母とふたり
二両編成の列車に乗った
並んで座った
心地よい揺れに眠くなったところで
降りるように促された
小さな駅舎を出ると
一面のキリン畑だった
みな太陽の方を向いて
長い ....
すべらかな声は
よるのはじまりの、そのすきまを
ゆるゆると 這って 消えた

(あしたまでには帰ってきて、)


たゆたう姿は
終わりだったか
始まりだったか、

でも

 ....
見えていたものが
見えなくなり
何かに気づいたふりをしていたら
首筋の辺りの皮膚が
ひりひりしてきた

動作は最小限にした
紙を丸めるだけ それだけなのに
冷たい汗が額を優しく冷やすの ....
 女の髪は城であり
 女の髪に矢を放つと
 失ってしまう

 女の顔は
 ひらがなのように
 澄むとよい

 甘い匂いのする女の家は
 男の頭の中にあり
 甘い ....
  やさしいだけの今日が
  昨日と同じテーブルに載った



  たがいちがいに席につく
  憂鬱はしずかに揺れる



  満たすだけが心ではないのに
  くりかえす ....
  壁に向かって僕は歌をうたっていた
  隣の住人は何も言ってこなかった

    そして誰かが線路に飛び込んで
    そして誰かが樹海で首を吊って
    そして誰かが誰かを撃ち ....
  ガラス越しに会いましょう
必ずしも世界を共有しない方がいい

わたしはこっちへ
         貴方はあっちへ

  それでも感情だけは疎通する

 わたしが笑えば
      ....
水辺では
深く帽子を被って
視界を遮る
爪先から目の
高さまで
灰青色の空気に囲まれ
体中の骨と
骨との隙間から
見たことのない土地の記憶が
染み
出てくるので
いつまでも
帽 ....
水葬の教室
鱗を捨てた冬
シーラカンスの鳴き声を聞く



バス停の一駅ごとに君がいて
みんな逆方向を指さしてる



からだじゅう絶縁テープをまきつけて
ひとのか ....
不意に、もうひとり帰ってくる気がする


母は家にいて
私も家にいて
弟が帰ってきて
もうひとり弟が帰ってきて
それから父親が帰ってきて


机に張り付いて私は耳を澄ま ....
父さん、殴れ
瓶がばかばか落ちている
どろっとした内容物は
ふくらんでいる
覗き込んでは
ぱんと破裂する
太鼓をたたく
父さん、殴れ
棒がぼろぼろ落ちている
虫がたくさん食っている
 ....
よだれでガビガビになった枕を
セクシーなはまぐりが
夜な夜な掃除しにきてくれる
一体、これで何度目ー?

昼休み、カーテンの隙間から、
窓際に座る生徒がゴミを捨てるのをベランダから見ていた。
僕はそいつに近づいて、
「カーテンが揺れるだけだと思ったら大間違いだぞ!」
 ....
部屋に入って
電気はつけない

ダンボールの影にくつわむし
クロゼットの闇にこおろぎ
ほうりっぱなしの服にすずむし
冷蔵庫でたまねぎが芽吹く

ベランダに
線を抜かれた機械たち
明 ....
ひろいひろい畑にて
老いた木、一本ありました

ひろいひろい畑には
淋しく淋しく木が一本

ひろいひろい畑に生える
老いた淋しいその木には

ここぞとばかり、この秋は
たくさん ....
一晩で世界中をとびまわるサンタの時給はおいくらかしら 本をたたんで
ペンにキャップをつける
はさみをひらいて
つけねで指のあいだをぐりぐりとする
くつ下をつかんで
ゴミ箱に向かって
投げる

たばこを吸う
たばこを消す
少し眠りたいけ ....
電飾のアーチ 指きり 白い息 新世界でも生きていけるさ 雨をくぐる
ぼくはゆっくりあっちのほうへ
大音量の歌は最小限の寝返りで
あたらしいノートのちいさな日付はささやかに
送ってしまったメールを
残ってしまった花火を
けぶってしまった青空を
 ....
徹夜でブドウ糖を齧りながら野球やりに行こうぜ磯野
安全な樹脂の開発を今すぐに止めて野球やりに行こうぜ磯野
素肌の潤いを保つ液体を路上に撒き散らしながら野球やりに行こうぜ磯野
出生の記録を保管して ....
 なぜ詩を書くんですか、と言われると大変惨めな気分になっていやなのは、つまり詩を書くということに関してたいした理想も意義も見出せていないからなのだと思う。
 仕事をはじめて、そろそろ幾許かの稼ぎも出 ....
パレードの喧騒にわかに散ってゆくここから遠いこころを想う



思い出す前のぼくらは幸福で雨雲は必ずしも雨を孕んでいるのだろうか



マタニティブルーできみは海の中ほんと ....

