すべてのおすすめ
ぼくらのいのちのかたまりが
こころとなって かたちとなって
やってくる
あしたにはちがうかたち
になっているかもしれないし
そのままのかたちをしているかもしれな ....
これ以上泣いたり笑ったりできないくらいに疲れてそれでもお金は味方だと思った。一粒500円のチョコレートを買ったり髪の色を5日ごとに変えたりしてそれでやっと立てている感じがした。洋服より下着にお金をかけ ....
すみれの花時計で十四時から二十三時までの十七分間を
世界で一番きれいだとうわごとくり返しながら
豚のように運ばれてゆく
荷馬車を降りれば
なまぬるく甘い夏に抱かれるのだ
息を詰まらせ汗ば ....
ちーちゃんの誕生日の朝
いつものように洗濯機のスイッチを入れる
昼前には電話をしよう
生まれてきたことをお祝いする日だ。
ぽかんと夏空がおおいかぶさり
蝉は式典に関係なく鳴き ....
がらんどうの僕の胸に
柔らかにきみがふくらむから
メールではなく
涼しい便箋の手紙を送ろう
ああ、住所をしらない
しらないから
ギクシャクしちゃう
もっと練習しておくんだった
いろ ....
夏のお空は賑やか
雲の鯨が群なして
北さしゆっくり泳いでく
夕べ摘まれた胡瓜はポリエチレンの中
萎れた黄色の花を畳んで重い体をしんなりと
むらさきの影踊る無人販売所
朝の優しい静け ....
子宮ではなかったという。
母でないものから生まれたということだった。
私たちはかつて男の一部を削られて
この世に生を享けたと
せんせい、ではこの器官は誰の名残りなのですか。
....
大きな木には、神様が住んでいる。と、
子どもの耳が憶えている。
木肌に、耳をつけて、
神様の声をきく。
そうやって一度だけ、
神様の声を、聞いたことがある。
言葉はわからない。ただ、
水 ....
ありの行列は
時間の砂をせっせと運んでゆくような
そんな気がして、わたし
のどが渇きました
真っ白、とは言い難いミルクを
すっと飲み干せば
胸の時計は
狂いはじめます、やわらかに ....
帰るべき家があれば
来た道を戻るということは
当然のこととなるが
家を持たぬ旅人は
どのように歩いても
片道の往路でしかない
家と目的地を往復するだけの
平凡な毎日に
何も疑問を持 ....
あさおきて、かおをあらって、ごはんをたべて、それからがっこうへいきました……
そこでもう、ただ鉛筆を舐めている。その先へは進めない。
楽しかったことや、辛かったことも書いたらいい、と先生。
やす ....
電車がトンネルに入ると
車窓が黒い鏡になってしまった
深海の底をたどるように
てのひらをあたためる
ぼくは世界を見つめている
こころの闇なんか信じていない
ぼく ....
{引用=
ぼくがぬぐえたはずのなみだで
かみさまのいちびょうをかう
どうせ
あなたはむげんのときがあるのだから
ぼくがぬぐえたはずのなみだをぜんぶ
さしだすかわりに
かみ ....
卵は
白身が透明でいるのが礼儀正しいことだと思っていて
黄身は水毬のようにやわらかくあるのが正直だと信じていた
あの日々のわたしは
うまく立てない殻のまるみを遺伝子のせいにしていた
好き ....
庭のつばきのあしもとに
ちろちろ光る晴れ色を
わたしたち 雑草なんて呼んで
きみに叱られてしまった
雨上がりでもないのに
つまむだけですんぽと抜けて
糸くずみたいな根っこ
かわいいね ....
朝焼けに
一羽のかもめ
雨上がりの黒い砂
足跡がひとつ
ざらつく視界
限りなく打ち寄せる
あったことと
なかったことの
波打ち際
灰色の雲間から
淡い光が染み込んでくる
....
猫のあしあと
声のあしおと
不便なみどりいろは
ゆびのあいだで
ねむるように
さわっている
君じゃないなら
もうだれでもいい
君じゃないんだ
だから
どうでもいいんだ
....
夜になると
くるくると私は
私の皮をむく
くるくる くるくる
はじまりまでゆくといきどまり
ちょうどいいところでとめたい
なのにとめどころがわからず
くるくる くるくる くる ....
夕やみ歩く猫
のし
のし
人ごみと並んで歩いては
立ち止まり
都会が鼻歌まじりに風を歌うのを じっ と聞いている
夏はまだ長い
今日もずいぶんと蒸していて
建物からこぼれる冷気とごちゃ ....
雑草の背比べ。
(躍起になって草むしりの人)
切が無いのですけど
むしらないとあっという間ですからね。
それに、慣れてくると
楽しいもんですよ。
(時には寄り添って)
寄り処が、 ....
あなたの望む解放を
どうやってあなたに手渡そう
形のない贈り物を 届けるのに
言葉は必要ですか?
言葉ですら 音ですらないものを
ふたりが共有できたら
何にも頼れず生きてゆける?
....
さようならは
言うのもするのも簡単で
儀式の魔力にとりつかれた
きみがどこにいて
わたしがどこにいて
そういう二人の居場所の
重なりあいで
やっと
世界の輪郭がぼんやりできあがる
....
夜はおもいだされる
はがれおちる瓦を
煌々としていた青の炎でてらして
泣きさけぶこどもたちが
いっそう悲しみをました
手を
つかんで、はなさないで、でもあたたかさはつたわらないで
五 ....
水浸しの裸を抱いた。夜のどくどくと凪いでいる日々だった。
川はあかるく光を受けて、真っ赤に血液のようにきっと球体をはこ
んでいく。すべての一過性がここで収縮している。看取り、看取ら
....
交互に点。
黒で点、
白で点、
黒で点を打ったつもりでも
白で点を打ったとも言えなくもないようです。
あぁこれではまるで
私が図に乗っているみたいじゃないですか。
(言い訳の図) ....
夜明け前
蒼い空に
身を削る月がいた
誰にも気づかれることのないように
まして獣たちに さとられないように
目覚めた女が背をみせる
静まり返った山森は、眠りについたまま
星をなくした夜空 ....
あーあ
夏が来た
やばい
俺が性犯罪者に最も近づく季節
ってかさ
なによ
おねーちゃんたちの
あの格好
ミニスカート
ホットパンツ
キャミソール
下手すると下着見せてる
君 ....
夏の日差し
夏の青
真っ白な街真っ白なふるさと
だれもいない街
あれから悲しみは痛みに変わりましたか?
痛みを知りましたか?
雪の記憶の声
いえ
ひとりぼっちでただひたすら歩く ....
せみがいないとおもったら
いないのは
せみだけではなかった
それではなにが
いないのかとおもったら
せみだけのようなきがした
せみだけをおぼえてる
ひぐらしの
かな ....
アイスコーヒーのグラスから
氷の揺れる音がする
そんなとき
わたしは必ず
向こうを見ていて
身近なものの立てる響きに
微笑んでみる
なるべく優しく
微笑んでみる
....
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