遠くで、野が降る
雨が乾く
どしゃぶりの下を
添えられた濁流の淵
どこまでも草かげをゆくよ
星は平たい風景
1
夜に錠をかける
炭酸水に精液を混ぜる
クレジットカードに鋏をいれる
2
美術室
置きざりのままの
パレットに絞った絵具のこ ....
頭の中に
一匹の犬が眠っている
擦れてしまって読みとれない
古い名札のついた小屋で
静脈のほそい暗がりを
血液がそっと滑ってゆく
夜、
....
上機嫌な風で
庭木は味わっている
舞踊のたのしさを
光の誘惑で
トカゲは試みている
逍遥のうれしさを
「時」の流転で
おまえは味わっている
....
痩せた熊が
水底に沈んでゆく
両の眼を開けたまま
だだっぴろい冬は
晴れた日の砂漠のようにきらめき
しろい女は
しろい男の唇に
海より ....
空気のにおいが変わり
熱と衣は円に舞う
夢を盗む夢を見たあと
共犯者を思い出せない
葉と花の足跡
街を分け つづく
はじまりを知らず ただ
はじまりから来たことだけを ....
あなたは見えない涙を流して泣く。未来がないのだ、と。すべてのドアは閉じられてしまった。窓を開けても、きっと見えるのは、ここよりももっと暗いところだ。音楽は盗まれてしまった。私はもう何も感じない。何も感 ....
思想がない
煙草を吸うことも
通りを歩くと
そこが表の道だったか
裏通りだったか
もうまっくらで
風の音ももちろん
タイヤを削る
だけで
空中を
あるいていたら
仏様にあ ....
両親を持たない
孤児はさ迷って
乳が欲しいと雌の裾を掴む
だのに女は乳房を持たない
大聖堂の聖母も大通りの花売りも路地裏の娼婦も
まるで育むことを拒むように
首元までボタンを閉めて
....
今朝君は
泣いてないって
しょうがない
涙にぬれた
別れを告げた
小さな鍵のうえに
丈夫な檻をかぶせる
はかり知ることのできない
うしろ暗いかなしみの末
その幼さだけが頼みの
あなたの白い歯が
深い夕闇にとっぷりと ....
生臭い夜に
九本の足が生えている
洗いたてのシーツに置かれた
ただひとつの丸い石
きみの汗がそのうえを伝い
鼠がねぐらに帰るように
闇の奥へ ....
肌のきらめきだけで
月が出ているとわかる夜
きみの胎が優しく
蒼い氷をはらんでふくらむ
白いシーツのうえで
ふたつの影がみっつになり
....
このせかいをみつめて
だまって泣いている
それだけが
神さまのできること
このせかいをつくった
小さな神さまの
炒飯がびちゃびちゃだった叫びたい
憑依中(男の子ってきもちいね)
セックスのあとで
めずらしく君が眠っている
男は眠るものだろうか
君は起きていることが多いようにおもう
日常には官能がおちている
おち窪んでいる
せいかいに近づくには
どこかまち ....
十一月のなかは
雪のよに降り積もる人だった
手を繋いで、繋いで、
それでもさしだした
朝や、夜を
ずっと奥へ
奥へとならべていく
ちぎれはじめた日陰を
乾いた猫のにおいと ....
なぜ君の 泣きそうな顔 が好きかな
冷めたコーヒーは苦い水であるからして不味いのは当たり前のことである。かといって大雨で増水したドブ川の匂いがするとなったら話は別だ。好奇心から、私は中に人差し指を沈めてぐるりとかき混ぜてみた。すると ....
金色の水がつたうと
かたく四角いその壁は
栗鼠のようにまるくなる
ひとびとの話す声が
物陰にひしと隠れる秋
きみの舌は木枯らしをつかみ
それからねむ ....
つらい暗い夕暮れ
ひとりを噛みしめる時間
あとにしたカフェで飲んだ
クランベリーソーダを思い返している
霧雨のなか
あえてテラス席で
はじめたばかりのタバコ
慣れない手つきをごまかし ....
返信! しづらい!
お前からのメールの前で俺は立ち往生する
返信! しなきゃいけないのに
返信! してお前を助けなきゃいけないのに
俺はメールが打てない お前を助ける有効な対策が打てない
お ....
バスタブに水を張って
女の手のひらを投げこむ
まだ、
切り落とされたばかりの
まるい骨ののぞく
その切りくちにも似た
鮮やかな真夜中
....
すばらしい
愛を見つけた
このため僕は
幸福だ
春も来た
桜の季節
このため僕は
幸福だ
愛のこと
を歌っている
このため僕は
幸福だ
夢のよう
に感じている
....
幼い男児が
朝、
一匹の蜥蜴を手に捕らえる
厚い辞書に差し込んだ
すみれ色の栞のような朝
モナリザの骨の髄かな添水鳴る
キヨの彼女は料理が大好き。料理の隠し味は大きな愛よ、なんて言っちゃうもんだからキ
ヨはいっつもヤキモチ妬いちゃう。だからキヨは「そんなに料理のことが好きなんだったら
その刃こぼれした包丁に訊いて ....
ぼくがいなくなれば
あなたは四人になれるという
でもそれじゃあ
淋しくてやりきれないから
ぼくを過ぎたら
あなたは四人になれると
そう言ってはくれないか
....
ある時、しくみちゃんのセーラー服のリボンがなくなった。赤くて、カワイイ、テラテラのリボン。しくみちゃんは目を丸くして、「わたしのリボンがありません」と学校中をぐるぐるしはじめた。あんまりしくみちゃん ....
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