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新しい住居には新しい生活の角度と密度がある。そして空気の中で鳴る音がすべて新しい。新しい住居に越してくるとき、引っ越しをほぼ一手に引き受けた私は疲労から風邪を引いた。風邪は水のように満遍なく妻をも満た ....
君は正座をしながら
アイロンをかけている
脂っこいものや甘いものを
食べ過ぎてはだめ
そうやってしわを伸ばしていく
部屋を出るときは
必ず鍵をかけてね
そうやって生地を裏返す
平積みに ....
感受性というものは人それぞれだが、特定のジャンルのものに特に鋭敏な感受性を持つようになる経験は誰にでもあると思う。例えば音楽に目覚める、美術に目覚める、将棋に目覚める、様々な種類の開眼がある。その中 ....
皮膚がかなしみの袋となって
夕陽とともに砕け去る
勝つべき恋もなく
敗けるべき政争もなく
小さな部屋でひとり
狂った警報をきいている
平穏の訪れを告げる
朝の鳥の声が鋭い
町は信頼により配置され
道路は情義によって接続され
酒はすべての裂け目を流れ
裂け目をきれいに架橋した
笑いはすべてのとげを包む
....
誰もいない駅のホームで
私もベンチに座りながらいなくなった
目の前を横切る自動車たちも
時間の速力に負けてきれいに消滅していった
陽射しが背中から射し
線路越しに落ちる駅のホーム ....
起きた時喪失を感じる。夢を遡り昨日を遡り、どんどん過去へと逃げていく私の心の半分。私は朝起きるたび心が半分になる。そして、過去へと遡って行った心は決して帰ってこず、その代わり消え去った思い ....
僕には心がないのです、この充実ですか、これは何か砂糖菓子のような余分なものでしかないのです、ただ甘いだけでそこで閉じてしまいます、あなたはそんなに死にたいのですか、死にたいと言いたくて、死にたいと口に ....