「玄関口の先で大きなムカデが踏み潰されて死んでいた 。醜いのですぐに埋めてやった。
」鉢を動かしたら出てきたので踏みつけて殺してやったのだと
母が言っていた。
久しぶりのお天気に布団 ....
先生、バナナはおやつに入りますか
バナナはおやつに入れますか
入ってもいいですか
構いませんか、そう思っても
皮はついていていいですか
それとも皮はむきますか
皮はむけますか
....
風が流れている
夏の兆し
木漏れ日が揺れる
樹が鳴る
遠くから聞こえる
ざわめきに
ふと手をとめて
窓の外の世界に
目をやると
光と襞と陰りに満ちた
五月の地球だ
温かい空気に
....
手荷物で運ばれなかった身体が
ひょろり空港におり立った
無言でおじぎを交わしたのだが
たぶんお互い
うぶなんじゃないか
汗ばんだ呼吸が
肌を濡らしあう
寡黙は夜のようにかきまわし
....
窓の縦線だけが
くっきりと濃く
あわあわと振れる宙
影の格子の濃さを嗅ぐ
遠くて近い
雑踏のざわめきは
緊迫する耳の内圧につれ
次第に弛緩し浮遊する
易しい無理を
口 ....
ああ、愛することは
とても難しいな
つまらないことで
笑うのも泣くのも
馬鹿には出来ないな
ねえ、僕はうまく
僕をやれているかな
つま ....
鏡の裏から七色の道化師がひょっこりと顔を出してこう言う、
この中に入ってみないかいとおおざっぱに誘われた、
箱の中に入ってはいかがかな?
箱の向こう側からは七色の幻がうねりながらこちらを傍観して ....
{引用=
おともなく
とりがおちている
水色の
ふちの欠けたバケツに
吸殻を捨てる
おわった花火が
ひたされている
夏は、ここで
行き止まりだった
....
{引用=
ふと、
ながいあいだわすれていた
記憶をすっかりと
おもいだしてしまうと
てのひらに
しっとりと汗を
かいていた
かみさま、
午後にはわたし詩をかきました
}
....
いつまでたっても上手く開けられなかった菓子包みをあなたは、つるりときれいに解いていたね。そうして僕は、クッキーを手に入れたりした。あなたは模様の付いた包装紙を四角くたたむと、冷蔵庫のとなりに差し込ん ....
ぐんぐん ぐんぐん上昇していって
ふわん
平行になる
それが夜です
空はくろなのに
ところどころオレンジ
それが夜です
両手を静かに大きくひろげた
女神がいるよな
それが夜で ....
始まりのながしそうめんひとすじの流れを開いた歌を覚えてる
水面へとそして空へと浮かび出たばかりのように濡れた満月
ぽっかりと伐りひらかれた森の中ヤブラン静かに工事を待ってる
なつか ....
影のない陽光を
乱反射させている
柳のような
黒い葉の茂る
背の高い木が
見えている
窓を開けても
風は感じないが
それら木の葉は
ジリジリと
動いて見える
大きなカラス ....
世界中で170万人が死んで行く日々に寝たり起きたり仕事したりする
170万人が死んでいるから生きているのかとかそういう自覚は無く
かと言って140人ずつ増えて行く人間を育てる気も無いまま
眠たい ....
僕らは毎日、夕方に海の絵をかいて、すごしたりするけど、海の見えない町に
住んでいたりするから
このままの僕らで、かき続けたら、いつか、この海だって、線だけになってしまうとは思わないか?
くろがね ....
蛍光灯のタイムラグ
青白い光の中で
斜めになった椅子の
神経質な輪郭に
目を瞑る
「もう、電車に乗れない。かもしれない。」
「どうしよう」
吊皮
を、
握って、下見たら、青色の液体で埋まってたんだ。
ブルーシートみたく青色で
ブルーシートよりずっとなめらかで ....
わだつみの海に去りにし人々よ生まれ変われよ花ふる里に
牛込神楽の夜に帰りたいと思いました
新宿西口から練馬に向かうバスの中でそう思いました
氷屋がアイシーンと言う煙草を吸っていると言う
笑えない冗談を目の当たりにする下らない日常が
右斜線を通 ....
「水にならなければいけない、氷になるため、黒い液体の注がれた水槽に、地球は浮かんでいて、回転すると、ぬれた部分が夜になるから、ここで、産んでもいないのに死んでいて、生まれてもいないのに殺されていて、わ ....
ビルの上を飛ぶ、鳥は自由なのか?
狭い街で食料を漁って、何かめぼしいものを見つけないと生きていけない。
人間の私は餓死が嫌だった。
ものを食べれずにひとりで死ぬことが恐ろしい。
....
そのひとが
最後のひとで
ないことを
きみはそろそろ
認めるべき
おまえだれだよ。
おれだよ。
おまえか。
おれだ。
みえないよ。
みえてるよ。
みえません。
みえてます。
おまえか。
おれだ。
かみきった。
きってない。
やせた。
ふとっ ....
その日の記録。
宮城県沿岸部某市内,内陸部にある職場にいた。
ちょうど子供らは午前中で解散。仕事区切りをねぎらう昼食会の担当になっていたので,予約してあった菓子と飲み物を店に受け取りに行っ ....
積もり積もって壁に
わだちが残されている。
破裂したタイヤは
ツナギを着た若い作業員が運んで行った。
躊躇いがちに灰が落とされる。
それと一緒に砂埃を含んだ風が
ショウウィンドウについた手 ....
しろい紙のうえで、
こごえている、
星や、銀河はここからはみえず、
きのう脱捨てた靴下のように、
夜がくたびれている、
朽ちた花さえ
髪に挿し
わたしは明日も
笑いたい
あんなのはいんちきなんです
ということわりがきを
いちにちじゅっかいかくと
やはりいんちきだから
しんだらよかった
過大評価されているたべものは
ドリアン
やってることがいん ....
ひとから相談をされたりすることはめったにないぼくですが、さっき後輩からこんな電話がかかってきた 。
「あ、ぼくですー。こんにちは。ぼくきのう推薦で大学きまったんですよー。
あ、はい。あ ....
全てが壊れてゆく
全てが崩壊する。
人の為に
家族の為に
苦しみを押し通し
ただ進むだけ
新しいものと引き換えに
古いものが壊れてゆく
雑多な考えが脳裏によぎる
考えが分散し ....
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