時々、訳もなく泣きたくなる。

 今日がそんな日だった。目に映る何もかもが煩わしくて、それでいて、執拗にそれらに触れたがっている、もう一人の自分がいた。放っておいて欲しいのに、見捨てられたくない ....
  赤い女が
  椅子に座っている
  詩のような塵と
  塵のような詩が
  電子のように周囲をまわる
  アーモンド
  バームクーヘン
  傷ひとつない夕暮れ



 ....
ジップロックに
水分をよく切って
細かく刻んだ
糸こんにゃくを
一杯入れて
そのなかに
ポコチンを
突っ込んでみて下さい
そう、その感覚が
ミミズ千匹です
寝ない子がくまちゃんを寝かしつけている 発光する
旅人
のような
まなうらに
堆積する
ちいさな花を
焼べながら
浮遊する
小鳥の声色で
女の子の群れが
葡萄水をまきちらし
りるりるりる

目のまえを
よこ ....
  緑しげる季節に
  ぼくたちが出会うとき
  そこへと水がながれ
  そこへと水がたまり
  そこから水がぬけた
  だからだろうか
  白昼よりたしかで
  暗闇よりくるし ....
ヤマダ電気で
電気マッサージ器を
品定めしている
32才OL風を見掛けたら
あたしでよければ
力になりますよって
話し掛けてしまいそうで
なんだか怖い
  井の頭の夜に
  ラブホテルがひかっている
  いのちのかなでるはかないワルツ
  塵が山になり
  山はまた塵になる
  井の頭の夜
  黄色くかがやくラブホテル
  木の ....
あたしが性的な
要求をしたら
迅速に対応するべきです
レスポンスが悪すぎます
セックスレスですよ!
セックスレス!
すぐにセックスレスしてください
なにポカンとしてるんですか
あたしの ....
二時半は、二時半で、いつだって
ロッキングチェアの揺れない時刻だ
海辺の街でもないのに
波の音が聴こえるのは
朽ち果てた夢のせいか
それとも途切れ途切れの記憶のせいか
家族の温もりが残るリ ....
スコット・ラファロは25歳で死んだ
死因は交通事故だ
オーティス・レディングは26歳で死んだ
死因は飛行機事故だ
ジャニスは27歳で死んだ
死因は薬物中毒だ
ジム・モリソンも27歳で死んだ ....
I was walking on the street
Peoples were losing living time
Various things are crossing to my ey ....
もう なんにちも
雨は降らないし 降りようがない
雨乞いの呪文も
もはや効き目は薄れ
わずかばかりの
水を流して
やり過ごしている

 {引用=さかな 苦しいだろう
さかな 底に怯え ....
     右足が重いと
     おもっていたら
     いつのまにか
     根が生えていた
     しかたがないので
     歩きまわる
     根をおろさずに
  ....
レジにやっと
バイトのおにいちゃんが来て
二番目でお待ちのお客様こちらに
と言ったのに
五番目でお待ちの馬鹿そうな若い男が
三番目でお待ちの俺をさしおいて
割り込んできたもんだから
てめ ....
     おんなが笑う
     おんながしゃべる
     おんなが怒り
     おんなが泣いた
              
     おんなの寝顔に安堵する
      ....
 
 
昼休み、お弁当を開けると
中には凪いだ海があった
これはどうしたことだろう、
と電話をしても妻は出ない
それどころか、
海の中から聞き慣れた着信音がする
海が見たい、と言ってい ....
  筏を組み上げて
  稲穂の海へと浮かべる
  あなたの両眼にはいつも
  息をのむほど静かな炎が灯っている
  風が吹いて黄金の波が揺れる
  考えていたことを忘れてしまう
  ....
  きみの親指と
  ひとさし指の間を
  一羽の兎が往復している



