すべてのおすすめ
前方不注意で迷い込んだ森で
僕の死骸は笑っていた
それが実に正夢で
私は確かに発狂している
もう望んでない
もう恨んでない
上澄みだけが
強がって
僕を守ろうとした
無意 ....
- Der Traum, wieder
一瞬で、どんな夢だったのか忘れてしまうが
胸が潰れるような氣持ちのさなか目覺める
かたちのないもの
かんがえにな ....
あたたかさはいつも
敵わないほどに傍らで咲いて
叶わないたびに散り
地面をひたすらに覆い尽くす
しあわせという匂いにむせて
風のつきあたりでは
くるくるくるくると
止むことなく空へ ....
塩水を買って帰る
安かったから、と妻に渡すと
またこんなもの買ってきて
そう言いながらも大事そうに抱えて
海に帰っていく
今日のおすすめはこれです
テレビの人が言った
(午前 ....
鏡を上に向けすぎた昼
映らない
何も
映らない
雪が径をすぎる
さかな ふるえ
背びれ 夕刻
自ら 光の個のほうへ
応えをしまい
さらに しまう
....
シーンを変えろ
問題の周囲は幻で
{ルビ那由多=なゆた}の日々の中心点は
いつも自分自身
いたずらにふり回される前に
指よ、鍵盤の上を踊れ
瞬時を歩む、ジャズマンの手のよう ....
見えないが それは
熱の蛇が 這っているのだ
かんぜんな 石を湿らせ
なにもかもが黙る
熱の蛇が
這っていくのが見えない
街はいつも 叫んで ....
瞳からのぞくと
馬たちが みえた
日が薄ぼやけ
あたりは冷えて
草の においだけが
ほそながくかがやいていき
わたしたちの
愛はきえた
....
有刺鉄線をいじっていたら
異常にこんがらがって溶け始めた
俺の熱のせいか、指先は既に燃えていた
閉じ込められたまま閉じ篭もったまま
砂漠に墜ちたプロペラ飛行機
赤いいきもの達が列を ....
椀に触れたことのないくちびる
樹液のにおいのくちびる
人を知らないくちびる
ひとりを生きてゆく手のひら
人の姿をした冬の
はじまりと終わりが並んで立ち
木々が途 ....
街はいま
傾いて
春を呼ぼうとしている
四角いからだを
丸く嵌めようとした
壊しながら
(しかもそれを
愛と
呼んだりも
した)
うずうずと
傷む
気持をして
....
昨日から
降ってはときおり止んで
降り続くから
朝か夕か分からなくなる
冬の雨は
うすぼんやり温かい
雪になりそこねた雨に
ずっと昔にも出会ったことがある
時間のあわいのような色の ....
いつか死んでほしい人のための家路ほど
悲しいものもない雪夜でした
窓のあかりとうなるボイラ
湯をあびるひとの気配
耳なりのむこうのやわこい声
わたしは悪党だったから
全身が指先みたいにかじ ....
普段は気にも留めないのだけど
ふと気づくと
時があっという間に過ぎている
それにはしっぽも前髪もないので
つかまえることができない
天気予報では雪だったのに
外れてただ寒いだけの日にな ....
朽ちた葉を踏むと
乾いた音がする
傍らに歩くむすこが
聞いて、と
教えてくれる
朽ちた葉を踏むと
風の音がする
今まで気にしなかっただけの
あまりに満ちあふれた
音がする ....
風、が
向こうの山から降りてきて
体を抜けて
そしてまたあっちに流れてく
風の粒、のなかに
きっかけは無かった
駅も、バス停もない
親だけが、年を取ってる気がしていた ....
その呪いの
暗い
ほんとうをしっている
赤い血のゆめを吸い込んだ少女
街をさまよう顔のない亡霊
聴こえない声が
君の名をよぶ気がする
しろくつめたいガードレールは
....
痛覚レセプタ
ちょびひげのおじさん、今でもフィルムの向
こうから笑わせてくれる。拳を振っている。
誰もの幸せのために戦っている。そのときに、
必ず痛くなるものをさらけだしている。 ....
涙で喉に詰まる音が落ちて
無限の宇宙に転がっていく
笛吹水仙の妖精は
いつでも後ろで聞いている
胸に入り込んで聞いてくれる
ストローのような花が
ぜんぶ吸い取ってくれる
妖精がこっち ....
哀しみが蓋を
閉じて転がる
苦い言葉を
胸に張りつけて
風は吹かない
光は裂けてく
汚れたTシャツが
邪魔だと怒鳴る
ここは真っ暗な
洗濯機の中
乱れた心が
....
この星にある夜の余白へ静かな星を書き足してった
気付いたときには気付いてたんだ無意識的に意識していた
生き物たちが暮らしてるからこの世界には声があるんだ
つま先で立つと地面が揺れて
あらゆる命が追い越してゆく
足音や虫の音が触れる場所で
上を向いたら広い空の端に
糸口があって傷を縫えるまで
花が咲いてると訊いてみたくなる
お願いだか ....
街は、君のことが好き。
しんけんに、
みあげればみえる
幾百億、幾千億の銀河系の
白いカタツムリ状の渦巻きたち
星雲と名乗る用意があるものたちです。
街の灯がなんだか深く
ア ....
はてしない海原をほんとうにボートで横切ってきたのだろうか
詰まらないことで
凹みはしないがだれも助けのない雑踏のなかを
天気予報のない生活の中で
気象予報士になれたら素敵だったかもしれない ....
耳鳴りが気になって眠れない
そう言う君の耳に自分の耳を当てて
同じ耳鳴りを聞き続けた
あれしたい、これしたい
語り合う夢はまだまだある
この年になればいっそのこと
実現しない無 ....
雨季、冷たいだけの
椅子に腰
かけて
朝方の蝉が穏やかに
絶滅していく様子を
眺めていました
手を伸ばす
伸ばす手が
その手が
範囲
何も守れない
窓があってよか ....
裏山の湧き水でできた小さな池に
動物たちの残していった
木の実が沈んでる
私は薬罐に水を汲んで
庭でとれた渋柿を置く
いつか絵が届いたら
匂いをかいでみて
今年もここで枯れ葉 ....
夜 窓に至る暗がりに
幾つかの鉄柱が立っていて
ここからは月の檻です
と言う
長い長い髪の毛が四本
自分が髪の毛だと知らぬまま
夜に絡み
そよいでいた
....
おっちゃんがくわえた紙
おっちゃんの顔を蓋した
優しい声が届かない夜は
深層意識の土に立つ
一人の木をみつめます
夕陽をそそがれながら
ひとつずつ実りゆく言葉の果実は
あなたの部屋に届くでしょうか
この道は哀しみだけで終わらず
....
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