剥げ落ちた扉を開くと
空気がなかった

起き上がりまた転ぶ女の子が6人いる
女の子の顔は皆同じで
僕の記憶の中でそれは一つしかない
皮膚がかなしみの袋となって
夕陽とともに砕け去る
勝つべき恋もなく
敗けるべき政争もなく
小さな部屋でひとり
狂った警報をきいている
しろく燃える膚のぬくみに
なぐさめられる
ほどこしようのない夜も
あかつきには埋もれて
身体で濾過をする
そむいたところから
咲いてゆく
花のにおいは
もう
饐えている
 ....
朝を折りたたみ
昼を折りたたみ
犬を折りたたみ
猫を折りたたみ
自宅を折りたたみ
通りを折りたたみ
横断歩道を折りたたみ
バイパスを折りたたみ
街を折りたたみ
都市を折りたたみ
飛 ....
わたしがわたしのことを考えていると
障子がすーっと開いて誰かが入ってくる
いつか夢で会った人のような気がする
上から下まで赤い服を着ているので
目も眩むような思いで
何も言えないでいると消え ....
  かたい骨のなかの
  やわらかい骨にふる
  いっしゅんの雨にうたれて

  街はくずれた
  犬たちはしんだ
  わたしがほろびた
  そうして きみへの優しさが
  只 ....
今朝 クロネコのおにいさんが
水を持ってきてくれた
わたしも持ってみて その重さに眩暈がした
神さまはいのちをくださった けれど
あとは
自分でやりなさいと  死ぬまで
動かない水の上に
架かる小さな橋に
枯葉が一枚一枚
落ちる
たびに
思い
出してしまいそうになる
地図の上に屹立する白い
直線 とか

だけが見えた猫の
鳴き声  とか
煤 ....
  くみたてられた餌は
  夏 ほどけた さむい椅子で
  たくさんの ハープをはじく手
  ほどなく 月いろの 猫になって
  塀をとおり はぐれていった かな?
そして春が来て
今年も川辺の並木に
ホタルイカの花が咲いた
日中は褐色に湿り
夜になると仄かに光った

数日でホタルイカは散ってしまう
川に落ちたものは
海にたどり着き
地面 ....
その坂は四季をつうじてみどりにうねっている。
脇のブロックには苔や羊歯がびっしりとはえていて、上にはつねに葉がそよいでいる。
春夏にはきみどりが目にしみて鳥がさえずり、通る風はすっきり澄みきってい ....
僅かに開いた窓の
隙間から作りかけの
建築物が見えた
物陰で時折
火花が散っている
素早く通過する自動車の
車体に反射した灯
が届く
先で一羽の烏が所在無げに嘴を
上下させている
 ....
誰かはしらないが
そこに座っているものが
瓶をあけ 液を飲み口を拭い
わたしを木の葉のように見つめる

これといって使いみちのない
色とりどりの正しさたち ....
  枯木のまえに坐り
  わたしは次第にあなたになる

  滲む
  たくさんの色たちのように
  あなたも次第にわたしになるのか
  河のかげにうつろう赤茶色の葉

  昼の ....
熊を躍らせると
一つだけ恣意的な物が
茂って来る
柱時計は赤が出て居て
ネジを巻かなければならない
踊り出した熊は
フライデーに仕留められた
恣意的な物は
奥歯だったのかもしれない
 ....
はる地球の回転が速まるせいか
わたしは立ちくらみして
光は速さをなくしたみたいになる
だからかはる 風が軽くなりすぎて
わたしの姿は光をうまく受けれなくなり
わたしの影はどこかへい ....
ポケットにおちてしまった
エイトボールがあったよね
ぼくたちはとても楽しくて
もう一度はじめようとした

 イースター島
(いいスタート)
たまご
🗾のおなかから太平洋ず~っとすすむと ....
  ずっと眼に映っている
  一本の茄子がうつくしい
  煙のなかで尖っている薬缶
  わたしたちを吐き出しつつある
  硬い いくつもの肺
犬も歩けば棒に当たるというけれど
今朝から当たるべき棒が見つからないし
君が大切にしていた犬は
もうとっくにこの世にはいない
手を握り
お互いに年を取ったね、と笑う
話したいことは ....
わたしたち、枯らした植物埋めちゃって、そこを幕府と呼んでいました。

