すべてのおすすめ
引き潮に雨音が混ざる
夏の浜辺
探せなくなったあの子の
足跡が消える
砂に残る蛇模様
かすんでゆく水平線
瞳の奥でざざんと縛 ....
 
 
欲望にはかなわずに
まあその辺は
勘弁していただいて
いくつかの
間違いもございましたが
おかげさまで
今こうして
なんにもない、に
なりました
とで ....
ラブとラブのあいだに愛がある
なんだかそんな気がしてね
久しぶりに歩いてみた渋谷の街は
良い意味での乱雑さを失いつつあるようで
道玄坂下から円山町
色褪せたラブホの佇まいは老娼の厚化粧に ....
小さな恒星が
子豚の側で燃え尽きた
最後は寒天状の塊になり
それもキノコのように溶けて
地面に吸い込まれた
そんな様子をぼくは
娘と隠れん坊遊びをしている最中に
まだ仏様の入 ....
その夕刻は
果てなく寂しい金色でした
誰か、
いや、何かに
からめとられたような拙さが
その時ばかりは輝いて
どんなに小さな約束ごとでも
あなたにやさしい髪飾りとなって
わたしは長 ....
俺たちはもうそんなに遠くへは行くことができない
俺たちにはもうそんなに力が残ってはいないし
それにもうじゅうぶん遠くまで来てしまったから
石段を降りた水面の高さから
今度は二段昇った水の上 ....
あの日、あなたは逝ってしまったと
聞いた
ぼくはドーン・グロウの朝焼けを
小さな宝石にして
ポケットにしまった
憎しみは残り続けるかもしれない
しかし、憎しみとはなんと
陳腐 ....
空中分解したことばたちを
だらしない二の腕や腰回りにひっつけて座っている
いつのまにか夏も夏、それがもう
どろどろの睫毛の先にも刺さらずに
興味がない、が一番言いたいことなのは
一体全体
....
夏の終わりが
僕をくすぐるようだった
沸きだした熱が
いつの間にか
きみのかたちになって泣き出すと
僕は立ち止まるばかりだ
ここがどんな道でも
同じ
夕暮れの光は
ふたりを隠 ....
窓ガラスに
幼い指紋がついていた
指紋をめくると
それは昔の日記帳だった
歩道橋で終わっていた
日記の続きを書くために
歩道橋を最後まで渡り
階段を下りた
まだ小学生で
....
埃をかぶったブラインド越しに
夕しずむ風景がちらばって
きらる
あちらは
ひかり、
骨のようにしずかな
風のようにとうめいな
夢のようにふくざ ....
現実のなかのさまざまのもののけ
すべすべした
あるいはごつごつした
ひとの頬のぬくみ
ゴミ山
雨あめ降れ降れもっとふれよと
だいだい色の子どもたちは ....
階段の気配がする海岸通りを
古めかしい山高帽の
大男が歩く
ふいに倉庫の角を曲がると
夏は男を見失ってしまう
+
本の敷地に生えた
時計草の実を半分に切る
....
ゲストで15分枠のところを4分朗読をし
交渉したとおりの交通費をトイレの脇で受け取り
詩は、短ければ短いほどいいと思うのだ
家族の待つ家に帰る気になれず
かといって笑笑で
あの何行目はどうだ ....
まるで
夕立みたいな後悔のあとで
ぼくたちはまた
眠りへ向かう
汗と涙の共通点は
においのあるところで
においの流れ方だけがすこし違う
とても違う
虹がきれいに架かるとき
....
大根の上に
小さな虹がかかっている
きみは虹を切らないように
器用な手つきで
大根を切っていく
飛行機がいつもより
低く飛んでいる音が
屋根の上にある空から
聞こえてく ....
深いところに降りていって
言葉を探そうとした
深いところなんてない
全部浅瀬で
貝だって
みえてるよ
大げさすぎる
網なんていらない
すくえるんだ
手のひらもなくても
言葉なんて
....
おんなを縛りマッサージする
シチュエーションに酔うこともなく
こったからだをほぐしてやる
2時間でも3時間でもそうやってやる
そんな気持ちも次第に乳房にうつり
しこったつぼみに執着しはじめる ....
声
八月の
舌の上で溶けてゆく氷
その所作
吐息
歯
の並びを
ひとつひとつ
読み上げる
その要約の中に
静かに埋もれてしまいたい
針を
正午に合わせた時計が
生物的な誤 ....
夜の匂い
風にのって運ばれてくる秋の気配
近づいてくるものがあるとき
遠ざかるものがあることを
忘れないでいたい
街灯の下に積まれた
夏虫の死骸をよけて歩く
漂う ....
川から流れてくるものは
木の葉や木々の破片たち
うずまいて うずまいて
深い緑に飲まれます
清らかな水に寡黙な石たちは
もうずっとそこで眠るのでした
おじいさん おばあさん
おか ....
{引用=
誰が投げたか
空の底に小石が一つ
果てのない青い花の野に
生まれたばかり白の風紋は旅立つ
それは水溜りに揺れる夏の楽譜
硝子のまぶたに透け ....
みんな孤独に部屋にいた
さびしい目をして
だれかの心の
ひかりは影になって
疑わずに抱きしめていた
疑われずに抱きしめられていた
ふたりともちがう空のした
雨 ....
サクランボの余韻
朝はちぎって立ち上がっていった
急かされたガラスの小鉢は微かな花模様だけを残して
ごとん、
洗い桶の水の底へ消えた
いただきますもごちそうさまも
さよ ....
誰が決めたのかわからないけれど
いつの間にか
どこまでも一列に並べられた
みかんの上を歩くことになっている
一歩踏み出してみる
みかんは潰れ
小さな悲鳴が聞こえる
なるべく潰 ....
窓の外には
石となった旧人類を囲んで遊ぶ子供達が
誰一人として眠りを知らずに
すべての草花は咲いたままで 果てなく咲いたままで
毎日が祝福される たったひとつの俺の世界で
....
カラスアゲハの
遠慮がちな青みかたが
なんともいえず爽快だったから
ぼくは急いで
シャツを脱ぎ捨てた
もしかしたら肩甲骨あたりに
あるんじゃないかと思って
見落としてきた空への切 ....
たましいがつゆだくだ
秋の気配
空の雲のないところが
透明になっ
て
クーラーが前髪にあたっ
て
かなしくて幻になっていた
風が暑ぬるくほどけていた ....
眠たいときのように
井戸を掘りつづける。
ぼくは
素足
の
まま
空腹をかかえて
朝だった。
朝のコップ、
飲んだら
消え
た
いきつぎ、
掌
白桃
ぶどう
し ....
微風が髪を流し
湖面を波立てる
(ほのかな水のにおい)
揺れる草の残像を
午後の残り火が彩る
(影、深まる濃紺)
誰に向けた言葉もなく
夜の静けさを待つ
(しるしに満ちた沈 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64