深夜、小さな
発車ベルが鳴って
ジェット・コースターは
動き出す
大きな音をたてずに
ゆっくりと
星と星の間を落下する
乗っている人を
起こさないように
幸せな夢を
壊 ....
世界にはたくさんの場所があり
たくさんの営みがおこなわれている
その日、僕が
することを選んだのは
床屋に行き
髪を切ってもらうこと
ひどく ....
見えるものさわれるものしか信じない
なんて事を君はいうけれど
そんなものはないだろうね
少なくとも今の君には
さびれた屋上の遊園地では
もう二度と動かないパンダの乗り物が
片隅に追いやられていた
大きな看板が目の前に見える
さっきまで雨が降っていた
空がどんどん黒くなっていく
インクを塗り ....
カウンターの木目の数をかぞえて
自分の歳をかぞえ忘れたお馬鹿な阿呆鳥は今日だってきっと
酔いつぶれてしまうのさ
君の秘密のぬくもりを思い出しながらね
官能の風は背筋をつたい
神経を縦断し ....
すいへいの
ばらんすで
らくえんを
しっていた
きぎにふれ
いのちをみ
つちをかき
しごとみつ
ようようと
うみあふれ
おうこらも
....
ぼくはずっと、
ぼくという人間が、夢見たことや、
苦しみが報われたり、
いつか救われたいと願うことが、
すべて、
恋愛によって明らかになるものだと、
信じてきたようなところがある。
....
押入れに入れられて
もうずいぶん長くなる
ときどき遊びに来るねずみに
爪をかじらせてやったり
みかんを潰したりしているうちに
骨の浮いた老婆になってしまった
これではいけないと思う
これ ....
僕の中に小さな女の子がいる
無垢な目に鋭さを湛え
頭には白い花のかんむり
僕の中に女の子がいる
僕は彼女に恋をしている
それは君じゃない
君 ....
奥に進めばいいと
席を立ったのはいいが
どこまで行けばいいのか
聞くのを忘れた
暗い明かりの下
行き交う人は
あなたの目的は全部
端から端まで知っているんだ
とでもいうように
意味あ ....
いとしい夜に
枕がふたつ
いい歳をして
ひつじを数える
悩みはつきず
喧嘩はたえない
僕たちの日々に夜が
静かなのはいい
....
散らばった削り屑をかき集めて呻いた。ほのかな樹木の香りがした。あたしは一個の彫刻になっていた、ことばのかたちにからだを削り上げたのだ。記号の救命艇。戦艦は撃たれて沈み、ことばに乗らない彫刻未満がうよ ....
{引用=――Morrisseyに}
音楽の
無遠慮な激情のあと
きみの足もとで
タンバリンが死んでいる
夏に実った果実は
その夏が暑ければ暑いほど
甘く、またみずみずしい
だからたくさんの輝く甲虫たちは
夏の果実に鉤爪を食い込ませて取り付く
夏の果実がとりわけ腐りやすいのはそういったわけで ....
きみがもし
しにたくなったら
ぼくがいっしょに
しんであげる
けれどもし
しにたくなかったら
ぼくがひとりで
しんであげる
そういって
ゆうひはうみに
....
そんなに簡単に
悲しむなんて
駄目だよ
ぼくが許さない
レモネードがはじける
モリッシーが嗤う
あまりに
ぶきような
きょうの日 ....
血管まみれのアパートに愛は血はあるのかい
囁けば、
コンクリが軋む
.
今日は蝉の死骸を三個みっけた
昨日は四個
おとついはニ個
夏が終わるよ、
蝉がなく
羽をむ ....
乾いた笑い声
抜けたままのプラグ
真っ昼間、踏切の側で
女は胸に手を当てている
子供達が足跡を消して走っていく
夕暮れ、街灯の側で
老婆は胸に手を当てている
黙っているけどみんな ....
真昼の太陽が照りつける小さな公園で炭酸がすっかり抜けてあまいだけになったぬるいコーラを地雷処理班の様な真剣な表情で飲みほしたきみはぼくの伸びすぎた不精髭に眉をしかめて公衆トイレに走って行った、きみ ....
あさこは
朝男の
肩にだかれて
しあわせ
という色を
はじめて知った
あさおは
朝子の
肩をだいて
愛
という色を
はじめて知った
ひゅぅ ひゅぅ
ひゅぅ ひゅぅ
....
(嘘つき)
と
だれかに言われ
ぼくは
眼を醒ました
八月の
朝、はやく
遠くから
なにか
まぶしいものの流れが
こ ....
山陰線沿いの小さな町で
夏祭りの夜
フクロウが飛んだ
神話とは何の脈絡も無く
舞台では
痩せた若者が舞った
(高速バスのキップ代が
案外と高かったから)
トントンと踏み鳴らす細い脚
....
おとといきのう俺はちょっとキレていた感がある。
そして次回の診察日は八月三十一日水曜日なのに昨日の八月二十二日月曜日に病院に行ってきた。美術教室は普通に朝からあったのだけれど行きたくても行けなかった ....
これだけ言われてもまだ
俺の純情はぶらさがっている
離れようとした
助けを求めようとした
助けようとした
気をひこうとした
これだけ言われているのに
こんなぼ ....
柱の向こうに白いのが居た。見直すと居なくなっていた。
幽霊ではなく幻覚だと思う。そこに突っ立ってる扇風機の白、それがなにかの拍子で柱の向こう側へ移動しただけ。わたしの視界のすみではいつも ....
{引用=裸足に合う着衣というのは、実質的に無い。
問題は、裸足が映える脚であるかなのだ。
例えば綿のワンピースなどは、着ている女が16歳のヴァネッサ・
パラディーとその脚ならば、という条件限定が ....
世の人は自分も含め生まれつきマゾヒストかと哲学しては
かつお節みたく体を削りたくなる日に見つめ、エゴン・シーレの。
いなくなれ、いなくなれよと繰り返し、午前三時の新聞ことり。
手首か ....
麦わらを被りて座る母の背に今日は夏日であったとおもう。
敗戦と聞き自害した青年の血のなき跡に自転車とめて
よろめいて叫ぶ彼らの声などが含まれたる潮戦後にならず
日本戦没学生の手記など ....
わたくしは わたくし以上ではなく
わたくし 以下でもありません
わたくしは わたくし そのものです
本当の わたくし とは 幻影です
いつでも どこでも わたくしは
わたくし そのものな ....
き君みを立てるるく首ららられる鴨居には川わをんんん
(世(ゐ)界は下僕と君で閉じて囲る)3.141592...
芍薬を芍る薬のあるものと祟れぬ根のぬ己の身くだ(再)
口縄は口に出すと ....
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