小学生の頃、同じクラスで少しだけ目立っていたKは、中学生になってからはどうしていたのかは、よく、僕は知らなかった。彼は中学に入ると別のクラスだったからだが、でも、彼は小学生の頃は地元のサッカークラブに ....
詩が書きたいのに書けないという病に陥ることがある。しかし、締め切りがあるわけでもなく、誰も私の詩を待っていてくれる者など居ないし、金銭的価値もないだろう。
私にとって詩とは何だったのか、と考える ....
なでられ なめられ
めでられ めくられて
いるときに また
硬く 近く 拒むのだった
キッチンで
蛇口で
ぼくじしんのようなあらわれと
いっぽんの ....
ねこが
しみこんでいる路地
空がきれいだ
電線が微かにたわんで
ビルのむこうまでみえる
わたしたちが死んでいくのがみえる
捜すこと
幻視すること
かんがえることが
小虫の群れになり壁を走る
たんに叫びだった声に甦れよ、
すべてのおちぶれた動詞たちよ
特にこれといって上手く続けられる仕事もなく、思い出したように働いては数日後には辞めている俺たちにとって、のんびりとしけこめるモーテルなんかあるわけもなく、だから俺たちはいつでもなんとかガソリン代だけを ....
素数をたべる男は
きのう 遺体になった
電球がつるつるとともり
部屋は 笑えるまるみを孕んだ
聖なるものは うたわれながら
おおきな 蛇の 腹のなかだ ....
言葉を尽くしていたい、死力を尽くしていたい、とても簡単なラップ調の聞きざわりのいいフレーズだ、ばかみたいだね、産湯にひたるような薄い感傷、何かにいつもいら立っている、どうやったって黎明、並べただけ ....
おちている光を
うさぎだと思った
そうきみに言った
商店街の 黴だらけの夜
ぼくたちはネズミだった
もうぼくをすきじゃないと
うちあける瞳を ぬ ....
一
写真におさまる声はないのに
いつまでも聴こえてくる
花がひらく唄
雲がきえる叫び
沖にとどろく神なり
それから、あなたの唇のネガ
どれもいまは違うものになって
どこ ....
高くて、広くて、硬くて
人工美にかこまれ
あなたがつかむもの
さめない夢
甘くて、柔くて、叫ばない
つるされた肉片
あなたがかむもの
人工の夜
空へと指をひろげる
人もまたひ ....
昔から虚しかったし今もなお虚しいけれどいい音で鳴る
プラスチックしか食えない人種が、
集うレストランでは、
毎晩、大量のガンプラが、
食卓に並ぶ。
ラブホテル・テロリストのせいで、
木っ端微塵になった寝室。
そこで寝ていた娼婦は、
キ ....
硝子窓のうちそとに
冬が満ちてゆくとき
光の言葉と影の言葉が
中空であえかにもつれあう
ちいさな、迷いの、
みえない、
硬い、戸惑いのプラスチックを、
決断の、とがらせた指さきで、
突きやぶって、
それから、送信の、まるで火災報知機のボタンを、
ほんとうに、
押してしまった ....
傷ついた子供の頃を庭に埋め
その寒さ、苦しみを庇うのに
人を哀れんでは人を責め
人を憎んでは虚仮にして
生身の己れの無視をした
ごまかしてきたこの血管に
もはや血が通わないことに
気 ....
白い波頭が押し寄せ
次から次に押し寄せ
崩れ去ってゆく
跡形もなく
私たちは 私たちは
何処から来て何処へ去るのだろう?
白い波頭が押し寄せ
次から次に押し寄せ
....
一人の女が私に見られている。女はじっと立っていて、私はそれをじっと見ている。
髪の毛が生えていて、それは男とするならば普通だけれども、女なら短い、ショートカット。顔を知ることができない。私は女の ....
生活と無限は相容れがたくして空を遮るためにある屋根
ええーー!
それほんとマジですか。ほんとにほんとにマジなんですか。真実なんですか。絶対ですか。絶対に本当なんですか。
今、それは絶対のマジですって誓えますか。全世界に向けてSNS(ソーシャルネ ....
君があまりにも傾いた樹木として
僕に近づいて来たように視えたものだから
君の大きな瞳の奥の
二三の星の連れ子を伴った
密かに見え隠れする
もう一つの月の貌を受けいれる
現実という測り知れな ....
空が青いこと
水が冷たいこと
人が笑っていること
急に寒かったり
季節が隣で
急いでしまうこと
優しさの前で
戸惑う誰かの
ボタンが光ること
細かいもの全てが
クリスマスに
飾れ ....
わたしは壁のなかに育った
壁の外に
出たことも見たことも聞いたこともなかったが
外があることを知っていた
夏、庇の下に燕がやってくる
燕は夏に来て冬に去る
燕が冬を過ごす地がどこかにあ ....
青空が言っている
死はここにあると
公園のベンチから立ち上がって
探しまわる
散歩のひと
ランニングのひと
子を連れたひと
また
ひとばかりさがしている
誰にも会いたくないの ....
僕は土の中なので
蟹は食べない
冷たい濡れた内側で
蟹は食べない
蟹は食べない
のたうつ雨の日も
ひび割れる晴れの日も
泥の壺の中でぬめっていた
ひどい気分になるときもあるけど ....
君の翅を食べた
君がそうすることを望んだから
君の翅はよくできたお菓子のように
心地よい甘さで
もろくあわく溶けていった
最後に君の背に残る
翅のついていた痕をそっとなぞると
それも夢の ....
生栗の皮むきというのをやってみたくて、お勤め品のを買ってきた。
実家では、「危ないから」とさせてもらえなかったので、どきどきする。
水で3時間ふやかし、まな板の上でざらざらした尻をちょいと落 ....
ふるさとみたいな
おなかのつめたい石に
雨が降る
チャコールグレーの傘をさした
すぎやまくんに
水溶性の雨が降る
溶けていくね
好きだったのに
ほんとうは存在していない ....
女のお尻は男よりも丸い
僕に耐えられぬ、痛みをも知るひとよ
あのなかにはもしや
青い小さな惑星が回っているやもしれぬ
カサカサの身體で砂丘を步く
喉が渇くんじゃない
慾しているものは別のもの
オレが死んだとしよう、例えば
あ
眠りに似た
骨か
いいじゃん
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67