すべてのおすすめ
隣に彼がいないのをいいことに
オナニーする夕暮れの美少女は
悲壮感漂ってグラフィカルな幻覚をみる
もっぱらハウスかテクノのピコポコ電子音苛まれ 焦りばかりの毎日
蛍光カラーがポップに散歩す ....
公園の
並木道で
かすかに
聴こえる音
の精をさがす
淡い
色すらない
音の精の
羽が
ひらひら舞うのに
輪郭が
ぼんやりしてきた
こころが
よりそう
ためきれない ....
もう誰も助けてくれない気がした
胸が抉られて、砂漠にたった1人
ビルディングとビルディングの間
間の抜けた衝動を孕んだ死角
もうここから一歩だって抜け出せない
都電通りめがけて、真っしぐ ....
朝はこんなにも鳥の声であふれている
それが
そらみみでないことを知ったあと
染み出てくる
当惑を
奥歯でそっとかみしめて
(愛おしいシーツの皺を伸ばすように)
こんなふうに
人は日常に ....
人魚のことばは あぶくです
なにを しゃべっていても 語尾はいつも
めるふぇんて わたしたちには きこえます
うろこののこる おみあしは めるふぇん です
人魚のゆびさきは 笹船のよ ....
区切るのは、窓枠
ガラスを斜めに横切る曲線
不規則な、雑巾の跡
掃除の手順は安定しない、いまだに
座る場所は決まっている
そうである限りはきっと
向こう側の風景も大体変わらない
....
海に来た
理由、必要かい
海に来た
海に来た
五月晴れとの予報は当たり
かもめは冴え冴えと
風に乗っている
東京の埠頭に匂いがないと人は言うが
わたしには聴こえる
埋め立ての ....
落下傘が
降りてくるのに
かっこうの空です
落下傘が
降りてくるには
じゅんびばんたん
の空です
今日わたしは
地球の
目じるし
腐り果てた空に、虹が突き刺さって風化したまま、
あらゆる感覚が停止した世界の壁に、ベンガラで擦られた、
巨大な死者の伝言が、僅かに一行、掠れもせず遺されていた。
――「背中に刻まれた言霊、犯人は ....
とうとう左手小指の爪半月が
消えた
何の不具合もない
誰も知らない私の体の変化
どうでもいいことだ
でも
こんなことでも
ずっと憶えている
自分にとって
どうでもいいこと ....
140505
揺り返されたのは僕の記憶
ひっくり返った本棚の下から
見えなくなった沢山の意思が思想が
ピクチャーサイズで這い出してきた
抗議デモのように自発的な現象 ....
花ちゃんの
あたまはしめって
血みたいな味がした
手のひらはかわいて
すこし皮が むけてた
それからふるえるように息をしたら
世界は
ささやかなその体のぶん
のびを した
....
そういえば春は
いつのまにか過ぎていた
楠のみどりの深さに溶けて
さえざえと曇る朝にまだなんとか
へばりついた春
雨戸をあける音に縮んで
すずらんの根元へ消えていく
ばらの蕾 ....
あたたかいミルクを 絨毯にこぼしてしまった日
きみはゆっくりと愛していた
町を、陽の光を、そでの長い服を
きゅうくつなかなしみが胸を染める
言葉にできな ....
涙のささやきとキス
君の目は愛と言葉
真実がいつか救われる
嘘はいつか壊される
王冠の形した心
台座をひっくり返して
一人で立つ
君の頬
真実が最後に壊されたら
軽蔑の眼差し ....
星が
揺れる
みなと
水面に投げ入れられた小石が、
いくつもの、
浅い、とうめいな
円運動の光を連続させながら、
熱風の凪いでしまった
真っ黒な海を、
ひゅるひゅる
ルル
....
冬の雪よりも深い、春のかなしみを
憂えるあまり、咆哮も彷徨もせずに、
ただ、ひとり揺り椅子に眠っていたのに、
彼女はとつぜん、
頁をめくるように、
眠りから解かれた。
カーテンの向こう ....
公園のベンチにすわって深呼吸をする。
遠くに青い山が見える。山はいつも見る風景の中に、変わらずにある。
おじいさんにもらった山である。
というのは真実ではない。
自分の詩の中で、自分勝手に自分 ....
一滴のくらやみが 明るみに落ちたとき
わたしは黙っていてもわたしでした
愛などのことばも必要なしに
光を一粒あなたがとってみせたとき
はずかしく右往左往にばらけるわたしを
つぎはぎの ....
吾妻橋一九七二年六月
つぶれるはずのビアホールで
神保町の石屋の伜と
一八の僕はたらふくビールを飲み交わし
ぐでんぐでんの千鳥足
売り飛ばされたはず(?)のビヤホールは
そのまま生き残 ....
街路にいるぼくが
語りかけるとき
胸の塔の
小さな窓があき
風がはいって
搭の中に眠っていた
もうひとりのぼくが
街路をのぞく
去っていくときに
長い髪をゆすって
一度だけ
....
足を洗った後の石鹸の香り漂うシャワールームで、水色のモザイクタイルが涙した。
清廉潔白なものに憧憬の念を抱いて、祈り続けるけれど、人が愚かで汚いことは百も承知。
これからも、多分同じ。
....
ふるい扉は頑丈で
坂みちをふさいでいる
その手前で三角にすわって
少し音をきいていた
あかぐろい、(でもやさしい)
まるい(でもつよい)、
おおきな、あかるい、時折白い、
響いて ....
計算尺からこぼれた泥のにおいで
ぼくはいつも寝不足です
よどんだ街灯に殴られた両目を
どうやって隠そうか毎日必死
(ねごとは寝て言えと
(どやされた日はいつも
(近所のどぶ川でカワニナ ....
「かわいい」
保育園の部屋に初めて入った周を
年長の女の子が、迎えてくれた
「じゃあね」
僕と妻はにこやかに手をふって
若い保育士さんに抱っこされたまま
きょとん、とする周をあずけてか ....
やさしさというのは
残酷に降ってくる
ベッタリ濡れた髪で手で
深い湖につかまれて
捥がくほどに足を取られる
いつか飛びたい羽根までもが
「お外は怖い」
と手折られた
鳥たち ....
あわれなことに
老残の年配ともなると
過去に偏り 拘り 囚われ
追いかけること 以外 能がなくなるんだょ
こころの足腰に粘り ....
抜けた髪を拾い集めて
飲み干せもしないグラスを舐めている
あんなに昔好きだったスツールも
今は
あんなに昔好きだった本の墓場
指先であばらをなぞる
骨がある
皮が包む
あん ....
桜が散るような接吻に こゝろは震えない
世間体に身を剥ぎ 遠浅の路上に
猫でも 食事にありつけたなら
其処を住処にしてしまう
放浪者の臭いが染み付いた
列車の優先席でも かまわない
....
4月25日金曜日 晴れ
最高気温24℃
バスの車内にてブレックファスト
愛と勇気を齧り喰われたアンパンマンの
これからについて妄想する
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