月の夜、幻の空(未詩・独白)
プル式
湿度にとらわれた熱量が
肌にまとわりついている
エアコンは嫌いだ
あの冷やりとした
微かにカビ臭い風は
地下の駐車場を思い出す
軟らかにしなだれる
段ボールを思い出す
寝苦しさの中
水たまりに沈んでいく
遠く下の方で
鈴虫が鳴いている
リィリィ、リィリィ
もうじき夏が終わる
月明かりを頼りに
蛇口から水を出し
満たされたコップは
三度目に洗われた
振り返れば暗闇の中
子供が小さく呻く
僕はシーツの上にバスタオルを敷く
ピッとエアコンのスイッチを入れる。
自由詩
月の夜、幻の空(未詩・独白)
Copyright
プル式
2011-09-10 23:32:30
縦