ドアノブを直せると言う同僚に秘密をちらして直してもらう

とわいらい 眠るあなたが重いのはわたしを忘れたあなたの重さ

 ....
なにも書かれていない
紙の上から立ちのぼる
青白い砂漠
その雪原のただなかで
花にも瞼があることを教えてくれた人が
透明なグランドピアノを弾いてくれる
その滑らかな指のうごきで
雪のよう ....
さようなら 言葉よ
いろいろあったけど
楽しかったぜ お前のせいで
いや、おれのせいか
裸でこのせかいに降り立った
お前をお前のままで
いさせるためには
風はあまりにも冷たく
地面はあ ....
  黒いきみの髪がひかって
  何も云えなくなるのは良い
  全部云ってしまっても良い
  くちびるがはずむ桃いろの夢

  剥いたばかりの林檎のように
  とても素敵な匂いのする ....
おれの詩は 親離れがはやい
大事にしていたつもりだが
ここぞ、という夜
彼は 彼女は もういない
残された
余白だらけの置き手紙
不良だ。
つけた名前が
気に食わなかったのか
 ....
たましいの背中に
ひとつ
ふたつ
しみがある

ちきゅうが
完全なる球体では
ないように
たいように
黒点が
あるように
つきに
海が
あるように
くるまの
ハンドルには ....
 私は中学を出て、友人の家を転々としながら生きていた。時たま家に帰ったけれど、親は何も言わない。マンションの台所のテーブルやそこらには、たっぷりの食事やおやつが大量に何日もそのまま置かれ、腐って匂いを .... 8月が始まる頃の欲望は
冷めた満月みたいに膨らんでる
飲み込もうとしたって
変に甘くって
吐き気がして痩せちまいそうだよ

ギターの弦を巻き直そうとしてるんだ
なにもかもがでたらめに ....
  よごれた犬が
  私たちをみているのは寂しい
  傷ついた脚を引き摺るようにして

  暗く 穏やかな穴にひそむ
  獣のかたちをした闇におびえる
  あなたの瞳に濁るあどけな ....
その眼で、その眼で歪な
赤い円を描くのです

咲かなくていい、咲かなくていい

ベランダのプランターに言い聞かせ

私は伝記工場へ向かいます
5バイトほどの容量です
けれど

 ....
番いのもぐらたちが
ずっと永い冬を越えていく
温かい大地のなかでは
深い秋の湖岸に生える葦の匂いより
次ぐらいに心地よくて

ずっともぐって行くと
遠くまで吠えていた
動物たちやらの魂 ....
はるなさんのおすすめリスト(1988)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
かわいた朝に- 佐藤伊織自由詩117-8-19
夏の夕べ- 葉leaf自由詩217-8-2
みずうみ- むぎのよ ...自由詩517-7-29
折り紙- やまうち ...自由詩10*17-7-18
赤い服- 春日線香自由詩217-7-16
滅び- 草野春心自由詩217-7-15
生きる- もっぷ自由詩317-7-9
少し冷えた左手を白い月に翳すと- noman自由詩317-6-11
えさ- 草野春心自由詩117-5-13
そして春が来て- たもつ自由詩1017-4-14
へび坂- 田中修子散文(批評 ...8*17-4-11
区分された領域の先で- noman自由詩317-4-2
正しさたち- 草野春心自由詩217-4-1
滲む- 草野春心自由詩517-3-12
熊と柱時計と奥歯- 間村長自由詩15*17-3-1
はるに- DFW 自由詩17*17-2-28
八番目の地球- さわ田マ ...自由詩12*17-2-28
- 草野春心自由詩317-2-25
初雪- たもつ自由詩917-1-30
それからは賢くしずかに暮らした- 初谷むい短歌217-1-20
氷結- 本田憲嵩自由詩1317-1-15
さようなら言葉よ- もり自由詩8*17-1-10
林檎- 草野春心自由詩517-1-8
余白だらけの置き手紙- もり自由詩4*16-12-28
しみ- 次代作吾自由詩516-12-27
うみのほね- 田中修子散文(批評 ...7*16-12-26
ピリー、僕にその紙束を一つよこせ。こどもが花をちぎるような仕 ...- 竜門勇気自由詩5*16-12-16
桜並木- 草野春心自由詩416-12-13
来世- 由比良 ...自由詩416-12-12
もぐらたち- りゅうの ...自由詩8*16-12-11

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