  冬の夜がするどい針金を張る
  白い煙がきみから蕩け
  それからあわ立ち、
  草原を{ルビ艶 ....
彼岸花が咲いてた辺りに
今は桜が咲いてる

誰かの雨を
涙と勘違いして
 
 
駅前で女が
ヴァイオリンのように泣いていた

男がやって来て
指揮者のように煙草をふかし始めた

観客のように
人々は足早に通り過ぎた

銀色の魚が身を翻し

都会は ....
渋谷の公衆便所に入ったら 
「ほらおとっつぁん、チャックを閉めて」と 
初老の息子は傾く体の親父を支えて、言った。 

なんとか息子に支えられ 
よたつく親父の背中には 
(いたる)と3文 ....
右へ行くと海があり左へ行くと詩があり
ます。そんな街に住んでます。近所の沼
で子供たちは言葉を沈めて遊ぶ。強風。
泥だらけの手を見せなくていい。そろそ
ろ雨が降るなんて言わなくていい。何も
 ....
  魚を燃していたのだと
  きみが言う
  誰にともなく
  酸化をはじめたばかりの
  鉄の表面に似て



  せつないくるしい
  いとしいさびしい
  かなしいや ....
雪を割るつかなくていい嘘をつく この1年

よくひとに裏切られた

ひとり、ふたり、

さんにん、よにん、

ごにん、ろくにん、

みんなつらかったんだろう

みんながまんしてたんだろう


ぼくは走り ....
 
 
キリンが首を伸ばして
夜空の星を食べていた 
星がなくならないように 
父は星をつくった 
どうしてキリンが星を食べるのか
なんて関係なかった
父はただ星をつくった
やがてキ ....
{引用=――はるな「物語たち」に寄せて}


  つめたい夜がやってきて
  わたしの両手の爪を、一枚いちまい
  丁寧にはいでいった



  つめたい夜がやってきて
  物語の ....
よみちに
しかが
にひき
つったっていて
ひきそうになったけど
ひかなかった

どうぶつが
にひき
たっているのは
めおと
たぶん
でも
なんか
めおととか
やめとけばい ....
 
 
小銭を持って忍び込む
生臭い二つの身体で

薄汚れた僕らの下着は
日々の生の慎ましやかな残渣
死に対するささやかな抵抗

乾燥機をかけよう
余計な水分が
涙にならないよう ....
はるなさんのおすすめリスト(1987)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
やさしい世界- まーつん散文(批評 ...213-4-7
赤い女- 草野春心自由詩313-4-7
ミミズ千匹- 花形新次自由詩113-4-7
寝ない子がくまちゃんを寝かしつけている- 北大路京 ...自由詩1813-4-6
cosmos- 佐東自由詩2*13-4-5
水のありか- 草野春心自由詩413-4-4
電マ地獄- 花形新次自由詩213-4-4
ラブホテル- 草野春心自由詩413-4-4
セックスレス- 花形新次自由詩113-4-3
不眠症- 花形新次自由詩513-4-1
夭折- HAL自由詩6*13-4-1
sky_was_gray- 番田 自由詩213-3-31
川という女- そらの珊 ...自由詩19*13-3-30
木々のようには生きられない- 石田とわ自由詩24*13-3-30
実録、お客様- 花形新次自由詩113-3-29
暮らしの中で- 石田とわ自由詩13*13-3-28
海弁- たもつ自由詩1613-3-26
- 草野春心自由詩513-3-25
指と兎- 草野春心自由詩513-3-24
午後のサイレン- mizunomadoka自由詩313-3-24
都会魚- たもつ自由詩713-3-23
渋谷の公衆便所にて_- 服部 剛自由詩613-3-22
沼しかない街- 左屋百色自由詩7*13-3-21
魚を燃す- 草野春心自由詩713-3-20
雪を割る- 北大路京 ...俳句313-3-18
たいせつなひとたちへ- 吉岡ペペ ...自由詩1113-3-15
星ひろい- たもつ自由詩1713-3-14
物語へ- 草野春心自由詩5*13-3-12
五十五輪の書- 6自由詩313-3-12
コインランドリー- たもつ自由詩1013-3-11

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67