消費者金融の無人審査機の前で
背筋をこころもち曲げている女
どういう顔をしていたらいいか
分からないのだろう
真っ二つに分けた前髪の間からは
かきまぜたコーヒーに入れたミルク
みたい ....
柔順にふくらんだ あわい苔むす
葉肉の厚みに散らばっている
雨降りの薄い頬
私の 望んだように
生まれる心がくりかえしてゆく
振り切って
でも、またここへおいで
円らかなヒトのかたちに
 ....
九月の歌は季節外れ
酔いにまかせて
奪い合った双眼鏡

女の子は男の子に
男の子は女の子に
囁きは煙とベース音に混じって
そってたわんだ天幕を覆っている
覆っている
覆っている
科学者の卒業式
幽霊の入学式
みんな同じ服装で
帰った

彼は落とし穴を掘って
自ら落ちてみせた
私も帰った

彼はさくらに埋もれて
後は知らない
にわとりに撲殺された悲しみ
にわとりに撲殺された悲しみが
誰にも受け入れてもらえないだなんて
誰にもわかってもらえないだなんて
庭でにわとりに撲殺された悲しみを
理解してもらえないだなんて
 ....
  片隅に
  猫の
  死体



  ぼくの
  腸を
  固く
  重い
  瞳が
  掴む



  完全な
  体
  凍った
  時
 ....
くまをね
くまをおんぶして歩くの
会社行くときも
映画観に行くときも
フランス料理食べに行くときも

くまが可哀想なんじゃないんだ
私がくまがいなきゃもう歩けないんだ
ねえ く ....
排他的な女の子は空を所持している。
その底のほうには、白くてきれいな宇宙船や、手垢できたない算数の教科書、軍隊の格好をしたキューピー人形や、プラスチックのマニキュアの瓶が、ざくざくとはめ ....
はるなさんのおすすめリスト(1988)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
水の記憶- たもつ自由詩1609-3-16
予感- yuri.自由詩309-3-10
病原- noman自由詩209-3-6
女の髪- ヨルノテ ...自由詩6*09-3-3
食卓- 草野春心自由詩509-3-1
壁に向かって僕は歌をうたっていた- 草野春心自由詩409-2-27
ガラス越しに会いましょう- 瑠王自由詩3*09-2-26
探していた場所は見つかったのだろうか- noman自由詩309-2-25
マザーグース- しろいろ短歌1109-2-8
もうひとり帰ってくる気がする- 因子自由詩20*09-2-2
父さん、殴れ- 構造自由詩609-1-27
ぐりはま- サトタロ自由詩5*09-1-20
カーテンによる間違い- プテラノ ...自由詩509-1-15
untitled- かとり自由詩4*09-1-14
やさしい音- うみとゆ ...自由詩3*09-1-10
最低賃金は722円で- うみとゆ ...短歌2*08-12-24
unit- かとり自由詩4*08-11-21
新世界- メメズワ ...短歌208-11-18
untitled- かとり自由詩2*08-11-16
野球やりに行こうぜ磯野- セガール ...自由詩25+08-11-2
空の時間、断筆まがいと全容- れつら散文(批評 ...5*08-10-29
今日ここから出て行ったものがやがてデッドエンドの果てからふた ...- 本木はじ ...短歌12+08-10-24
すかんぴん(大変貧しく、無一文で身に何もないさま)- 吉田ぐん ...自由詩30+08-10-9
ばら石拾い- 梶谷あや ...自由詩608-10-6
untitled- かとり自由詩108-9-18
さくら- かとり自由詩2*08-9-18
にわとり- セガール ...自由詩708-9-12
死体- 草野春心自由詩1*08-9-11
くまをおんぶして歩きたい- くま出没自由詩1408-9-10
そしてシグナルタワー、女子- しもつき ...自由詩5508-7-22

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