つまづいた
冬のバケツの
かたちをしたわたしたち
は、先のとがった言葉がいくつも
しろい雪にうまっているのをみたんだ
わかりあうことの嘘をしっているから
血 ....
ライオンはついに浮気がばれたらしいね
バッファローは闘牛士の夢を捨てて
先月の見合い相手とついに身を固めるそうだ
キリンは未だに国の補償をあてにしていて
役人が来たときすぐに取り出せるように
....
ずっと、
戸は開いていたが
入ってくる者はない
おまえの魂が、刻一刻と
アケビの形に変わっていくのが
ここから見えているだけだ
夜以外の時間を少しでも
....
半刻ほど前から
組んでいた指をほどいて
あなたが落とす銀箔に似た笑み
ガソリンじみた水溜まりにひとつ、
爛れたショパンがしゅんと跳ねた
科せられた罰もないので
皿の芋をとって齧る
女より甘い肉のないことを知りつつ
透明な箱の戸をあけしまいこんだ一輪のすみれ
壁をうつ夕立ちのつめたさだけで
すぐ ....
日もくれているのに
女の子たちが鬼と遊んでいる
鬼はわらっているようにみえるが
ほんとうはぜんぜん笑ってはいない
むらさきいろの心がわけもなく歯ぎしりをする
....
敷布に押しこまれた
あなたのからだは私が
思ったよりはるかに固かった
きたない床をつま先でやりすごす
垢のういた日々が私たちの居場所だから
言葉のなかにかくさ ....
ボンネットに
縞模様の葉と夕日がはずむ
萌えゆく色のストッキングに
つつまれた腿をにらむ
どんな味がするのか
あなたとの愛は
歓びはなかった
とはいえ哀しみもなかった
わたしたちはベンチを分け合って座り
冬の始まり、辺りに人影はなかった
言葉はさっきまで……あった
今は沈黙さえ、ない ....
せめて、
あなたには桃を食べていてほしい
朝のかなしい光のなか 窓のあたりに椅子を置いて
それ以外なにも望まない
古い歌があなたの心に絶えず降ってくる
....
鳥のそばに鳥が降りて
花
と つぶやく
すると色は
色をやめるのだ
指さえ かなぐり捨ててまで
目は とうの昔に
泡のものだから
灰を踏みしめ 灰を廻る ....
夜の芝生で
いるかは一度だけ跳ねた
手に拾えそうなほどの光が今日、
とおくの月やら星やら町やら、そんなものから
迷いこんできていたから、けれども
そのなかを泳 ....
なかば開かれた窓の傍ら、
揺り椅子で膝を抱えあなたは風を舐めている
なにもかもが 透明なジャッカルと化して
あなたの内なる屍肉を貪っているのだろうか
みどりいろの西 ....
そういえば、
と千津子は言った。
貴方何時までここにいるんだい。
天気は晴れかそれとも雨か。
飴でも降ってくれねえかねえ、
そんな事を思いながらお前に飽きる迄だよ等と、
笑いながら答えると ....
天気予報によると午後から曇り、ところにより雨、らしい。傘を持っていくか一瞬迷ったのち、会社の置き傘を頼ることに決めた。階段をおりて、自転車に乗って、駅まで。いつもの道をペダルを漕いで進み、通学の児童は ....
しろい頬をこちらにむけて
月が肩をふるわせている
窓の外から、じっと
石でできた町がぼくを見上げる
けれども雨がふっているのはまだ
きみの瞳のなかでだけ
....
入り口の方にあなたが立っていたが
出口の方にも同じようにあなたが立っていた
べつに邪魔をしているわけでなくただ立っているだけのこと
そういえばそのような薬物をわたしはどこ ....
夢の成分が星ひとかけらに相当するとしても
幸せな豊穣には私はもう生きていないかも知れない
と私は手の沈む先の海に密告しなくてはならない
ただ生きているってことは私が海であることだから
まだしも ....
一日中、
こわれた雨樋をみていた
網戸にささって死んだ虫をみていた
あなたがこのよにいきているなら
わたしがしぬことはぜったいにない
わたしたちのなかで 言葉 ....
ルーシ
君の夢見た世界を
今僕は
半笑いで眺めているよ
ルーシ
僕は一度死んだ
俗世の食べ汚しが
脊椎に溜まったんだ
ルーシ
こうなってはいけない
ルーシ
君の歯並びはガタガタだ ....
そこの膝掛けの上に置かれている
一匹の沢蟹なのだが、
数日前にある男が用いた
あわれな比喩の成れの果てだ
今となってはその詳細は思い出せない
それに彼は十中八 ....
はきつぶされた靴は
あなたの手にひろいあげられ
鳶の影は 青い空を円の形に縫う
午後、けれども其処彼処の綻びから
光は果物のように落ちてくるのだろう
眠れない
夜の遊びは一つだけ
寂しい沼地
孤独な塔
幸せ探し
夜更かし
ここは海の底
アパートのすぐ傍を
誰か横切るよ
とても大きなもの
じゃらじゃらと
宝石 ....
尻尾
普段は隠している
尻尾のことが
気になります
眉を上げて
小首を傾げて
舌を出す仕草
大変
大変…だわ…
私の夫は
実は
犬なので
8年前
拾っ ....
酒の肴がほしいか
窓から家が見えるだろう
そろそろ竣工をむかえそうだ
犬の舌がながくのびている
それでも私の声が聞こえるなら
醤油差しをとってくれないか
陽の光があふれるところで
あなたのからだを抱いていた
影は こまかい枝のようになって
わたしたちに踏まれている
世界から背をむけてまで
夢見ることを手放してま ....
晴れた空なので
青いTシャツを干した。
隣には鳥がやってきて
聞いたことない声で笑った。
通りかかった音楽家は
交響曲を完成させた。
僕はお礼を言われた。
翌日青いシャツを着て歩いている ....
コールタールの
夕ぐれは さびしい匂い
潮風のながれを瞳にうつしながら
ちいさな犬を飼いたいと思っているあなただ
あの子の景色はひかる星
止まない瞬き
まっすぐにのびるゆたかなゆめ
祝福されてよ
きらきらしい季節に
ずっとわらっていてよ
わたしを棄ててよ
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