くもひとつない、
困り果てた青空のした、
それでも、毟ろうとする、
土ようびの、
しごと、
土鳩のように、首をかたむけて、
いやでも土と向きあう、
ことになるから、
それは、
ホント ....
改札を抜けて、特急へ、準急へ
各駅へ
すみやかにゆきわたる
(還る)
のびていくかげぼうしの
澄んだ鼓膜をとおり
(低いファの音がぼーん、と)
ぬぐってもぬぐっても
幾度も響く ....
それは凄くて 彼の胸は貝がらだ
完璧な夏に 投棄された貝がらだ
涸れないことをほめるのは
ただ軽蔑するのと一緒だ
彼は{ルビ薬匙=やくさじ}を咥えさせて
蛇も寝なさそうな夢を明か ....
月がきれいな夜
ゴンドラに乗って
ドラッグストアに
買い物に出かける
カビ取り剤が
20パーセント引きのクーポンで買える
「カビ取り剤を買いに来ました」
「カビ取り剤をください」
....
靴の波形が
朝に眠っている
せっかく書いた
花粉の名がついた遺書を
私たちは窓に落としてしまった
加工場から続くダクトの
先を曲がると
梅雨が始まる
身体が雨のようになる
そ ....
(1)
僕が中原中也を好きなのは何故か、言葉には出来ないけれど、敢えて言えば、中也の詩には現実感と非現実感の間での揺れがあって、非現実感から現実感を取り戻そうとする希求を感じて、それはもちろん僕が ....
タピオカにはミサイルがある
かぎられたみなしごたちのまえには
泥水がはいったペットボトルが幾本もあって
それを飲み干さないとみなしごたちは
前へはいけなかった
みなしごたちはみんな嘘 ....
あらかたの全てを飲み込んで
吐き出す時にはもう
溶けだしてしまわないように
飲み込んでいる
六等星
環境が先か? 進化が先か?
もちろん、進化が先だ
陸に打ち上げられてしまった後で
魚が肺を身につけられるだろうか?
環境を変えれば進化できるなどとは寝言だ
進化しなければ環境を変えられないの ....
寿命は限られていて貴重なものだが、別に今は必要じゃないなというときにセーブできる機能があれば便利だと思う。心身の調子がよくないときは治るまで命をとっておいて、治ってからまた寿命を使って何かするというよ ....
外枠がある程度の強度で確定したから、あとは色とりどりのボールを詰めた。ここそこに刻む、文字のことだ。二進数的な歩幅で累乗に積み重なったそれは、借景となって僕らの街を覆っている。
僕らは言 ....
私は、未だにヒステリックグラマーをかっこいいと思ってしまう自分が悲しいです。もう誰も覚えていない過ぎたものに固執し、当時の自分の価値観は間違っていなかったと思い込みたいがためにヒスグラを美の基準のひと ....
犬といる午後
肉がざわめく
灰いろのひろがり
この部屋で
許しがあったことはなく
交わす偽り
弾ける肉声
どこからが贖いなのか
どちらが生なのか
知る迷いはな ....
不定期にお紅茶が実家から送られてくる。それは、「お紅茶」と呼びたくなるシロモノなのだ。50パック250円の紅茶ではなくて、ティーバッグだけどフレーバー的なラストノート的な芳醇な香りのする、綺麗な紙に1 ....
―野原でまぼろしが燃えていましたね。
―ええ燃えていましたね。
―あのあおじろい火から
燃える蛍のランプはいくつ作れるのでしょうね。
―ええいったいいくつ作れるのでしょう ....
生きることは
暗闇ではなく
死でもなく
静止することでもなく
静寂でもなく
命のざわめきを感じること
動くこと
歩くこと
時間のなかを流れるこ ....
妻は
面白い犬のアニメを見ながら
うれしそうに笑っている
その姿を見て
どうしようもない私は
こんなに 健康な ひとは
みたことがない と
ため息交じりに
ニコっと 笑 ....
きょうのわたしはしにました
あしたのわたしもしぬでしょう
でもまたうまれてきてしまうでしょう
そのようにし いきてきた
きょうの あさだ
わたしは よく ねむった ようだ
ふだんより すこし ながく ねむれたようだ
わたしは そのことに みょうに おびえていた
なぜか わからない
....
10月15日(土)、
少し遠くの図書館に行って、小説を借りてきた。陽だまりは懐かしく澄んでいた。小説からは、少しレモンの匂いがした。
(小雨の朝とは違う昼の光や、少し遠くに来たという身体の浮遊感 ....
時の狼についに追いつかれたようなので
私はおとなしく、魂を差し出しました
でもそんなものには目もくれず
彼はただ私の両手を奪っていったのです
そうして、残された足で
私はまた時の狼からの ....
心細くなっていくのは
日が暮れるからだ
寒いからだ
暗いからだ
人生と重ね秋
子も生まれ
君のお家は
上る春
ライジング・サン
じゃないか
春売って
酒浴びてなお
恋に ....
余命半年の神様が背中に憑いている
あなたは上等な木の椅子を買ってきて
部屋の窓辺に置く
神様は名残惜しげにあなたの背を降りて
椅子に座り深くお辞儀する
昼間はいつも窓の外を見ていた
夜 ....
あの空の下からあの空の向こうまで、なだらかにせりあがりなだらかにくぼみながらどこまでも続くみどりの丘、その丘を白くつぶつぶと覆いつくすほどのあの羊たちがいっぺんに、シーツをめくりあげるように消えて ....
あらい浪が
きみの肌のどこかで
弔われている 私たちは
擁きあえる 芒の原にこぼれる
月影に這わせた 指のふしの奥で
バイエルの教本の新しいまま
ピアノを辞めてしまった日の夜か
右手、指番号の1番2番にて
恐る恐る、亀頭の皮を剥いたのは
掠れた日差しに 傘をすぼめて
貴女の唇にすわりたい
悲しく 梅の花が路を塗る
あさの雨の うその雨の
やがて間遠な 瞼
窓際にいて
日差しが区切れていく
とどめられた 文章
なにか 約束のようなものを
忘れるときのにおいが この世界
お前には根性がないねん!
って言うおっちゃんがおってな
そんな冗談流行らんで
って俺は言うた
でもな
根性みたいなもんが
ほんまにあったらええな
と素直に思ってみたりもした
着 ....
小学生の頃、同じクラスで少しだけ目立っていたKは、中学生になってからはどうしていたのかは、よく、僕は知らなかった。彼は中学に入ると別のクラスだったからだが、でも、彼は小学生の頃は地元のサッカークラブに ....
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