかな風
に含まれる潮騒
意味なんてなにもない
ただそこにあるものを
受け入れて
そのまま受け流す
そ ....
男の子が砂漠に沈んでいく
女の子も砂漠に沈んでいく
女の子にみえる男の子も沈んでいく
男の子にみえる女の子も沈んでいく
背の高いひとが沈んでいく
背の低いひとも沈んでいく
痩せているひ ....
狂ってしまった
消火栓を
一人抱いて
美しい風
不可能犯罪の方法を
書いて捨てるノート
右手で爪を握って
左手で鳥を真似する
くびれた時間の
一番細い部分
美しい風
しま ....
ひぐらし、ゆうぐれ
ひと吸い、
瞑る、心を透かす
風が吹く、
酸素が供給過多になる
晴れの日、は
減ってきた
大切に見送ることができたか
花火、
馬も牛も
畳に頬を ....
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